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異世界への選択肢

俺はー死んだはずだった


32歳まで生きて、良くは覚えていないが死んだ・・・ハズだ


だが目が覚めると、そこは俺が子供の時に過ごしていた部屋で


俺は15歳になって・・いや、戻ってた





状況が理解できると、もう一度あの学生生活に戻ったと嬉しい反面めんどくさくもあった

その理由が、この2回目の学生生活は当然起きる出来事が1度目のそれと全く同じだった


そしてもう一つ、これほどまでに早く状況が理解できたのには理由がある


それが彼女


「ミスティ・W・オールド」


彼女は、二度目の俺のサポートシステムだそうで

なぜ彼女が俺についているのか、なぜ俺にしか見えないのかは禁足事項とかでわからんらしいが


他人には見えないが、俺の目にはふわふわ浮いている3歳程度の幼女が見えている


「どうかしたかの?主殿」

「いや、なんでもないよ」

「ふむ、そうかの?何かあれば言うんじゃぞ」


多分人からみたら独り言言ってるアブナイやつ、それが俺

見た目はフツー、背は低めで、短髪のあまり特徴がない、それが俺


「なあミオ、今日はなんかあったっけ?」


ミスティなんたらだと長くて呼びにくいので略してミオと呼んでいる。


ミオと呼ばれるのは気に入ったようで、「ミオ!ミオだなんてまるで恋人同士みたいではないか!」とか叫んでいたなあ。


「ふむー主殿よ、本日は主殿が気に入っておる女子が行方不明になった日だの」


ミオは俺の前生の記憶を全て覚えているらしく、それを俺に教えてくれる。


そう言えばそんな事件があったな・・・

気に入った女子とは言っても当時の淡い恋心みたいなもんだった

当然告白する勇気もなく居なくなった事だけで探そうとも思わずに

ちょっと悲しく、そして残念だと思ったのはよく覚えている


「それって・・・、どうにかなるか?」

「ちょっと調べるのじゃ」


ミオは上を見上げている

これが調べている行為なのか?


「ふむ、行方不明になった時刻はあと1時間後じゃの。原因はわからん」

「おお・・・ミオスゲェな!カッケーっす!」

「よせよせ照れるのじゃ主殿よ。まあ、これくらいは当然なのじゃ!」


頬を赤らめた幼女がクネクネしている。


「で、その行方不明の原因どうしてもわからない?」

「ダメじゃのう。前生で主殿が知り得た情報であれば調べられるが、どうやらこの行方不明の原因はわからんかったみたいじゃの、新聞などにも載っておらん」


泣きそうな顔をする幼女。


「とりあえず行ってみるしかなかろうの」

「だけど、どこにいるのか分からないな、今日は学校も休みだし」

「安心するのじゃ、探索魔法でもうみつけてあるわい」


流石サポート!抜かりないな!


俺はその時、ミオが魔法と言った事はたいして気に留めてなかったのだが

これこそが彼女の本質だと知る事になる





ひとまず学校にいることが分かったので急いで向かう

いつも通いなれた道だった

懐かしい想いと共に自転車を必死で漕いだ


到着すると自転車を放り投げるように降りてそのまま学校に入っていく

靴を履き替えるような暇はない

そして学校の各教室をまわり彼女を探すが一向に彼女の姿が見えない


「はぁ、はぁ、ミオ、いないんだけど?」


息切れをしながら、ゆっくり治す為の深呼吸する


「そ、そんなハズはないのじゃ!ど、ど、ど!」


ドドド?


