第47話 縁繋ぎ
謝罪。
更新遅くなって、申し訳ございませんでしたッッッ!
聖皇歴518年──新年。
乖離大陸に来てから2週間が過ぎた。
いつの間にか暦がひとつ進んでいた。だが乖離大陸では年越しなんておめでたい行事はない。なんら変わらない日常だ。
かくいうレッドウルフも心機一転はなく、ひたすら依頼をこなして宿で休んでの繰り返し。
人大陸に居た頃と大差ない日常を送っている。
「大岩蛇の討伐達成、受理いたしました。こちらが報酬金でございます」
受付嬢が手渡した報酬金を受け取る。
ちゃんとあるか確認……金貨が8枚、銀貨が8枚。よし、あるな。
「ありがとうございます」
「またの御活躍、ご期待しておきます」
全国共通の挨拶を丁寧に行う2つ首の受付嬢。
2つとも同時に頭を下げていた。
獣族の戦士としての目をもって完全同時であると見抜けた。
だからなんだという話、両腕を完璧に合わせるのが難しいのに頭は合わせられる。魔族は不思議だってだけである。
冒険者ランクは気づけばCに上がっていた。
上がったところではある。CランクでもAランクの依頼は受けられない。
Aからは難度が上がるというのが世間の常識で、安全のためにBランクは要る。
よってCランク冒険者ではまだまだ不足。
変わった事を強いて上げれば、ギルドから掲示板に貼られる前の依頼を先出しで教えてくれる事があるくらいだろう。
Cランクともなれば一定の信頼が置ける。
知らない腕利きよりも信頼できる知人。
Cランクからは先渡依頼が稼ぎとして追加される。
まあCランクだからといって信頼が置ける冒険者でなければ先渡依頼の話も入ってこない。
堅実にやっている冒険者がわりを得られる制度なのだ。
2週間かけて構築した信頼は中々に厚い。
というか僕たち以上に強い人がそうそう居ないので先渡依頼の話も耳に入ってくる。
そのおかげで、金も貯まってきた。次の街に行くのもそう遠くない話だ。いや、数日後には出ようかな。
リーシアに相談してみるか。
今日は先渡依頼の話はなかったので掲示板を見る。
今日も今日とてお仕事、働かざる者食うべからず。金がないと生きていけないんだ。
「あ……」
依頼掲示板の方に行くと見知った顔があった。
4つの頭……それぞれ背が違うので目線の上下運動が激しくなる。
「お、おはようございます、『赤狼』さん!今日はいい天気っすね」
愛想笑いを浮かべるのは天然の岩石鎧を身につけた魔族──『振激』のバンダロ。
バンダロの後ろには順に──悪食族で丸っとした『偏見』のワユー。
──岩石族の中でも小さめな『無骨』のピーヨ。
──毒虫族だが毒を持っていない『刺針』のバンディ。
Bランクパーティ『スタックアウトロー』の皆さんだ。
「おはようございます『振激』。仕事日和ないい天気ですね」
丁寧に挨拶を返すと彼らは苦笑いを貼り付けながらウンウンと頷いた。
何か文句でもありやがるってのか……まあ文句しかないんだろう。
彼らとは関わらないようにしていながら、2日目で事件が発生した。
鐘撞亀がいるという洞窟の向かい道にパナウ荒野があった。まあ無視して進めばいいかと思ったが、魔物たちはお構い無しに僕たちに襲いかかってくる。
不幸にも乖離大陸には魔物避けの香炉が存在しない。
便利アイテムだが、魔族にも効果があるという事で忌避されている。
そのせいで、道中の魔物は戦うか逃げるかの二択。遭遇しないというのは魔物の巣窟である乖離大陸ではほとんど無理だ。
そんなこんなで依頼にあった剛腕烏も討伐してしまったところ、ちょうどよく現れたのが『スタックアウトロー』だ。
ちょうどよくと言ったが、隠れて様子を伺っていたようで、僕たちがしでかすのを影で待っていた。
本来依頼対象の魔物を他パーティが倒してしまった場合は互いの利益と評判のために依頼した冒険者が倒した事にする。
しかし彼らが選択したのは和解ではなく、戦闘であった。
乖離大陸の掟だとか言っていたが、そんなものないのです。ただ単純に僕にムカついただけでしょう。
