日常
僕は海斗、隣を歩いているのは陸斗
僕らは、学校では誰でも知っている双子
容姿は全く同じ…
当たり前だよ、僕らは一卵性双生児なんだから
性格は真反対
面白くて良いでしょ
「海斗~~、早くいかねぇと遅刻するぞー!」
「言われなくても分かってるよ
誰のせいだと思ってんの?」
「俺のせい?」
「そ、陸斗が寝坊するのが悪い」
「仕方ねぇじゃん…眠いんだ」
「じゃぁ、遅刻は仕方ないね」
海斗の言葉に、陸斗はうっ…と詰まる
元を正せば、寝坊した陸斗のせいで遅刻なのだ
何とも言えない
「今日も一日が始まるのかぁ~」
ため息まじりの陸斗の声が響き渡る
あまり変化を見せない日常
いつものように学校に登校して、授業を受けて友達と話してご飯を食べて…部活に出たり帰宅したり…
永遠に続くとさえ思わせる
それに、退屈しないわけがない
「仕方ないでしょ…僕たちの世界はこういう世界なんだから」
「ちぇー…漫画やゲームみたいな世界があれば良いんだけどなぁ~」
「死の危険と隣り合わせは嫌だよ」
「確かに…」
自身の言ったことに、少し冷や汗を流した陸斗だった
「まぁ、色んな空間、時間があるんだったら…きっと色んな世界があると思うよ
僕らがこうしている間に…何かが起きたり…とかさ」
「俺達が知らないってことか…」
「まぁ、無いかもしれないけどね
けど、僕らに変化は無くても何処かでは、大きな変化がこの瞬間にあるかもね」
「うへぇ~…世界規模になれば、毎日変化なんだなぁ~」
「仮定だけどね」
学校への道のりを歩く
2人は退屈な毎日が嫌だった
だからと言って、危険と隣り合わせのような世界に行きたいわけではなかった
日々、変化が欲しい…刺激が欲しいと思っていた
「な~んか、面白いこと…ねぇ~かなぁ~」
ポツリと陸斗の呟いた言葉は、虚しく空気の中に消えた
「陸斗!」
「海斗!!!」
刺激が自分たちに関係無いと決めつけて歩いてた
まさか、こんなことになるなんて…きっと誰も予想出来なかっただろう
―数分前―
2人はいつも曲がる角までやってきた
カーブミラーで車や自転車が来てないことを確認して曲がる
再びまっすぐな道を歩いていく
「あ~あ、マジで面白い世界ねぇ~かなぁ~」
「まだ言ってんの?あったとしても、どうやって行くのさ?」
「う~…その辺は海斗が考えてくれよ」
「そんなの、僕でも分かるわけ無いでしょ
空間や時空引き裂く物があればできるんじゃないの?」
「面倒だから、適当に言っただろ?
空間や時空引き裂く物なんて、俺でも発想できるっつーの」
先程の会話を続けながら歩いていた
ピシッ
微かな音が響いたが、2人は気づかない
ピシッ
先程より大きな音に、2人は立ち止まる
「何か音しなかったか?」
「したと思うよ」
2人は振り返るが何もない
「気のせいか?」
「それか、その辺の電線の音じゃないの?」
「ふ~ん」
2人は前を向いて歩きだした
もちろん学校に向かって
トコトコ歩いている2人
しかし、海斗が立ち止まる
それに続いて陸斗が立ち止まる
「どうしたんだよ?海斗」
陸斗は振り返り声をかける
「おかしい…」
「何が?」
俯き加減の海斗の表情は読み取れない
「ここの道…こんなに長くなかっ…」
視線を上げる海斗
その目に映ったものに、言葉無くす
「海斗、どうしたんだよ?」
陸斗は海斗に尋ねる
だが、海斗は自身がそのことを理解出来ず、固まっている
その視線の先が知りたくて、陸斗は再び前を見る
「っ!?」
陸斗も思わず固まってしまう
2人の目に映っているのは、大きな穴
空間をまるで切り取ったみたいに丸に近い穴が開いていた
2人は本能的に危険を感じ取り、反対方向に逃げる
しかし、強い風によって穴に引き戻される…
いや、吸い込まれていく
「陸斗!」
「海斗!!!」
お互いに手を伸ばし、何とか手を掴んだ
その直後、意識が無くなった
【キャラ紹介】
☆海斗
髪:茶色
瞳:濃い茶色
身長:158㎝
体重:50㎏
血液型:B型
誕生日:9月18日
性格:冷静に物事を判断する
あまり怒らないが、怒ると怖い
備考:陸斗の兄
☆陸斗
容姿等、海斗と同じ
性格:分かりやすい
頭で考えるより先に行動に出るタイプ
備考:海斗の弟