つまり陽キャです
2030年。5月1日。
俺は国立応戯第一学園に通っている。
この学校は日本で最も『遊戯』に力を入れていると言っても良い。
この学校は外界との通信を制限されており、イメージとしては自衛隊の基地の中に学校があり、門が開く事は物資等が運ばれるときなどたまにしかない。
「あっさみー!おはようー!」
朝の教室に元気な声が響く。
「悠人、おはよう」
この赤茶髪の女子生徒は辻浦麻美。俺と同じ陽キャグループ(自分で陽キャと言うのはおかしいが)の1人だ。女子にしては背が高いことからバスケ部に入っている。
「今日も美女だな、見て3秒で惚れてまうがな」
「え?言わなくても知ってるけど?」
「そして、5秒で冷める」
「あ?」
麻美が俺に対して圧、いや殺意を浴びさせてくる。怖い、怖い。
「じ、冗談はさておき暇だからトランプでもしないか?」
「まぁいいけど、何やるの?2人だからスピード?」
ふぅー、え?何やろう?殺気に怯えてとりあえずトランプって言ったなんて事を伝えたら命がいくつあっても足りない。
「ババ抜きにしよう」
一瞬の間ができた。原因はどう考えたってこの場には2人しかいないからだ。2人だけのババ抜きなんてク●ゲーだからな。
「おめぇはバカか?2人でババ抜きをしようなんて言うやつは見たことないわ」
はい、これを見たら分かるように辻浦麻美は口が悪いです!多分元ヤンとかではないはず...そう信じてるけど。
ただ、推測としては喧嘩はかなり強いと思われる。なお根拠はない。
「もう少しすれば真凛とか朝陽とかがくるでしょ」
真凛と朝陽の2人も俺と麻美と同じ陽キャグループのメンバーだ。
少し話がずれてしまうが、俺たちは世間一般で言う陽キャとかリア充グループってやつだ。
例えば麻美は入学してまだ1ヶ月経ってないが2、3人から告られたらしい。つまり、それぐらいモテる。●ねよ!おっと...。
「あ!芽依、陽奈おはよう」
北条芽依、俺らと同じ以下省略。
背が低く、天使のような笑顔の持ち主で天然明るい系(そんなジャンルがあるかは知らん)である。そして、髪は美しい漆黒色のセミロング。
成瀬陽奈もテニス部の次期エースとかで学校内でかなり有名、こいつはおそらく俺らのグループ内で1番モテる(俺調べ)髪色は焦げ茶色。
「4人集まったしハーレムトラ...ゴホンゴホン、普通のトランプをやろうか」
最近の学校はトランプやチェスなどの有名なものをはじめとしてマイナーなボードゲームとかも教室に備えて付けてある。
「悠人って本当にカスだよね」
さらっと陽奈が言ってくるから俺は貶されてることに一瞬気が付かなかった。ナンニモヘンナコトイッテナイノニ。
「あれ、陽奈少し見ない内にさらにかわいくなったか?」
すると、え!やだーみたいに照れ始めた。
チョロすぎ、ワロタ。カナダの首都はオタワ。
「ごめん、気のせいだった」
「あーもう、悠人に授業ノート見せてやらないから」
「ごめんなさい、ごめんなさい、どうかそれだけは」
準備を済ませたのか陽奈は俺の隣に座り、芽依は俺の右前の席に座った。
「それじゃ、始めるか」
俺はそう言いながらカードを全員に配った。
最初に俺は陽奈からカードを引く。
こいつジョーカー持ってるな、《《目の動きから》》分かったぜ、わざと引いておいてやるか。
そう思ってジョーカーに手を当てると陽奈は少しニヤッと笑った。
だが、逆にカードから手を離すと少し切ない顔する。いや、かわいいかよ。
それでも俺はジョーカーを引いた。
すると陽奈はざまぁみたいな顔で見て来た。腹立つなこの野郎。
「悠人一発目から引いたの?」
「そ、そ、そ、そんなわけ」
「くそ動揺してんじゃん」
「女の子がくそなんて使っちゃいけません」
それを言うと麻美はイラっとした顔で見つめてくる、いやーモテる男は困るね。
その調子で続けるが麻美が全くジョーカーを引かない。
これは備考だが麻美は遊戯の成績はかなり上だ。
別に俺が負けても良いんだが、最後に一波乱あって初めて面白いからな。
俺は3回目から気づいていた麻美は俺から見て右からフィボナッチ数列で引いている。
フィボナッチ数列をめちゃめちゃ簡単に説明しよう、1、1、2、3、5、8......
