第三話「殺し屋」Part.3
ミアはいつも明るく、そして優しかった。
そんなミアに看病されるうち、アカハチは自分が失いかけた人間らしさを取り戻していくような気がした。
アカハチはどんどんミアに惹かれていった。
そして、ミアもまた、アカハチの不器用な優しさに惹かれていった。
二人はやがて愛し合うようになっていた。
だが‥‥‥。
(俺は所詮殺し屋だ。ミアとは生きる世界が違う‥‥‥)
怪我が治り、アカハチはもうこれ以上ここにはいられないと、こっそり修道院を抜け出そうとした。
ところが‥‥。
「アカハチ!!」
ミアが、アカハチがいない事に気付き追いかけてきた。
「来るなミア!俺は、お前とは生きる世界が違うんだ!俺は‥‥殺し屋なんだぞ!!」
「知ってるよ!!」
ミアは、アカハチを探しに来た特殊部隊の人間から、アカハチの正体を聞かされていたのだった。
「あたしは、アンタが殺し屋だって関係ない!!あたしはアンタを‥‥」
ミアは、涙をボロボロ零しながら夢中で叫んだ。
「愛してるの!!」
行かないで‥‥‥。
アカハチは、そんなミアを見て心が揺らいだ。
だが、自分といれば、彼女は確実に暗殺の黒い影に付き纏われる。
アカハチは、必死に思いを振り切った。
「ミア、すまない‥‥」
「アカハチぃぃーーー!!!」
ミアの悲痛な叫びを残して、アカハチは部隊へ戻った。
以来、彼女とは一度も会ってはいない。
アカハチ、生涯唯一の、愛であった・・・・。