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第18話 壁

聖皇歴516年──秋季。



暗闇が完全に世界を包み、数時間後には朝の陽が立ち昇る。

そんな時に、その男はやってきた。

一言で柄が悪い(けば)しい男だ。

色素が薄くなりかけている茶髪を左に流し決めているつもりなのだろう。



「よっと。今日の獲物は何匹かな」



おちゃらけた口調から放たれるのは聞くに絶えない言葉だ。

子供を人として見ずに、()()としか見ていない。その言動に誰でも苛立ちを覚えるだろう。



「ん……?なんでガキ共が居ない?サボっちゃったのかなあ?死にたいのかなあ?」



口調は柔いが、言葉の端々に怒りが漏れ出している。

自我の抑制ができているのか怪しいながら、歩みを進める足は遅く、値踏みするように慎重だ。



廃倉庫の中枢辺りまで歩いて、無防備に見せ掛けた姿勢だ。

月明かりは入らない。窓帷(カーテン)を締切っているから当然だ。

男が入ってきた扉も閉めている。

リスクは全てを排除し、完璧な計画で遂行するもの。



完璧が少しでも欠けた際、完璧はその完全性を失う。

価値は大暴落。

それは目に見える損害以上の損害。

取り返すことは不可能。男はそれを知っている。

価値は一瞬にして崩れさるもの。

その価値を崩したものを(ゆる)すなど出来ようものがない。



それが例え、子鼠の類でも、だ。

乾酪(チーズ)を齧った鼠には制裁を加えねばならない。



男が無造作に手を上げる。

動作はそれだけ、ないにも等しい。

一見すると何ら変哲もない。手を上げただけだ。

しかしある程度の強者が見ればそれは脅威の迫りだとわかる。



一瞬。銀閃が恐ろしい速度で僕に迫り来た。



「うおっと!」



それを躱す。

見えている。視認できるものは躱せる。

躱したせいで窓帷(カーテン)が破れ、月上がりが入ってくる。

男は急激な光に目を細めながら、僕から目線を外さない。



何という早業。

僕の目に見えたのは……手を上げる動作に加えてポケットの中にあったナイフを取り出し、こちらに目も向けず完璧な位置で投擲してきた。



闘法を使うにしても早すぎる。

素の力だけでやってのけた事実が背筋に悪寒を置いてくる。



「ぐっ」



3mある窓際から飛び降りたのだ。

少々足が悲鳴を上げたが、すぐに動ける。

敵を視る。



廃倉庫は広い。

倉庫と言うだけはあり、廃なので荷物類は置いていない。

広さは20m前後、動いても無駄になることはないほどの広さを備えている。戦闘場所と見れば最適だな。



「君、ここで何をしているのかな?」



男……名前はルスト、のはずだ。

ルストは降りてきたこちらに笑顔を向けながら、わざとらしい猫撫で声をかけてきやがる。

わざとらしい……。こんなん誰も着いてこないぞ。



笑顔だったルストの顔が、突然訝しんだものに変わる。

足先から頭のてっぺんまで……なんですか、変態ですか?僕の体がお望みで?

誘拐犯はみんな変な趣味でもあんのかよ……と思いつつ、ルストは小笑い気味なものに変化する。

表情豊かだ。



「君……もしかしてあの時の勇敢少年くん?」



誰だ?

あの時の、どの時の?

勇敢少年って何の話だ?



頭の中から引き出す。

勇敢少年、勇敢少年……誘拐犯と会った記憶を巡っていく。

青髪剣士に追われた時、牢獄での看守との会話、攫われる直前の話声……まさか、



「あの青髪剣士と一緒にいた人ですか?」


「青髪剣士……ああ、ニスラスくんの事か。そうそう、君を攫った人の1人ですとも」



何たる再会か……運命どう転がるか分からないな。

こんな奴らと運命が結ばれてほしくはない。

あの青髪剣士はニスラスって言うのか。もう死んだし僕には関係ないが。



「いやあ、大きくなったな。すくすくと成長して脱獄してくれちゃってさ」



久しぶりに会った友達と話すような顔をするルスト。

そんな関係性ではない。

僕からしたら今すぐぶっ飛ばしたい相手だ。

因縁の相手。そう言っても指し違いない。

というか、やはり同じ組織なんだな。

西方大陸まで足を伸ばしてる連中だ。サラキア王国にアジトがある。隣国のレルシアム王国も当然標的のはず。



剣の塚に手を置く。マントで隠れて相手には見えていない。

不意打ちもできる。やれるなら不意を打って倒す。



「君にはすごい価値が付いてるんだぜ?なんと500万ゴル!金出すから早く寄越せってことでみんな君のこと狙ってんの」



聞いていないことをべらべらと語るルスト。

目的は時間稼ぎか?

