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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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地獄の特訓

「最低限とはいえ形にはなったか」


「もう……むり……」


「しんじゃう……こんなのしんじゃう……」


「なに言ってんだ、戦場じゃ無理からスタートして死ぬ寸前からが本番だぞ」


 最初に2on2を提案しておいてなんだが、クリスに手伝ってもらう必要はなかった。

 というかそこまで高度な近接戦を教え込む必要がなかったというべきか。

 とにかく基礎から叩きこんだ。

 具体的にはサーベルだけでの2対1での戦闘、それを延々と繰り返して休憩時間も飲み物片手にずっとシミュレーターの映像見せて反省点を伝え続けた。

 いやぁ、便利だよねシミュレーター。

 なにせ機体の内外両方を同時に映せる。

 結果的にどこで慌てたとか、どこのコントロールが甘いとか全部指摘できた。


 東雲は純粋に近接戦闘の経験不足で、右京はギア形態での戦闘経験不足だな。

 だから右京に関しては基礎中の基礎、ギアを歩かせるところから始めた。

 なおジャイロはオフにしておいたので結構苦労していたが、今ではランニング程度には走れるようになったのでジャイロとか有りならもう少し動けるだろう。

 多分全力機動したとしてもその辺のオート機能が生きているなら最低限戦えるくらいにはなったし、オート系が死んでも歩いて離脱くらいはできるだろう。


 一方の東雲はひたすら俺と戦闘。

 ドローンありにしつつ、俺が優先的にドローン撃ち落としたり、同じようにドローンで包囲して射線切ったりしてたので非常に面倒くさい戦いになってたと思う。

 そういう拮抗した状態を維持できるようになったのは……単純にドローン操作の技術が上がっただけなんだけどな。

 なので今度はドローン抜きでの切り合い殴り合いをして、それこそ東雲が吐いても続行した。

 蹴って殴って切って、大体全部できるようになった辺りで右京も合流。

 で、右京もゲロ吐いて、それでも続行して、涙目でもうやだと言い出したのでおやっさんに頼んでコックピットに縛り付けた。


 俺に一撃与えるまで帰れません訓練の開始だった。

 そこからはどんどん精度が落ちて荒くなっていったが、一定のラインを超えたところで動きがシンプルになった。

 見切りやすいという意味ではなく、純粋に強くなった。

 余計な動きが削ぎ落されたというべきか、俺の攻撃を受け流したりするようになって形になったのである。


 なお最後は二人とも目が据わっていたのでシートベルトにつけていた鍵だけ渡して逃げた。


「さて、それじゃ基礎訓練終わったし1時間休憩したら応用訓練だな」


 ぴくりと、屍のようにぶっ倒れていた二人が動く。

 ギギギギと錆びたギアのように首を上げてこっちを見てきたが、その眼は淀んでいる。


「基礎も基礎、近接戦の基本を覚えただけだろ。ここからライフルから切り替えたり、ドローンと並列使用したりと色々やる事増えていくぞ」


「うそ……」


「マジ、並列作業は当たり前だぞ」


 実際ドローンの操縦やりながら、俺も普通に近接戦してたからな。

 必要に応じてなんだってやるからな俺。

 それこそライフルぶん投げるとか、ドローン蹴り飛ばして軌道変えるくらいは全然やる。

 というかそのくらいの機転聞かせないと普通に死ぬからな。

 誘爆の恐れありでライフル咄嗟に投げ捨てるのは当然、目くらましとか内包するエネルギーをブッパするという意味で投げて破壊するのもあり得る話だ。

 他にも色々あるけど、メジャーなラインだとそういう投げ捨てだな。

 必要に応じてビームサーベルだってぶん投げるぞ。


「あの……応用ってどのくらい難しいんですか……?」


「え? 天井知らず」


「……え?」


 右京の質問に答えると東雲が疑問符を浮かべた。

 まぁわかりにくいよな。


「ぶっちゃけ本当に限界なんか無いんだよ。それこそ縛り入れるならどこまでもできるぞ。例えばブースターだのがいかれたうえで両足使えなくなりましたなんて状況だって想定できる。そういう内容のシミュレートも作ってある」


 凜のためにな。


「だから極端な話応用なんて言い出したら生身でギアを撃破する方法まで考えなきゃならん」


「それは……」


「流石にシミュレーターじゃ無理だな」


 出来なくはないけど、歩兵用の物体を持ち出さなきゃならん。

 こう、ルームランナーとかゴーグルとかセンサー大量に張り付けた物体を。


「というわけで、ギアでできる応用編。の中でも基礎となるのは投擲だ。例えばライフル、サーベル、他にもドローンを掴んで投げるとかが基本だな」


「ドローンを掴んでどうするの……?」


「そりゃ敵に向かってぶん投げる。敵のでも自分のでも構わない。初速で考えれば普通に飛ばすよりはスピード出るし、姿勢制御システムが正常なら向こうが想定できない動きをする。ただし俺達も想定できない動きするからその操作にも慣れなきゃいけない」


「うげ……」


「右京で言うなら空中変形アタックとか」


「……ネーミングセンスが」


「言うな、自覚はしている。まぁ名の通り超低空まで突撃かまして、回避されたら即座にギアに変形して切り込むのがベターだな。ベストは存在するのかすら怪しい」


「じゃあ最適解とかってないんですか……?」


「ケースバイケース。その時々で正解が変わるが、一番わかりやすいのは近い所にいるんだから切り飛ばす事だな」


「なるほど……」


「敵が密集隊形とってるならライフルで撃つとか、そのまま逃げるとかも選択肢に入って来るぞ」


「難しい……」


「戦場は水物だからな。正解なんて生き残った奴にしかわからん。それで反省点を見つけて都度改善していくしかない」


「……それは出撃前提では?」


「そうだぞ。だからシミュレーターに戻ろうね」


 にっこりと笑みを浮かべて指パッチン。

 近くで待機していたメカニックたちが二人を担いでコックピットに押し込めて施錠した。

 よし、あとはひたすら俺が相手してやるか。


 ちなみにベンチチームはシミュレーターで死ぬような目に何度もあってもらってます。

 あいつら基礎はできてたし、慣れの問題だったから。

 逆に言えば尖った物がないのが残念だけど、丸く収まっているのは悪い事じゃない。

 だから後は場数を踏むだけなので、俺が知る限り最高に厳しい内容のシミュレーターにぶち込んだ。

 軍でも大人気の通称地獄級シリーズ。

 重装甲ギアが一撃で落ちるくらいの攻撃が四方八方から弾幕のように飛んでくるとか、万を超える軍勢が軍隊よろしく攻撃してくるとか、近接特化相手にスナイパー気にしながら戦うとか、まぁ俺がゲームで経験してきたアレコレだな。

 どれもこれも死ぬかと思ったぜ……それに比べたら死なないし、ギアの世代も新しいから大丈夫大丈夫。

 死にたいと思うかもしれないけど、死なないように鍛えてやるからな?

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