風向き変わったわね
「し、死ぬかと思った……」
「大袈裟だな。それより付属中は隣の校舎だろ? 急がなくていいのか?」
「吐き気でそれどころじゃないよ……」
グロッキーな妹をよそに、決められた場所に着陸させた機体を専門家に任せて俺達はゆっくり歩く。
確かにバランサーとかオートのままだったら遅刻してたかもしれんが、空に法定速度は無い。
ちらっとその辺調べたけど、スマホらしき物体の使い方も微妙に難しかったから運転しながらってのは難しくてな……。
なんだあの3Dで映像が飛び出てくる板、操作方法がよくわからん。
まぁ音声認証で済んでよかった。
声も顔もリアルの俺のままだったしな。
大きな変化はあっても、俺にとって悪い物じゃなくてよかったよ。
「適応力だけは変わらないなぁ……」
「何か言った?」
「いや、なにも」
「そう? それよりあんな無茶な操縦何処で覚えたの?」
「え? あー、シミュレーターでちょっとな」
「……あんな操縦覚えられるようなのあったかな」
「あるんだよ。それより入学式、早く行こうぜ」
「あ、うん、そうだね。予定より時間できたし私はゆっくり行くからお兄ちゃんは先に行きなよ。パイロット科のクラス分けもあるんだし余裕持ってた方がいいと思うけど……あの操縦ができるなら問題ないかな」
「そうなのか?」
「そうなの!」
なんか怒られたけど、別に悪い事じゃないと思う。
前の世界じゃ凛は小学生のうちに死んでた。
だから俺は今の、中学生の凛を知らない。
けどこんな風に言い合いができるってのはいいものだ。
あの時の喪失感、親父が仕事に熱中するわけだ。
それにしてもパイロット科か……俺向きではあるけど、こんな旧型じゃ限界も早いだろう。
ってことはやっぱりそれなりの、せめて第二世代機でも欲しい所だが……叔父さんを頼るためにもクラス分けテストとやらは本気で挑むべきだな。