何のために……そもそも会話自体に意味がない可能性もある。

闘法の準備とか、敵が武器を持っているかは確認できていないが、あのナイフ投擲が何よりの証拠だろう。



武器はある。

相手から仕掛けてくるかもしれない。

その前に仕掛けるべきか……それとも待って、機を伺うか。

判断は僕に委ねられる。

味方はいない。僕だけ。

ランスは帰ってこなかった。仕方なく、僕一人で来たが……失敗だっただろうか?



まさか、失敗だと思うなら今から成功に持っていけばいいだけだ。



狙いは先手必勝。

初手で倒せばいい。

小手調べなど不要。最初から本気でやればいいだけの話。

一撃で終わるのなら終わるに限る。



闘法『瞬動速』。

ランガルさんの得意技、必然的に僕の得意技にもなる。

風を切る抜ける身体。眼球の水分が乾燥していく。

踏み込みは一瞬でルストとの間合いを潰すだけの速度を発揮した。



ルストの目が見開かれる。

舐めてかかっていたのだろう。予想外のスピードに対応が遅れている。

白鉄の長剣が月光を反射し、銀なる剣閃を作り出した。



最速にして最強だと自負しよう。

僕ができる最も強き一撃だ。手を抜く必要はない。

風そのものとなった速度からの抜刀剣がルストの首に絡まる。



いける、勝った!

