ダンジョンへいこう2
俺達は食事を終え、片づけをすると洞窟に入った
なんとも陰気な雰囲気だ。薄暗いが、視界はある
マリーの魔法であたりはぼんやりと光って見える
「あれ?イルミナは?」
ミツキはそういえば、と言う感じで聞いてくる
「ああ、吸血鬼らしく昼間は棺桶で寝てる」
朝起きたときから棺桶から出てこない。さすが吸血鬼さん
「主殿、カレーの臭い消臭しとくでのー」
「そうねーけっこう匂うよね」
うーん。カレーの副作用というか、臭いついちゃってモンスターに居場所教えてるようなもんだな
ミオの魔法で消臭される俺達。これで安心して奥へ進めるか
それからは色んなモンスターはいたが、俺たちが近づくと蜘蛛の子を散らすように逃げていく
おそらく先ほどまでの、ミツキ達が無双していたせいだろう
なんの障害も無く、1時間ほど進むと突き当たりまで来る
「主殿、そこの壁壊してくれるかの」
「あいよ」
俺は拳を握ると、目の前の壁に向かって殴りつける
ドゴっという音と共にぱらぱらと崩れ、その先に空間が現れた
いままでは正に洞窟と言った雰囲気があったが、
この先は人造物の雰囲気があり、ダンジョンと言った感じだ
整った通路、等間隔にある、魔法の光源
「おお・・こんなところがあったとは・・この洞窟は、初心者向けの浅い洞窟だったはずなのだが、先があるとはな」
「ドルファーさん、あれだ。元々はたぶん初心者向けじゃない。なんかの理由で閉ざされていたんだ。その証拠にここから先のモンスターは今までより強いよ」
感知スキルで得た情報だ
ゴクリと誰かがつばを飲み込んだ
そのままコツコツと進む
そうしてすすむと、大きな牛のモンスター
ミノタウロスっぽいのが出てきた
黒っぽい肌に腰ミノ、そして大きく立派な2本の角。身長は2m超えで、筋肉質な体
「どうみてもミノタウロスだよねー」
のん気だなミツキ・・
「行くぞ!」
「ほいよドルドル!」
ドルファーとソノが相槌を打ちながら、仕掛ける
ドルドルってなんだよ
ドルファーが真上に飛び上がり、切りかかる。だがミノタウロスはその手に持った岩でできた棍棒でその剣を防ぐ
その隙にソノが魔法を発動
「ソルウインド!」
風の魔法、ドリルのように風がミノタウロスに穴を開けていく
「ウガァ!」
ミノタウロスが痛みに声を上げる
「もらった!」
そしてミツキが後ろから踏み込み、その太い首に一閃
ドサリと倒れるミノタウロス
「よっしゃ!」
なかなか良い連携をするようになっている。
ソノにいたっては、まるで今までずっと一緒に冒険をしてきたような雰囲気でなじんでいる
「主殿、我ら蚊帳の外じゃのー」
「まぁ、いいんじゃない?レベルあがるの楽しいみたいだし、対処できない敵じゃなさそうだしさ」
「そうじゃのー。戦力はあったほうがよさそうじゃしの」
今俺のLvは130になっている
ほかの4人は30といったところだ
100レベル差があるので、まだ俺のほうが圧倒的に強いが、それでも今朝までLv1だった4人は30まで一気にあげ、そして以前とは比べ物にならないほど強くなっている
「おー余裕だったねー」
「んむ。以前であれば、何とか倒せるくらいに強かった相手なのだがな。だが、こんなところにこんな強いモンスターが居るとは」
「そうですねー。でも肉体Lvが上がったおかげで余裕です」
強いモンスターなんだなあ。確かに、強い気はするが
「なあ、やっぱ不味い?さっきの洞窟の行き止まりってさ、コイツら出さないためにしてあった的な?」
俺はまずったかなーと思った
「そうであろうな。だが大丈夫だ。俺達が殲滅してやる!」
やたら気合いを入れるドルファー
まあ、ドルファーは吸血鬼の時は良いとこなかったし、挽回したいんだろうなあ
「ね、シンタくん」
「なんだミツキ」
「私の感知スキルだとあまりよくわからないんだけど、この洞窟ってかなり広い?」
「あー、そうだな。まだ10分の1来てないかな」