「あ、上じゃ!一番上におるぞ!」


俺は再び走り出して、階段を駆け上がり屋上へ続く鉄扉を開けた


するとそこには行方不明になる予定の女子が・・彼女が居た





「あれ?シンタくんじゃない?どうしたの?今日学校休みよ?」


「いや、ちょっと用があってさ。それよりミツキは何してんだよ?」


長く、風になびく黒髪が美しい

想いでの中にある彼女そのままだ


「あー、ちょっとね、私も用があってさ」


『主殿、おかしいぞ。魔力を感じるのじゃ』


『なんだって?魔力?』


『んむ、この世界には我以外には魔法を使える者など存在せぬ。なのにここは魔力の波動に満ちておるわ』

『は?ま、魔法なんて使えたのか?つうかあるのか!?』


『んむ、行方不明の原因はおそらく魔法によるものじゃの。気をつけよ主殿』


ミオとは頭の中だけでも会話ができる

つうか魔法・・・そうか魔法かだから会話できてたんだな・・・

今更ながらミオは「科学の力」と思っていたのだが「魔法」だったのか



「シンタくん?どうしたの?」


おっといかん、ボーッとしすぎたか


「あ、あいや、なんでもないんだ」

「ボーっとしてたよ?大丈夫?」


分かってるってば


「いやほんと大丈夫だから!」

「ならいーんだけどね」


彼女は笑う。ああ、懐かしいその笑顔も可愛いなあ

でもほんと、なんでこんなとこにいるんだ?私服だし

彼女は、中学からの友人で名前は新垣ミツキ


図書委員なんて地味な委員を一緒にしたときから仲良くなった

二度目の今生が始まってまだわずか一週間

まだ脳内が完全に32歳のせいか、昔はあんなに好きだった彼女に魅力は感じなくなっていたのだが

それでも、可愛いと思う


俺とミツキが談笑していると、ミオが叫んだ


「主殿、マズイぞ!今すぐここを離れるのじゃ!防御魔法が破られた!」


ハッとなって、ミオを見る

脂汗をかいて、青ざめたミオをみて、俺は焦る

足元からまばゆい光

円形の、魔方陣みたいなものが現れた


「ミツキ!危ない!ここから離れるんだ!」


俺は彼女の手をとり、走り出そうとする

だが彼女は俺の手を振り払い


「ごめん、シンタくんー私、呼ばれてるの。もう会えないかもしれないけど、元気でね」


瞬間、彼女は足元の魔方陣に沈んで行った

にこりと笑い、彼女は手を振りながらそのまま沈みきって消えていった


「ミオ、どうゆうことだ?」


「わからぬ、主殿」


「ミツキはどこに行った」


「わからぬ、主殿」


「こんなことが、魔法なんて事が、人が消えるなんて事が、1度目の人生の時からあったのか?」


「おそらくそうじゃろう、主殿」


俺は、その事実その物に興味を抱く「魔法」がある事に


「ミオ、探せるか?」

「もうみつけておるよ、主殿」

「いけるか?」


俺の問いに、ミオはニヤリと


「当たり前じゃろう、主殿。我の魔法に不可能などないわ」

「じゃあ、行こうか」


「んむ、じゃがすぐには行けぬよ、30日後にまたここに歪みができるのじゃ今回の時空転移の余波じゃな。それを拡張して今のゲートの魔方陣ですり抜けるのじゃ」


うん、わからん!


「あの女子の行った先は異世界じゃな・・・文明レベルも高くないでな、準備して行かれるがよかろうよ。」



俺は翌日貯金を全て降ろして、思いつく限りの準備をした

テントにキャンプ用品

ライターとマッチはそれこそ大量に用意した

インスタント系もそれなりに

大量の荷物にはなったが、ミオの「魔法」で収納できた






俺は前回の人生では、なんともない普通の生活をしていた。世界に魔法、異世界など想像もしなかった。

それが、今回の人生ではどうだ。

ミオがいる。

そして、異世界に行ったミツキがいる。


異世界に行かず、ミオと居れば再び32歳で死ぬことはないだろう。あの人生の先が見えたかもしれない


だが、今示された道は明らかに違う人生の分岐点

1度目には気づくことすらなかった選択肢


選ばないわけには、いかないよな?

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