そう確信するも、



「……ちっ、速いじゃん!」



ルストは躱した。

身を反るように躱し、絶対の自信を込めた剣は胸の皮を切り裂いただけ。

出血はする。それだけだ。それは彼を殺すことも動きにぶらせることもない。

本当に軽傷の部類だ。



信じられない、と認める暇もなくルストの剣が引き抜かれる。

服の中に隠していた単調は長剣。構えもなく、剣先が拡大した。



「『突剣(とっけん)』」



剣での突き。

捻りが乗せられた刺突は直撃すれば肉をえぐり切る。そんな予感がした。

ランガルさんに鍛えてもらった感覚が警告してくる。避けろ、と言う判断を信じて全力で右に身を捻り回避を試みる。



ビリッという音がした。

布切れが刃によって千切れ、切断された……想像したくない嫌な音。



剣に視線を向ければ、自然と目に見えてくる。

リーシアがくれたマントの一部がルストの剣によって破れていた。

ふざけるな、と言いたいところだが、それを言わせてくれるだけの時間は与えられるほど戦闘は甘くない。



「『返刃(かえしやいば)』」



突きを放った剣の刃が、垂直を描く。

地面の方を向いていた刀身が数瞬でこちらに牙を向けてくるものとなる。

そのまま横薙、殺しに躊躇がない。刃は肩を通って胸すらも切断する勢いがある。



「くぅ!!」



全てが紙一重。一歩でも踏み外せば待っているのは死だ。

回避がやっと。しゃがみ込むように丸まり、凶刃から逃げ切る。

剣の距離に居るのはまずい。不完全な体勢で地面を蹴り転がり距離を開ける。



やろうと思えば、ここで追い込むことも出来ただろうに……ルストは余裕を感じたのか追撃はなかった。

屈辱だが、こちらとしては有り難いのは事実。噛み締めるように体勢を整える。



ふと、マントの損傷に気がついた。

誕生日プレゼントを駄目にしてしまったことをごめんと謝りながらマントを外す。これ以上は傷つけさせない。

しかしこれでもう一本の剣の存在が顕になった。もう不意打ちは使いまい。そもそも奴はもう気がついていたかもな……。



一連の打ち合いでわかったことがある。

ルスト……こいつは強い。今の僕では力、技、速度。全てが劣っている。

諦めない心はあるが、心が強いからと戦闘で勝てるとは限らない。



「……っ」



痛みに唸る……『返刃(かえしやいば)』の回避に成功したように見えたが、実際は肩の一部を切り裂かれ肉がだらんと崩れる。

致命傷といかずとも、甚大な傷だ。ボロボロと血が流れ落ちる。



「『下位回復(ヒール)』」



リーシアなら完治できていただろう。

僕には出血を抑える程度。完全回復とはいかない。

左腕は動かせるが、無理に動かし続ければ傷が広がり肩を使い物にならなくするはずだ。

早期決着が求められる。

時間を掛ければ負けが大きくなる。



リーシアを連れてくればと後悔もある。ランスが来てくれれば楽だった。

今回は運命が悪かった。それだけだ。

ここでこうして、傷を負うのは運命なのだからと割り切るしかない。

全ては、星の導きに……勝敗も、全てだ。

それが見えないならまだ諦めの時ではない。



「あ、ひとつ聞きたいことがあるんだった」



ボソリと、忘れかけていたと聞いてくる。



「ニスラスくんを殺したのって君?」


「そうですが、何か?」



もちろん、はったりだ。ニスラスとかいう青髪剣士を殺したのはランガルさんだ。僕では勝ち目はなかった。

殺したのは自分と言えば少しビビってくれるだろうという希望観測。こいつらに敵討ちなんて正当なものを持ち合わせているとは思えない。

どちらに転んでも、状況が変わらぬか良くなるかのどっちかだ。



「ふーん、あっそ」



しかし奴はどうでも良さそうに鼻を鳴らすだけだった。



「別に嘘でもいいんだけどさ。ニスラスくんとはいつか決着つけたかったんどよね。俺が勇敢少年くんを倒したら、ニスラスくんも倒したってことでいいかな?」


「いいんじゃないですか別に。僕には関係ないことなので」


「でも君にニスラスくんほどの価値があるかな。……ま、いいや。ちなみにニスラスくんは正統派剣術の使い手で、試合なら俺よりも強かった。俺は我流剣術で……殺し合いなら俺に分があるんだわ」



そう宣言してくる。

よく言われていることだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()