「うーん、、なんか試練の洞窟より厳しそうね。」
その先も、ミノタウロスを筆頭に凶悪なモンスター達が俺達を襲ってくる
そしてこの洞窟・・・いや、地下ダンジョンだな
ここにはほんとうに、ありえないものがある
それは・・・
「お、またあった。宝箱だ!」
そう、宝箱なのである
俺とミツキは違和感無く、宝箱ひゃっほーしていたのだが
ソノマリードルファーの三人は
「「「なんですかそれ」」」
と。
そりゃそうだ。宝箱なんて取ってください見たいなもの、残っているはずがないし、誰が置くんだそんな物。ってことなんだよね
だがここにはそれがあった
そしてその中身は・・・
「ふむ、この大剣は良いである折れない大剣であるゆえ」
「私のワンドも付加能力、相手のMPを吸収です。」
「この靴は、戦闘中の移動速度が向上しますー」
そう、いわゆるRPG的な雰囲気がある
そしてその効果もありえない物ばかりだという
この世界には今話している様なものは、大体が国宝レベル
しかも、実際の戦闘では使用されることすらないといったほど貴重な物らしい
それがこんなにぽんぽんと・・・
正確にはぽんぽんでもないがな
その宝箱を守っているボスなんて物もいるし
んで、目下そのボスと戦闘中である。
以下、急成長を続ける我らがソノ様
「いきますよ!」
魔法付与ーと唱えて走っていくソノ
その体が薄い青に包まれたかと思えば、赤色、黄色と様々なバフを掛けていく
「攻撃、防御、速度向上。」
ソノは魔法によりステータスを急上昇させていく
そして仲間であるドルファーと、マリー、ミツキにも同時に同じ魔法を付与する
「ありがとう!」
今戦っているのは巨大な熊型モンスター
その姿からは想像できないほどの俊敏さを持ち、さらに魔法まで使ってくる
怪力であることは用意に想像できたが
「くっ!よけきれないである!」
唯の熊ではない。そのパンチはドルファーを的確に捉え、そして打ち抜く
ギィンと言う音とともに、ドルファーは後ろの壁をぶち抜き、さらにその奥、奥へと飛ばされる
「マリー、ドルファーお願い!」
「はい、わかりましたソノさん!」
マリーは転移魔法を唱え、ドルファーを呼び寄せる。そしてそのまま回復魔法
「回復まで1分です」
「おっけー!ミツキさん、牽制お願い!」
なぜかソノが指示をしている
「呪縛の禍根!」
ミツキの束縛魔法
それにより熊型モンスターは雁字搦めにされてしまう
「ありがとうみんな!」
なんだか協力し合って、ソノのフィニッシュへと続く道ができる
「いくよ!」
一瞬、ソノの姿がブレる
片手に剣、もう片方には魔法。それを合わせるように、手を重ねる。
すると持っている剣が、淡く輝く
「スターブレイカー!」
すげーかっこいい技名?
なのだろうか。後光がさしてみえるよ・・・・ソノに・・・
ギィン!
熊を縛っている鎖ごと、その剣は断ち切る。
全ての原因と因果を置き去りにして、切られたという結果だけがそこに残る
パァ・・・・と、輝く光となって熊が消えた
そしてそこに残るのはドロップアイテム・・・・・・
そう、ここでは地上のように死体が残ったりはしない。
光になって消え去り、そしてそこに金貨やアイテムを残す。
まさにゲームの世界
「ふう、なんとか倒せましたね!」
「さすがソノさん、かっこよかったですよー」
ミツキらがソノをほめたたえる
ここで一番成長したのはソノである。この階層に来るまで3日かかっているが、その中でソノはガンガンレベルをあげて、様々な魔法やスキルを手に入れている
もちろん、ドルファーやマリーも強くなっているのだが・・・
なぜか・・・ソノが無双モードになってい、、いや、勇者モードになっている
現在のレベルで言えば、ソノは60、ほかの3人も50後半である
ここも、そろそろ下層も終わりかな
「ミオ、そろそろか?」
「うむ、そろそろじゃよ。あともう1ボスってとこまで来たの」
そして、ダンジョン最後のボスに挑む時が来た