4つ目の3は2個前の1と1個前の2を足すと出る。
これの繰り返しだな。
え?わかりにくいって?そんなもん知らん。
つまり、麻美が次引くのは右から8番目だがカードは5枚。
往復して3枚目を引くはず!
そして本当に麻美はジョーカーを引いた。
「悠人のくせやるじゃないの」
因みに俺はほとんどの教科を中の中で設定している。例えば4月にあった学力検査では大体平均54点になるようとっておいた。あの難易度だと平均的がそれぐらいになるだろうからな。
「え!あさみー引いちゃったの?」
芽依が焦っているのが丸わかりだ。今、麻美がジョーカー引いたのは台詞でわかるだろうし。
「はーい、芽依ちゃんの番よ」
麻美が芽依に向けて威圧をかけながらカードを構えた。
麻美は別に元ヤンとかそう言うのじゃないはずだけどこの子怖い、ガクガクブルブル。
芽依が麻美からえいっとカードを1枚引いた
その後満面な笑顔を見せてくれた、はい、かわいい。
「芽依、よくやったわ」
陽奈はそう言って、すぐにカードを引いた。
次は俺が引く番か。
陽奈はカードを構えて、俺を見つめてくる
何この子かわいい。
あれ?さっきから同じ事ばっか言ってる?
警戒する必要も無いし、適当に引くか
俺がカードを構える、麻美は俺の表情を見てるのか、じっと見つめてくる。
「麻美、いくら俺の事好きだからってゲームの時ぐらい俺の顔以外も見てくれよ」
「は?いつ私はあんたが好きになったのよ」
すっげえ塩、もう少し乗ってくれたって。
「心配しないで、芽依は悠人の事すきですよ」
「あぁ、俺の目の前には天使が」
「だから、この後焼きそばパン買ってきて」
「天使だと思ったら悪魔だった」
そんな、はたから見たら〈ヤッベこいつら寒過ぎ〉と思われるぐらいの冗談だが、身内だと案外面白いよ、うん。
そんな事言ってる間に麻美が引き終わり、
3枚の状態で1組そろった。
残り1枚でそれは芽依が引くから。
「あさみー、1抜けですか?!」
「みんなーごめんねー^_^」
めちゃくちゃ笑顔で煽り風に言ってきた。
つまりジョーカーは芽依か、その後も順調に進み。
遂に、俺と陽奈の一騎打ちになった。
「陽奈....大事な話がある。」
「な、何よ?」
「俺は、陽奈を愛している。ところで、どれがジョーカーかな?」
正直な話ジョーカーが陽奈に移ってからずっと見ていたから場所わかるんだけど
「奇遇ね、私も愛してるわ悠人、だからこれ引いて」
カードを1枚上に上げた、ちなみにそれはジョーカーだ。
「分かった、陽奈を信用してそれを引こう」
そう言ってあげられたもう片方のカードを引いた。
「悠人、言動が一致してないんだけど」
それでキングが揃って残り1枚となった。
「さ、陽奈ちゃん引こっか」
「ぐぬぬ不覚」
悔しがりながら俺のラストのカードを引いた、ババ抜きを始めてから10分も経っていない、すると2人の生徒が教室に入ってきた。
「真凛、朝陽おはよう」
望月真凛はアイドルっぽい芽依とは違ってモデル感のある生徒だ、裏で腹黒とか陰口を言われているが全く気にしない。はい、メンタル最強。
柿原朝陽真凛と幼なじみ(羨ましい)、帰宅部だがよくいろんな部活の助っ人とかに行くぐらい運動神経化け物。
髪をオレンジに染めているガチモンの陽キャ。
「芽依もおは」
「おはよう」
これで俺達のグループが全員揃った。
「今日の時間割ってなんだっけ?」
「えっと、数国英理体《《遊》》だったはず」
遊はゲームの授業、実習のことである。
「なんか今日からはより難しいことをするらしいよ、風の噂だけど」
もし、本当にそうなら少しだけ楽しみだな。
「よし真凛と朝陽も来たことだしもう一回やるぞー!!」
「「「ウォー」」」
皆さん覇気がなさすぎじゃないですか?
俺の根幹を誰かに見せるわけにはいかない
他のキャラはよく陰キャ風に扮しているが、結局はバレている、バレないためにはどうするか、噂や疑いが出たとして1番対処しやすいのはなんだろう、そこで導いた。
つまり陽キャです。