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守護する日記  作者: ZIZDoG
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【1日目】

 なんて書き始めたらいいか、分からない。


 とりあえず日記を書き始めようと思って、なにか書ける物を貰ったんだ。


 まず、あれかな。自分の中でも整理をするために、今日起きたことを順番に書いていこうと思う。


 今日はいつものように、無職をただ過ごしていた。

 家の中でご飯を食べて、ソファーに寝転がりながらサブスク映画を見る。

 映画に飽きたら動画配信サイトに付けて、ただただ可愛い女の子を探すために徘徊していた。

 可愛い声に癒されたいなと探していたけど、ボーっと何してんだろうなって、働かなきゃいけないのになと考えていたくらい暇だった。


 14時くらいになって、可愛い女の子を探すのにも飽きて、あくびをして目を閉じた。

 

 大きなあくびだったと思う。

  

 このまんま寝れるなと思いながら、目を開けたら知らない景色が目の前にあった。


 家の中ではなかった。


 よくアニメとか映画で見るような、王城の謁見の間のようなところにいた。


 夢かな?と思いながら、目を擦っても夢が覚めることも無く、自分の姿はパンツに肌着という汚らしい格好のままだった。


 なんだろうと、夢うつつのように周りを見渡せば、俺の前には4人くらいキョロキョロと周りを見渡す男女がいた。

 その奥には、立派な椅子に座る豪華な服の外国人数人。

 そして、昔ながらの西洋風の服を着た人間と、甲冑を着込んだ人間が俺たちを囲む様に立っていた。


 異世界転移だ。


 と、その時は冷静に考えてしまった。


 人間、こういった突然なことに呆然として、逆に冷静になれるんだなと感心してしまった。


 冷静だからと言って、なにか俺が発言することはない。

 人見知りだからだ。

 前にいる4人は、おそらく日本人なのだろう。コソコソと「え?ここなに?」とか「夢なの?」とか感想をぶつぶつと言っている。

 

 よく異世界転移物の物語にある。「きゃああああ!何よ!!ここどこよ!!」も無ければ「来たあああ!!異世界転移っしょ!これ!」みたいな、王道のセリフは誰も言わなかった。


 謁見の間の真ん中にいた、俺を含めた5人は比較的に静かにしていた。


 そうすると、立派な椅子に座った白髭の長い爺さんが。


 「よくぞ。よくぞ、来られた!勇者たちよ!!!!」


 って日本語で話しかけてきた。


 いや、日本語なんかーいって思ったよね。でも、まぁ便利か。なんて考えてたら、その白髭の長い爺さんが、色々と説明してきた。 


 要点をまとめると、次の感じ。


①世界に魔王が現れた。

②神様が異世界から転移させた人間に勇者の力を与えると啓示を受けた。

③2年以内に魔王を討たないと人族は滅びる。

④どうか、お願い助けて。


 THE王道って感じだった。


 ただ、ここからが問題だった。


 勇者の加護を得るのは4人らしい。でも、この場に転移した異世界人は5人。

 え?人狼ゲーム始まるの?って感じ。

 

 5人で顔を見合わせ合ってた。誰が外れたの?的な。


 服装的には、確実に俺がはずれだけどね?パンツと肌着て。

 他の4人はしっかり服も来てましたわ。


 エリートかよ。


 そんなことは置いておいて、結局誰が勇者なのかは異世界お馴染みの、ステータス鑑定をで分かることになった。


 結果的には、俺が外れ。


 俺は勇者じゃなかった。


 勇者の加護じゃなくて、守護者の加護が俺にはあるらしい。


 いや、何も付いてないとか、雑魚そうなのじゃないんかーいって俺も思ったよ。

 異世界転生とか転移とかは不遇職からの成り上がりみたいなのが良くあるパターンなのに、守護者って。

 家を守護してたけど、そういうことなんですか?

 そもそも、ここでは何を守護するの?って感じ。甲冑の兵士いっぱいいるじゃん。


 ちなみに、他の勇者からは羨ましそうに見られた。

 そりゃそうだ。守護者は自分から、戦いに行く感じが無いもんね。

 勇者となった4人は自分から討伐に行かなければいけない。そう思ったら、とてつもなくラッキーだった。


 ステータスで守護者と出た後に、守護者についての説明もあった。


 また要約すると。


①白髪の長い爺さんの娘が、人族が住む大陸全体に結界を張っている。

②その結界の中では魔族からの攻撃は比較的にダメージダウンする。

③娘さんが魔族からの攻撃に弱い。

④娘さんがが死んだら結界が無くなる。

⑤守護者は王城で姫を守護する役目。

 

 とのこと。


 基本的には王城で、娘さんを護ることが役目とのこと。


 はぁ。まじか。格闘技どころか喧嘩もしたことないよ。護れるのかな。

 娘さんが死んでも、代わりに結界張れる人がいるんとちゃいますの?って心の中で思っていた。


 でも、娘さんの力も神様から特別に貰っただけで、替えが効かないらしい。


 神様め、中途半端に手を貸して。けちんぼ。

 とりあえず、自分の役目は分かった。

 

 オデ、ムスメ、マモル。


 ちなみに、娘さんは銀髪の長髪でに、切れ長の目をしていて、クールビューティーな感じ。

 あんな可愛い人を守るの?俺が?ってボーっと見てたら、嫌そうな顔された。


 え。なんでって、少し落ち込んだけど、よく考えて見たらパンツに肌着だった。

 そりゃ嫌な顔にもなるよな。


 そこからの話は早かった。


 明日から、力を使うための訓練をするからよろしく。みたいな。

 

 ちなみに召喚された勇者達と俺はすんなり受け入れた。


 召喚されたからには仕方ないという気持ちが強くなったのかもしれない。

 はたまた、良くある話だと、召喚されたときに洗脳されたとか。

 あるかもしれない。だって、めっちゃ冷静だもん。自分が人見知りの無職だとは思えないよ。


 でも、今考えても仕方ないか。


 解散前に、各々欲しいものを聞かれたので、日記になるような紙か本と筆をお願いした。

 こっちの世界にも日記の文化があるようで、立派な本を貰った。


 少しテンションが上がった。


 もしも、元の世界に帰れたら、このまま投稿サイトに投稿しようと思う。

 無職から作家に転職だぜ。

 夢のような所にいるんだから、日記くらい夢を書かせください。お願いします。


 あと書いておくこととすれば、娘さんの住んでいる隣の部屋を貰ったことくらいかもしれない。


 今日から少しでも、近くで生活するらしい。


 娘さんからはめっちゃ嫌な顔をされたけど、俺としては役得。

 美人で可愛い。冷たい目も素敵。


 近くにいるなら仲良くなれるのカナ?


 っておじさんになってしまう。


 今日の日記は、このぐらいにしておこうと思う。

 思い出しながら書くことなんて、人生で無かったから疲れた。


 夏休みの宿題とかは出したことないから、これが本当に初めて。

 

 日記を書いて、これから晩御飯だ。

 

 楽しみ。


 勇者と守護者で食事に差があったら泣くぞ。

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