剣としての型ならば『剣帝』の剣術が最強だ。

こと戦闘においては『覇神』が勝る。『覇神』の剣は剣に在らず『覇剣』を名乗るには不出来、しかして勝の一文字『覇神』にあり。



覇神我流剣術は僕も習ったことがある。

ランガルさんに曰く、己の全てを武器とする。あらゆる手を使い、創意工夫を成して敵の力を封じ、時には命すらも武器として鑑定し使い潰す。

故に、負けじの剣。剣術でありながら剣にあらず。傷ありながら常に勝者にある、と。



ランガルさんは気に入っているらしく、剣帝正統派剣術よりも習いに習った。

獣族(ライカン)の精神性的には覇神我流剣術の方が合っているからな。



眼前のルストはまだ本領を発揮していない。

どのような手を尽くしでも勝つ。何をするか……それを見定める。

目の奥にある、真実。

僅かな対軸のズレすらも見逃すな。

1度でも見失えば、罠に嵌り死ぬのは自分なのだから。



「大丈夫大丈夫、殺しはしない。君には価値がある。500万ゴルっていう値段がついてるんだ、簡単にゃ殺しはしねえよ」


「それはありがとうございます、ね!『突風(エアストライク)』!」



奴にない手札のひとつ。

どっちつかずだからと甘く見るなかれ。

魔法は奴の頭にはなかったのか、驚きにおおと声を上げる。

剣や身体能力は負けてきっている。唯一の勝っているのは、魔法のみ。

魔法……ここに活路を見い出す。



「どっちつかずくんかよ!」



しかし、ルストは突風の衝波を剣で切り裂いた。

風を斬る術はあるが、こうも簡単にしてくるとは……勢いをつけたのだ、無駄にすることはない。

奴から突っ込んでくる。



踏み込みは残像ができるほど速い。

僕の目では残念ながら、完全に捉え切るに至らない。

大人と子供の差だけではない、『闘気』での身体強化が自分を遥かに上回るレベルで研ぎ澄まされている。



「……っ!」


「へえ……」



しかし、スピードはランガルさんの方が上回っている。力もランスが勝っている。

個々の分野で見れば、勝っている強者を知っている。

いや、ランガルさんは全てが一流だ。こいつよりも何段も上の位にある。



受けれた。

剣を剣に合わせ力の流れを水清の剣術でいなす。

まずは一撃。敵の方が速い。しかし見えぬほどでも異次元でもない。未だ常識の中の存在でしかない。



「世界は理不尽なもんだ。ガキに俺の相手させるんだから、星神様も考えなしってもんだ!」



戦闘の最中に喋る余裕がある。

横腹を狙った斬撃を受け、細首を捉えかけた剣撃を避け、腕を断せんと振るわれる剣を受け流す……しかし、



「ぐっ……!?」



蹴りが鳩尾を突き当たる。

腹から浸透する激痛が口から苦悶を吐き出させる。余所見しかけるが、痛みに呻いている時は殺しの場に持ち出されない。



直後には上段から振り下ろされた剣が目元にまで近づいていた。

一か八かだが、間に合った。ぶち抜かれた直後には腰に携えているロングナイフを抜いていたお陰で、剣撃を止めることが出来た。



「剣に目がついてきてるな。腕のいい剣士が近くにでもいたか?」



バレてらあ。



左腕で剣を握っている。

肩に傷、力が入り切らず押し潰されるのも時間の問題。

一人で行けるとか思った自分を殴り飛ばしたい。凄いと噂のルストさん、本当に凄かった。

本来はしてはいけないが、勝ち切れるなんて思えない。



防御ばかりでは勝てない。

防御は防御にしかならず、攻撃になりはしない。守りを敷くだけこちらが不利になる現状が待っている。

しかしこのリーチの差でどう覆そうものか。

小さい体が大きな足枷になっている。



やはり好転させるには魔法を用いるしかない。



右手の剣を手放す。

白鉄の剣の方が長さがあるが、どちらにせよ届かぬのなら、一撃の重さに賭けられるランガルさんの剣しかない。



右手で魔法を使うためには剣は邪魔だ。

剣があるかないかでは使いやすさも異なる。

手先で生命力(オーラ)を操る際に異物があるとやりにくい。杖はそういった障害にならぬよう作られている。

僕の手袋も魔法具(マジックアイテム)。手から来る衝撃を減らし、生命力(オーラ)が通りやすい性質を帯びている。

魔法の邪魔にはならず、逆に使いやすさを増す性能。



「っと、魔法使いにしちゃ小賢しい!」



ルストは退る、瞬間に地面が尖り突き上がる。

長さ10cm程度だが足に刺されば……なんて思っていたのに、危機感知能力が段違いだ。

まるでランガルさんかのような……。



しかし退った。

距離ができるのならば勝ち目が生まれる。

唯一の強みである飛び道具の多さ。これを活かす。



下に落ちている剣を拾い、投げる。

旋擲(せんてき)』、付け焼き刃ならざる真剣。

正確な狙いを持つ投擲剣。

これも『覇神』の技 『絶投剣(ぜっとうけん)』……の改良版。歯が食い込めば、完全切断をなす回転刃。



「ちなみにニスラスくんに『旋擲(せんてき)』を教えたの、俺なんだよな。それ俺の得意技なんだぜ!」



ルストの足が跳ね飛び剣を蹴り上げた。

