表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここは幸せ一丁目  作者: 七瀬 夏葵
6/21

第二話「大切なもの」Part.2

「まこ、まこと!」


急に肩を揺すられ、女性は目を覚ました。


(あれ?ここは‥‥)


気が付くとそこはBARではなく、明るいカフェレストランだった。


「どうしたんだよまこ、こんなとこで寝ちゃって。疲れてんのか?」


まこと呼ぶその男性は、女性の付き合っている彼氏だった。

しかし何処かおかしい。


(なんか、微妙に若いような気がする‥‥)


女性、(まこと)はハッとして周りを見た。


(ここは、あのときの店‥‥‥)


それは、真の彼氏が初めて真にお金を出させたあのカフェだった。


(まさか‥‥‥)


携帯電話のディスプレイを見ると、『5月10日(日)PM1:15』と表示されていた。


(ウソッ!これ‥‥あの日だ!!じゃあ、まさかここ・・・・)


真は、自分があの日のあの場所にいる事が解り、信じられない思いだった。


「なあ、そろそろ出ないか」


彼が言った。

真には、この次彼が何を言うのかもうわかっている。


「あ、そうだ!悪い、今日じつはお金少なくてさ、まこ、俺の分も払ってくんないかな」


お願い!


と、彼は真の前で手を合わせる。

そんな彼に、真は静かに話し出した。


「ねぇ(しゅん)ちゃん、アタシね、俊ちゃんのこと大好きだよ」


真の言葉に、彼、俊一は顔をあげた。真は彼の目をまっすぐ見つめて続ける。


「だからね、お金は出せないよ。俊ちゃんのこと、嫌になりたくないから。ずっと素敵な自慢の彼氏でいて欲しいから」


「まこ‥‥‥?」


俊一は目を丸くして真を見た。


「ごめんね俊ちゃん、アタシ、本当に大切なものは何なのか気付いちゃったの。甘やかすだけが、愛じゃないんだよね。だから‥‥‥‥」


さよなら―――


真はその場から立ち去った。

後ろから俊一の叫ぶ声が聞こえても、構わずスタスタと歩いた。

出口に向かって。

カフェの扉に手を掛け、外に足を踏み出したそのときだった。

視界が真っ白になり、真は光に包まれた。


(なにこれ――!)


光の中、真の意識はすぅっと薄れていった・・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