貧乏性
「それで試験結果どうだった? そっちはクラス分けテストあったんでしょ?」
「あー、まぁぼちぼちかな」
「ふぅん? じゃあ聞き方かえるけど、手ごたえは?」
「ばっちり」
さすが俺の妹、扱い方をよくわかってる。
曖昧な機器かたされたら俺も曖昧に返すし、具体的な部分を突かれたらそれに答える。
そういう性分なのだ。
まぁひねくれてるだけともいうが。
「じゃあ上位クラスは行けるね! というか朝の操縦からしていけなかったらおかしいか……あ、帰りは安全運転でね。オート機能外しちゃダメ」
「うす」
そしてしっかり釘を刺すのも忘れない。
自慢の妹です。
「けど上位クラスになったからと言ってなぁ……下からせっつかれるだけでいいもんじゃないだろ」
「何言ってんの? 上位クラス、例えばAクラスなら最低でも尉官からスタートだよ?」
「へぇ、じゃあSクラスは?」
「んー、そっちは詳しくないけど尉官は確定。上手くいけば佐官くらいにはなれるんじゃないかな」
「ちなみに将校になるには?」
「そんなの私も知らないよ……え、何? お兄ちゃんもしかして将校になろうと思ってるの?」
「まぁ、安全な後方任務がいいなって」
あと権力欲しい。
戦力も欲しいけど権力の方がいい!
あと財力!
ただそういうのは隠した方がいいなと思うんだ、俺。
「いや、雲の上すぎる話しているからどこまで飛べるか聞いてみた」
「なにそれ……まぁ強いて言うならそういうコースに行くか、叩き上げでなるしかないんじゃない?」
「なるほど……そういや凛の方はどうだった?」
「ぼちぼち」
「そっかー」
「……深掘りしろ!」
げしっと尻を蹴られる。
痛くはないがはしたないのでやめなさい、スカートだろ。
「じゃあ、なんか試験とかあった?」
「まぁそっちと似たり寄ったりでクラス分けがあったよ。中の上か上の下くらいは行けたんじゃないかなと思うけど……紙のテストでいい点数とってもパイロットになれるかは別だからね」
そういや調べた限りじゃ中学生のギア操縦には付き人が必要なんだっけか。
最低でも成人していることが条件で、高校生になるとそれは免除されるけど全部自己責任になってくる。
4歳分の差とはいえ他人の責任も背負えるかどうかってなるとデカいからな。
仮免みたいなもんだし。
またの名を予備兵の更に予備と言った所か。
「パイロットになりたいのか?」
「うん、Lのミドルネームもつ家とかあるじゃない? あぁいうの憧れるよねぇ……」
……すまん、それボコった。
「あとなによりパイロットはお給料がいい!」
銭のマークを指で作ってこちらにウィンクしてくる。
うむ、可愛い。
「なるほど給料か……けど危険手当はともかく基本の部分だと前線のメカニックとか、従軍医とかも結構高給取りじゃね?」
「それはそうなんだけど、パイロットは前線でも美味しいご飯が食べられるの! あと寝室が専用に用意されてたり待遇がいいんだよ!」
「そうなのか。それはお得だな」
「そうお得なの! だから私は将来パイロットになるか、玉の輿でいい男捕まえるの!」
夢はでかい方がいいからなぁ……だが嫁にやるのはまだ早い!
「さて、どうする。直帰するか、それともどっかで飯食うか」
「んー、じゃあ学食で食べてから帰ろうよ。ここの食堂安くて美味しいらしいから」
「ほほう、そりゃ楽しみだ」
リンに案内されるがまま、食堂に辿り着く。
……なんで俺が通うはずの学校なのに妹の方が詳しいんだろ。
というかここまでの道もうろ覚えだ。
マッピングはそこまで得意じゃないんだよなぁ。
「あ、今日は牛丼セットがお得だって!」
「牛丼単品で完結してる気がするんだが……何がセットになってるんだ」
「サラダと豚汁!」
「それはお得だ!」
割と貧乏性な兄妹でもあるのだ。