そんなこんなで戦闘して勝ったというだけの話。
Bランクと言えどほとんどが中位クラス、敵ではなかった。
思えば僕は少し強くなりすぎた。
思い上がりではない、鍛えてくれた人が凄かったから強くなれた。
師匠は『獣神』。何かを教えてくれる人ではなかったが、稽古のみで学びしかない人だ。
時が経れば人は勝手に成長し、見本があれば更に上手くできる。
最上位もあれば乖離大陸ですら通用する。
魔物の多さ、過酷な環境、飯の不味さはどうとでもなる範囲だ。
巷で有名なBランクパーティでも相手ではない。
どれだけ強くても面倒事は御免なのでリーシアに治癒魔法を使ってもらい、そのまま今日の事はお互い忘れようとなった。
のだが、翌日に『激流』のベォルスに話すと噂は一夜で広まる事となった。メンツを汚された『スタックアウトロー』は仕方なく舎弟になり、今に至るというわけだ。
「今日も依頼っすか?2日連続なんて流石ですね『赤狼』さんは」
「生きるためには当然の事ですよ『振激』」
2つ名で呼び合うのは乖離大陸のルールらしい。そっちの方がかっこいいからという理由で。
僕の異名はいつの間にか『赤狼』になっていた。
レッドウルフのリーダーだから『赤狼』。子供でも容易に思いつく異名である。
かっこいいからアリだ。
『赤狼』のムート。
ちなみにリーシアは『熾天』という凄くかっこいい異名がついた。
僕が天使と言い過ぎたせいと彼女の得意魔法に火属性があるからという理由。
本人は恥ずかしがるので僕は呼ばないようにしてるけど。
異名もついたことで箔がついたのか、1目置かれる存在になっていた。
Cランクながら幅を利かせ、『最上位』の実力を持つ人大陸から来た2人パーティ──『レッドウルフ』、と。
良好な評判とは耳にいいものだ。
子供という事で悪い噂もあまり立たない。精々が裏の組織で育っただの突拍子もない強さへの裏付けだ。
裏組織よりもすごいところで育てられた強さなんですけどね。
「それではまた」
僕は依頼の受注をせずに冒険者ギルドを後にする。
受けたい依頼もなかった。
それに『スタックアウトロー』の連中と関わっているとAランク依頼を受けて山分けしようなんて言ってくる。
Bランクパーティである『スタックアウトロー』はAランク依頼を受ける事ができる。
しかし彼らの力ではAランクの魔物を倒せないという。
Aランクは最上位レベルが必要とよく言われる。
『スタックアウトロー』にはそれだけの力はない。
なので臨時協定という事で『スタックアウトロー』と『レッドウルフ』が組む事でAランク依頼を簡単に終わらせるという算段らしい。
しかし欠陥だらけだ。
まずCランクの『レッドウルフ』はBランクパーティと臨時協定を結んだところでAランク依頼は受けられない。
ギルドにバレないよう影でこっそりやろうと言ってくる。
バレたら信頼の崩壊、最悪は冒険者資格の剥奪される。
誰がやるんだか。
それに山分けと言ってもパーティメンバーの数が違うからと7/3に依頼報酬は分捕ってくるだろう。もちろん、3が『レッドウルフ』。
その上、討伐は僕たちに任せっきりにする小悪党っぷりを存分に発揮してくるに違いない。
腰巾着、ああはなりたくないね。
でも、おばあちゃんへは寄付をちゃんとしているようだ。
4人の育ての親らしくお世話になった分は返す、と。
しかし寄付は端金。寄付は寄付だから良いのでは?と真顔で言われた。
良いのか悪いのか、分からないが、まあやらないよりはマシ。それはそうと悪行で帳消しにされているのだが。
それでも知恵を使わなければ生きていけないのが乖離大陸。
まだここらは貿易地であるから豊かだが、ここから先は魔境だろう。
少々の悪知恵は時に必要となる。
『スタックアウトロー』が南部から来て、ずっとここに居座っているのも頷いてしまうかもしれない。
*
僕はのんびり足で宿に戻った。
通りに佇む石材建築『群雄のハゲワシ亭』。
冒険者ギルドに紹介された宿も良かったけど、宿泊料の関係で少し安めのところに変えた。
