第一話「思い出の店」Part.2
「---っ!?」
ふいに、目の前を白い光がふさいだ。
眩しさに思わず目を閉じる。
瞬間、ぐにゃり、と身体が揺れるような感覚に襲われる。
ふらり、と足元をとられそうになり、思わず後ろへ倒れ込んだ。
「おっと、どうしたんだよ?もう酔ったのか?」
(えっ!?)
耳を疑った。
(この声は・・・・!)
思わず勢いよく後ろを振り返った。
「け、健治!!」
有り得ない事だった。
そこにいたのは、紛れも無くあの時の彼!!
「お前、大丈夫か?カオ、真っ青だぞ?」
(だって、信じられない!)
彼がこんなところにいるはずがない。
(だって、さっきまで一人で・・・・)
それだけではない。周りの景色すら違っていた。
確かにドアを開けた筈なのに、そこは外ではなく、勿論今までいた店内でもない。
そこは紛れも無く『あの時』の『あの店』の前だった!!
訳もわからず、女性はぽかんとそこに立ち尽くした。
「気分悪いのか?今からでも帰ろうか?」
自分を心配する優しい彼の目がそこにある。
信じられない。
自分は夢を見ているのだろうか。
(夢でもいい!!)
彼の胸に飛び込んだ。
「健治!健治!健治!健治ぃ!!!」
わっと感情の渦が押し寄せる。
何を言っていいのかわからなかった。
ただ、彼の胸にすがりついて泣いた。
「恭子・・・・」
彼の指が彼女の顎にかかる。
そして柔らかく温かい彼の唇が重ねられた。
懐かしい温もり。
彼の、温もり。
もう、何も考えられなかった。
痺れるような懐かしい甘さに支配されていくその中で、恭子はまた、真っ白な光を見た気がした・・・・・・。