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メロンソーダ

 遊戯棟......一階層が体育館程度の広さでそれが3階層ある。一階はみんながイメージするような典型的なカジノ場だ。2階は図書館のような見た目だが収納してあるのは本ではなく世界各国のボードゲームなどである。そして、3階は......。


「おい、これなんだよ」

 朝陽が何か分からない機会を差しながら言う。

「えっとなになに?投射機?」

 『star of life』、以降は『sol』と呼ぶ。に載っている説明欄には投射機と書いてあった。何かに使うのでしょう。僕には何も分かりません。


「てか、人多すぎだろ」

「まじでそれ」

 今日解禁された1年生で溢れかえっている。

「真凜とか陽奈とか誘えばこのボードゲームとかできたのに」

「無茶言うなよ、みんな部活で忙しいんだよ。俺たちと違って」

 星をたくさん持っているのか1階で賭けまくっている上級生達、それを見る俺と朝陽。

「帰るか」

「そうだな」

俺と朝陽は帰路についた。 


「なあ」

「なんだよ」

「さっき、麻美からRine来てベーシックストアの焼き鳥が100円だってよ」

「これからはやりくりしていかなきゃな」

「そうだな」

その時、ポケットでスマホが震えた。

真凜からメールが来ていた。


『今、解禁された商業エリアのカフェにいるんだけど今すぐ来てよ』


 いきなりだな、自己中とも取れるかのような文章である。まあ、かわいいから行くけどね。

「朝陽、デートの誘い来たから行ってくる」

「わかった、できるだけ苦しく死んでくれ」

「じゃな」

「おう」


 俺は朝陽と別れてから両目を閉じていれば牛と間違われるかのように走り出した。

 本当に、真凛ってやつは人を振り回しやがって。かわいいからいいけど。

 これがワンピ○スのガイモンみたいな奴だったら絶対行かねぇからな。(ガイモンにはリスペクトを持っています。決して馬鹿にしてるわけではありません。)


 そんなこんな思いながら走っていると曲がり角で1人の女子生徒とぶつかってしまう。

 

「なによもぉ」

 ぶつかった生徒は......。

 こ、氷姫?!

「こ...橘すまん、スピード出しすぎたわ」

「あなたなのね黒羽悠人、だからあなたみたいなちゃらんぽらんが1番嫌いなのよ」

 瞬時に言葉という凶器で殴られる。なんでこんなに罵倒が飛んでくるんや、やめて、悠人くんのライフはもう0よ。

 これ以上ガラスのメンタルを言葉というハンマーで殴るのはやめて。


「本当にごめん、俺の方が6割悪い」

「出会い頭の過失割合じゃ無いの!」

「え、」

「そもそも1:99であなたの方が悪いでしょ、なんで私が4割も負担しなきゃいけないのよ」

 ここまで息継ぎなし。血が上っているのか橘は顔を赤くしながら言う。

「交通事故ってそういうものだろ(キリッ)」

「ほんとにぶっ飛ばすわよ」

「ひやぁ〜こわい怖い」


 は!こんなコントしている暇ないんだった。遅れたら遅れたで真凛に焼かれる。


「今度、ジュース奢ってやるから」

 俺はそう言って逃げるかのように走る。

 チラッと後ろを見ると、氷姫こと橘楓たちばなかえでは本物の殺意を込めているかのような眼力を放っていた。

 こりゃ、明日からの教室が地獄になるな。

 でも、そんなことに構ってる暇はない。


 朝陽と別れてからかれこれ10分ほど走りやっと商業エリアに着いた。

 ここで一つ気づいた。

「俺、初めて来たからどこにカフェがあるのか分からん」

 それもそうである。一年生にとって商業エリアは今日解放されたばかりなのだから。

 俺は手当たり次第にそれっぽい店を探す。

 それにしても商業エリア…案外しっかりしているな。生徒が運営してるみたいな話だったから、どんな陳腐なものかと思ったが...普通に街中にあるような完成度である。流石、応戯学園だ。他の高校とはスケールが違うな。


 エリアに入ってから約5分少々が経った。アウトレット並みに広く且つ人がとてつもなく多い。 

 これ以上陽菜を待たせると何されるか分からない。大人しく聞くか。

 俺が『Rine』で聞くと即座に通知が来た。商業エリアの地図が送られてきた。

 こんなのあるなら最初から送れよ。


 その地図を頼りに陽菜が待ってるカフェに向かう。

 人の波に漂流しながらやっとの思いで到着する。


「はぁ、はぁ、流石に今回は疲れたな」

 肉体的にというか精神的にストレスがかかっていたようだ。

 店内に入るとレトロをコンセプトにしているのか歴史を感じる内装だった。


「悠人、こっちこっち」

 聞き覚えのある声、もちろん陽奈である。

「もぉー、遅いよ何分待ったと思ってんの?」

 再度言います。もしこいつがこんなに可愛くなければ手を出しています。ぼこぼこのぼこにしないと気が済みません。

「陽奈が最初から地図を載せといてくればこんなに時間掛からなかったんだけど......それよりなんの要件?」


「それなんだけど、ちょっと呼んでくるから待ってて」

 そう言いながら陽奈はカウンター席の方へ歩いて行った。

「ご注文どうなさりますか」

 俺のことに気づいた店員が尋ねてきた。

「あー、じゃあこのメロンソーダで」

「かしこまりました」

 

 店員とすれ違うように陽奈と知らない男が俺のいるテーブル席に座る。

 

「この人は?」

「紹介するね、この人は3年5組の三好先輩。この店の店長だよ」

 学生で店長...これが学生が運営してるとかの話か。でも、明らかに大人と思われる店員もいる。詳しい話はまだ分からないな。


「三好です。簡単な話なんだけど2人ともこの店でバイトしない?」

「バイトですか?」

「うん、今日やっと学校からここの仕組みを聞かされたのかな?そこで毎年この時期は1年生の争奪戦なんだよ」

「な、なるほど。でも、なんで俺なんですか?」

「最初は陽奈ちゃんを誘ったんだけど...」

「私が悠人と一緒なら良いですよって言ったの」

 陽奈が割り込んで入ってくる。

 あー、さっきまでの事は全て許す。最高に愛しいです。


「なるほど分かりました。少し考えさせてもらいます。」

「もちろん。条件とかは陽奈ちゃんを通して送るね」

「じゃあ、今日はこれで」


 俺と陽奈は外に出る。

 日はさっきよりも暮れ外はクロームオレンジになっていた。

 

 今日はとても濃密な1日だった。 

 もう少し引き締めないと本当に退学になったりして。 

 まぁ、大丈夫だよな。なぜなら俺は黒羽悠人くろばゆうとだから。



 この時の俺は気づいていなかった....
















 メロンソーダを頼んだままだったことを。

 










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