そこまで不便さは感じないので、変えて正解だった。
不便なことといえば部屋に備え付けの便所がない事くらい。
まあ無いところも多いし仕方ないと割り切る。
「おかえり、早かったね」
「ただいま、いい依頼がなかったからね。護送依頼があれば即受けだったんだけどな」
洋灯がないせいで蝋燭の微かな光しか明かりがない一室。
代わりに天使が眩しい。
夜闇であろうが彼女は輝いて見える。
暗闇なぞ天使たる『熾天』のリーシアの前では……
「変なこと考えてる?」
「いや、今日も可愛いと思っただけです」
危なかった。
最近は妙に勘が鋭いんだよな。心の中で思ったことに反応してくる。特に『熾天』のリーシアと呼称してくるときの精度は凄まじい。
強くなっている証拠か、それともメルアストラン族の特性か。
どちらもありうるが、どちらかと言うとアルフィリム様の読心を彷彿とさせる。読心と言えばこの人とチラついてしまう。
便利だとは思うが心を丸裸にされるのは恥ずかしい。
対処法はとりあえずリーシアの心を乱す事。
アルフィリム様の如き精度がないリーシアは1度破ってしまえば怖くない。
今だって「すぐそういうこと言う」と赤くなってる。
本心が分かる分、カウンターも強烈になる。相手の力を利用して反撃に転じるのが水清剣術だ。
まあリーシアが可愛いのはいつもだからこの話は終わり。
「それは一旦空の彼方に投げ捨てておいてください」
椅子を引っ張り出し、対面の形を作る。
「今から第11回目『レッドウルフ』方針決定会議をはじめます」
会議に反応してリーシアの顔がきゅっと整う。まあそんなにかしこまらずに、気楽にやろう気楽に。
「ええ、司会進行兼書記担当のミッテルが抜けて早1ヶ月経ちます。早いですね。1ヶ月もあれば人は慣れを感じる頃合いでしょう、既にミッテルの席は完全に『レッドウルフ』から消滅しました。『レッドウルフ』と聞いてもミッテルの名前は絶対に出ません。ミッテル?ああ知り合いの闇金業者がそんな名前だったなと言われる始末です」
「可哀想」
ミッテルでこれならランスはどうなるんだって話だ。
それは第9回目方針決定会議で話したから省きます。
「せめて僕たちだけでもミッテルの事は忘れないようにしましょう」
言い方的に死んでそうだが、おそらくピンピンしてる。
というか離脱組のランスとミッテルが死ぬところが全く想像できない。
致命傷を負ってもニコニコしていそうだ。
改めて、全盛期の『レッドウルフ』は化け物集団であったと自覚させられる。
「さてミッテルの別れが済んだところで話し合いです。僕たち2人だけでの話し合いは実は初めて」
「あ、そっか。なんだかんだ2人だけで旅した事なかったもんね」
「既に1ヶ月経過してるから問題はないと思うけどね」
1年の経験は有利に働く。
乖離大陸でも通用するだけの知識を身につけさせてくれた。
2人でも問題なかったのは経験のおかげである。
「とりあえずは探索の基本、情報収集からします」
うんうんと頷くリーシア。
ニバスでは情報は得られなかった。なのでちょっとづつ移動してその度に情報を集める方針だ。
分からないのなら分かる人に出会うまで聞け。
基本中の基本である。
「目的地はハッキリしていますが如何せん何処にあるかが分かっていません。今まで以上の時間を要する手探りの冒険になるでしょう」
目的地だったサミエント王国もガルシアの大森林も場所だけは簡単に分かったからな。
しかしナークライ森林という場所は誰に聞いても分からず地図にすら載っていない。
情報は北部にあるという事だけ。
乖離大陸はそれなりに広い、北部と呼ばれる地域を探索するだけで相当な時間を食う。
何より土地の過酷さが段違い。
ここらはまだ人の手が及んでいるが、深部に踏み入るにつれ魔物の世界となる。
それだけ浪費をしてしまうのは明白だろう。
「色々な障害を鑑みるなら、次の街までは15日と言ったところでしょうか」
「15日で済むの?乖離大陸の地形はかなり複雑だよ?」
