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デスゲームで死んだらパラレルロボ世界だったんですが?  作者: 蒼井茜


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目指せ地獄の一丁目

 動けなくなった中学生をパワーアーマーに乗せて外部操作で無理矢理動かしながら作業する事しばし。

 最初は文句を言っていた奴らもどんどん大人しくなっていった。

 今では自らパワーアーマーに乗り込む意気込みまで見せてくれている。

 諦めたのだろうとは思うけど、メカニックなんて忙しい時はこんなもんだ。

 安全機能とかの問題で人間が乗って無きゃ動かないパワーアーマーに文句言ってくれ。


 一応作業用ドローンはあるけど、結構使い勝手悪いというか使い手を選ぶんだよな……。

 修理ならオートである程度動いてくれるけど、新造となるとそうもいかない。

 設計図飲み込んで作ってくれるような巨大3Dプリンターなんかも無いしな。

 結局ギアにせよ戦艦にせよ新規に作るなら人の手が必要になってくるわけだ。


「で、おおよそシステム組み上がったけど……まだ試せる状況じゃないな。そっちの作業手伝うが何から手を着けたらいい」


「そうさなあ……坊主はギアの方が専門だからタスクの作業を任せてもいいか。儂は戦艦の方に専念する」


「了解。こっち引っ張ってるのは?」


「あ、俺」


 一人の先輩が手をあげる。

 この人軍人じゃなくて学生だ。

 三年生とはいえだいぶ現離れした空気を醸し出しているな。


「じゃあ指示おなしゃす。つっても必要なら俺も口出しするけど……」


「いや、むしろ雨傘が主導してくれると助かる。流石に手探り過ぎて暗中模索だ」


「そっすか? じゃあ……まずスピーダーに当たるブースターから仕上げちまいましょう。最悪ここだけでも動けばタスクの能力は半分程度だせるんで」


 言うなればギアに戦艦用のブースター外付けするような物だからな。

 俺やクリスみたいなのはもちろん、撤退戦に仕えるので良平にも向いている装備だ。

 凜は……本人がもう少し鍛えないと使いこなせないだろうけど、逃げるだけならできる。


「了解だ。それなら以前のバックパックの応用でどうにかなりそうだ」


「とはいえ今回はその背負いものの上から装備ですからね。ジョイント部分とか少し複雑なんで声かけてください。そん時は手伝うんで、それまでは牙の部分作業してます」


「わかった。何人使う?」


「そっすね……2……いや、1年生でいいんで10人くらい貸してください」


「わかった。Bクラスから15人出す」


「気前良いっすね」


「例年通りならSクラス程度の実力は身についているけど、まだまだこれからな部分もあるからな。……というか実戦で鍛えられすぎなんだよ」


「はははっ」


「元凶お前だからな!?」


 おっと、笑ってごまかす作戦は失敗だった。

 しかし15人か……俺入れて16人、片腕につき8人の計算か。


「……目算3日ってところか?」


「恐ろしい計算をするな! そんな速度でやられても俺達が間に合わねえよ」


「試作で軽く作るだけなんで繋げてからの微調整は全体でやりますよ。ざっくり計算しただけですし、寝なければ二日です」


「睡眠の重要性!」


「そりゃ理解してますよ。流石に休まないと事故が怖い。特に中等部の奴らは体力作りからやり直させないとそのうちとんでもない事やらかしかねないんで俺も見張ってますけどね」


「あー、あれはなぁ……まだ身体もできてないからなぁ……」


 そこが一番の問題なんだよなぁ。

 子供の頃からメカニック用にせよパイロット用にせよ必要な筋肉ガンガンつけていくと骨格レベルで成長しなくなる。

 そうなるとおやっさんみたいなドワーフ体型になるから。


「それでももうちょいなんとかしたいっすよ」


「確かにそうなんだが、長い目で見るしかないだろ。流石に向こうの3年生になってくると少しはマシだぞ」


 確かに中等部の3年生はそこそこ動けている。

 まだパワーアーマーに投げ込まれるような状況じゃない。

 それでも死んだ魚のような目で手足がプルプルしているのだ。

 怖くて精密作業とか絶対やらせたくないし、機械にも触れてほしくない。

 なので交代で休憩しながらリフトとか使わせている。

 それも少し怖いんだけど、贅沢は言ってられない。


「さて、じゃあ俺達も作業するか。まずビームサーベルとライフルの一体化だがどこぞの坂月重工が作ったサーベルライフルとかいう色物をモデルにしつつ、射程と威力を上げた際にかかる負荷を抑えられるように調節していくぞ」


「……あのさ、雨傘ってパイロット科だよな」


「そうだけど?」


 一人のメカニック科が疑問符を投げかけてくる。


「なんでこんなに詳しいんだ……俺等よりよっぽどメカニック向いてるぞ。なんならアーキテクトだってできるだろ」


「そりゃ必要に応じてギアのプログラム書き換えてたし」


「どういう状況だよ……」


「台風の中最高速度で目的地にすっ飛んで行く時とか、風の抵抗や乱気流を肌感で計算して調整とか」


 まぁ台風と言っても地球のじゃなくて宇宙の磁気嵐とか、特定惑星のギアが推力無視して吹っ飛ぶくらいの風速の所だけど。


「……馬鹿と天才は紙一重か」


「残念ながら俺は馬鹿の方なんで。ギア馬鹿だよ。浪漫のためなら大抵の苦労はするし、周りにも押し付ける」


「はた迷惑な……」


「でも先輩から1年生のSクラス相当って認められるようになったじゃん」


「デスマーチのせいでな!」


「ふむ……想像する最大のデスマーチ&締め切り間際っていうのを想像してみな」


「ん? んん……」


 みんなうなりながらも最悪の装丁をしているようだ。

 どんどん顔色が悪くなっていき、中には呼吸が荒くなる奴もいた。


「それは地獄の一丁目どころか三途の川も超えてない」


「ヒュッ……」


 おっと、誰かが息をのむ声が響いた。

 でも実際、学生程度が想定できる地獄なんてそんなもんなんだよなぁ……。


「さぁ、これから向かうは賽の河原。本腰淹れないと三途の川超えになるぞ。全員設計図通りに始めてくれ」


 俺の言葉に一人残らず走らないようにしながら作業に移っていった。

 ……そんなに怖いもんじゃないんだがな。

 超えてみれば呆気ないもんだ。

 ちょっと、前の生活に戻れなくなるだけで……具体的に言うと家が軋む音をギアの関節の音と間違えて跳び起きてスパナ探す程度だ。

 まだまだ追い込めるな。

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