「そこは優秀な方が居ますのでご安心を」
魔都リコスまでは片道20日と聞く。
とはいえそれは乖離大陸基準の話。
乖離大陸で乗り物として使うのは馬ではなく、山岳を渡り歩くことが出来る巨大な爬虫類系が多い。
乖離大陸特有の牽用動物は亀や蜥蜴が主流だ。
力強いがスピードはあまり出ない。
スピードを選ぶならやはり一角馬に天秤は傾く。
トゥールほど優秀な一角馬なら多少強引なゴリ押しで進める馬力がある。
20日を15日に縮められるのだ。
それでも町から町への移動だけに2週間を使ってしまう。
仕方ないが、人大陸とは何もかもが違う。
整備された路なんてないし、町もすぐそばに隣接していたりしない。
移動で2週間、冒険者の仕事で2週間。
移動と依頼だけで約1ヶ月。
そして問題は、大きな町でなければ冒険者ギルドはない。
魔都と呼ばれる主要都市にしか冒険者ギルドはなく、そこを目指して渡り歩くしかないわけだ。
移動2週間はあくまで目安。
地理関係が優れなければ1ヶ月を容易に使う可能性もある。
それを見越しての食料調達なども問題に上がる。
餓死だけはごめんなので、冷凍保存した食料を使いながら魔物を狩っての現地調達で更に時間消費。
仕方ないね、受け入れる他ない。
問題は万全な対策を。守らず野垂れ死ぬ奴は意外にいる。
かっこわるい死に方として歴史に名を残さないようにしないとな。
「では先んじて、注意事項の確認をしていきましょう。よろしいですね?」
「その前にひとついい?」
リーシアからの質問とは珍しい。
手を差し向け促す。
「ムートはなんで丁寧な喋り方なの?」
「司会進行ってこういう感じじゃん。何事も形からって言うから、やってみただけだよ」
まあリーシアが気になるなら直すか。
「まず体感してると思うけど、魔物避けが売ってないから魔物との遭遇が多くなる。基本はトゥールの馬力を活かした逃げに徹する方針で行く」
「倒さないんだ?」
「倒してもいいけど何処に誰の目があるかわかったもんじゃないからね」
何処ぞの小悪党集団はそれで僕たちを嵌めようとしてきた。
冒険者を続けたきゃあジャンプしろや、あーん?なんてウザ絡みされたくないからな。
「ただし命が最優先、逃げるのが無理と思えば討伐ないし足止めは仕方ないものとする」
依頼だとか気にして命を落とすなんてたまったもんじゃないからな。
もちろん、食料難の時は余計な事は考えず狩って食料にする。
「それから危険はそこら中に蔓延っているから野宿は完全な安全が保証された場所以外ではしない」
「魔物避けがないだけで凄く厳しいね」
うむ、こんな事になるなら魔物避けの香炉を大量に購入しておくべきだった。
と後悔先に立たず。人大陸に戻って買い直す手間暇かけるのは無駄だし、乖離大陸流を甘受するしかない。
せめて3人入れば交代ごうたいの見張りも楽なんだが……。
こういう時にこそ護送依頼ならば商人と見張りの共有ができるという利便がある。残念ながら今は護送依頼がなかった。
運がない。
「僕達なら何とかなると思うけど、用心に越したことはないからね。出立に関しては3日後にしよう」
リーシアから文句はでない。
文句なんて言う子じゃないからな。
とりあえず問題の確認は度々行って共有。
乖離大陸となると一筋縄ではいかないのは分かりきっている。
失敗しても学んで、立て直して攻略する。
いつもと変わらない旅の仕方だ。
*
そんなこんなであっという間に3日が経過した。
宿屋のチェックアウトを済ませ、露店で朝食を調達する。
挑戦も兼ねての蜥蜴の串焼き。
味はまあ塩で味付けされているだけマシ。食感はゴツゴツしていてとても食べづらく、なぜ串焼きにして売ってあるのか分からない。
最初は失敗だ。巻き返していこう。
朝一でトゥールを馬小屋から出して乖離大陸横断用の荷車を取り付ける。
でこぼこした岩肌を渡るためだろう、車輪が大きい。
お値段は50000ゴル。物価が安いのに人大陸なみの値段であった。木材は高いのかな?
まあちゃんとした市場調査はまたの機会に。
久々のトゥールはあまり手入れしてもらってなかったのか毛艶が落ちていた。
職務放棄とは怠慢な。なんて思ったがそもそも一角馬自体いないんだった。
そりゃ手入れも雑になるか。
「一角馬なんて初めて見たわ。みんなあんなに綺麗な毛をしているの?」
実際に小屋主は一角馬を初めて見たらしい。
港町だから他の町に比べて居そうなものだ。
いや一角馬を保有できる金があるやつはわざわざ乖離大陸には来ないか、無償で貰って連れてきた僕たちが異端なのだろう。
小屋主さんも手入れしてくれたのだろうが本来のトゥールとは程遠い。
なのでまずは人大陸流の手入れから。
小屋主さんが見たいという事でその場でブラッシングや裏堀と言った手入れを行った事で……なんということでしょう!無事トゥールは美しさを取り戻しました。
これには小屋主さんもご満悦、勉強になったのならよい。
小屋主さんに礼するが如くすり寄ったトゥールを僕は見逃さなかった。
素人手入れだが一生懸命お世話してくれた小屋主さんへの礼節だろう。
うちの馬は賢いなあ。
「一角馬いいなあ」
小屋主さんはすっかりトゥールに心を奪われていた。
賢いが罪になる時もあるんだな。
しかしトゥールの甘えは仕事付き合い、時間が来ればすぐに離れてしまう。
名残惜しそうにする小屋主さんには見向きもしない。
「公主を使い分けるのはいいけど、ちょっと冷たいんじゃない?」
僕が言っても、聞く気はないようで鼻を鳴らす。
どうやら僕は下に見られているようです。
このツンデレ(デレ少なめツン多め)め。
いつも僕にデレろっての。僕が1番気を使ってるんだぞ。
で、だから下に見られてるのか。
彼女から見たら僕は扱いの良い世話係とでも思われているのかもしれない。
仲間なのに、結構悲しい。
新たな旅の始まりにそんなこと知りたくなった。
「トゥールが素直だったらまけてくれたかもしれないんですよ」
しかし彼女は悠々とした態度を崩さない。
先払いだから関係ないって?
……それはそうだな。
せこいのは僕だった。
でも知恵を振り絞った生き方が乖離大陸だから、ちょっとは大目に見てほしい。
高潔なトゥールは悪知恵を許さない正義の一角馬。
そんなトゥールだからいつも頼りにしてる。
乖離大陸だろうとお前とならば何処までも駆け抜けられる!
行くぞ、ユニコーン!
だから、その、乗り気になってください……君がやる気にならないとどんどん時間が消費される。
「行こう、トゥール」
リーシアが横から優しく撫でれば頬ずりをし、顔をつきを真面目なものにする。
僕は本当に下に見られているらしい。
仲間一名に見下されている現状で乖離大陸の攻略……不安を積もらせながらも、やるしかないと気合いを入れるしかない。
とりあえずトゥールと対等になれるよう頑張ろう。