と同時、いやその直前にナイフは飛んできていた。

それも三本。何処から出したんだよ、手癖が悪すぎる。



回避するのはいい。回避しながら次の行動に移すのが、重要なのだ。

迷いは捨てろ、考えるな本能で決めろ。

ランガルさんの教えは正しい。激戦では考える暇はない。



服の中に手を入れる。

こっちだって仕込みは沢山だ。小細工はしてなんぼ。

奴が1動作で3つなら、僕は1動作で1つ。

その1つをどう活かせるかが鍵となる。

回避しながらで狙いを定められるだけの正確性はない。体勢を整えて、一点を狙うだけの集中を要する。



その1秒にも満たない隙で奴は突っ切ってくる。

ブレる、ブレる、ブレる……投擲は無意味に思える。

こちらの小細工は本当に小細工だ。



取り出すのは瓶。

それを投げる。なるべく強く投げたつもりだが奴の投擲におよぶものではない。

しかし、速さは結局どれだけ辿り着くかどうか。正確性もそこまで必要ない。



「『風撃(ウィンドショック)』!」



硝子(がらす)瓶は容易く割れる。

瓶中から飛び散るのは濁り水のような液体。

つまらなそうな顔をしてルストは切り払う。



「溶ける系のやつね、よく懐入れれるよな」



まあそうだな。

音を斬る太刀筋を相手には通用しないタイプの小細工。

だが僕はニヤけてしまっている。

通常ならそれで終わり、ルストも恐らくこのような小細工を幾度も相手してきているのだろう。

覇神我流剣術がよくやるしな。なんならルストがやってくるかもしれない。



それでもこれはないだろ。



「『火炎球(ファイアボール)』!」



中位魔法『火炎球(ファイアボール)』。

リーシアの師事を何とか理解して3ヶ月で完成させてやったさ。

大きさ50cmの球状の炎が程々の速度で襲う。直撃すればただでは済まない。



更に、散らばった液体に着火し火力を増した。

溶ける系のやつなのは間違いない。

特殊調合された薬品で、酒精(しゅせい)のような性質を持っている。

口の中に入れたら舌が焼けるので良い子は真似するなよ。呑み込めれば一発で酔ってしまうほどには強い度数だ。



何度目かの決まったという確信……。

左右に逃げようがないほど広がった火の波、熱気だけで喉がピリつき掠れば火傷してしまいそうだ。

見た感じ上位レベルの火力がある。リーシアを見てきた僕だ。間違いはない。



それでもルストは止まらない。

上位級の火力を意図もせず、剣に『闘気』を注ぎ込んでいる。

僕も悟るしかない。

これは通用せず不発に終わる。



()()使()()()()()()()()()()()



「『()()』!」



闘法と魔法。

接敵した瞬間に魔法が完全四散した。

魔法の基盤となる生命力(オーラ)が空気の中に消えていく。

それを理不尽とは思わない。あるだろうと思っていた。



魔法使いは剣士に勝てない。

絶対不変、両者の位に余程の差がない限りこの常識は覆らない。

天位や神位のような天候すらも操る超規模魔法ならばその域に出ないが、一般的に使用される魔法では覆しようがない。



闘法『逆光(ぎゃっこう)』。

端的に言えば、生命力(オーラ)を以て生命力(オーラ)を跳ね返すカウンター技だ。

敵の生命力(オーラ)の流れに逆らわず、己が生命力(オーラ)に絡め利用。余分となった力を以て闘法魔法を掻き消す。



開発されたのは180年前。

『亜人戦争』、人族側の英雄『水清』のルアの剣技が由来となる。

攻の『剣帝』、防の『水清』、戦の『覇神』、心の『残命』。

『魔神大戦』を戦った猛者も並ぶ剣士最強議論に上がるほどの剣士であり、彼女が齎した影響は見ればわかる。



近距離であれば踏み込みひとつ。

中距離であれば『逆光(ぎゃっこう)』ひとつ、踏み込みみっつ。

遠距離であれば『逆光(ぎゃっこう)』数度、踏み込み十、しかして勝利の盤揺るがず。



逆光(ぎゃっこう)』こそ、剣士を最強たらしめる闘法。

『闘気』の次に学ぶのは『逆光(ぎゃっこう)』などと言われるほどに強力。

誰もが扱いながら、議論の余地なき()()()()()である。



魔法以外にも闘法に有効であり、下手に闘法を使おうものなら『逆光(ぎゃっこう)』のカウンターで負ける。



まあ、使うことは想定していた。『逆光』なんて誰でも使う。ランスでも使ってる。使わない奴なんていない。

だから魔法以外の小細工をいくらか用意している。

対人戦では覇神の剣が最強なのだ。まだ負けてはいない。



「小賢しい。もういい、終わりにするぞ」



凍えるような声色。先程まであった張り付けの感情全てが凍結された。

奴は距離を詰めながら、両手で剣を握る。

今までは片手だったのが両手だ。本気ということだろう。

接近されたら力負けして終了が待っていることになる。

このまま投擲して、無様でも勝ちにこだわり続ける。



しかし、

どうやら僕は間違えたらしい。



「え……?」



剣が光った。



瞬間、鈍く鋭い衝撃が全身に響いた。



何が、起こった?

痛い。理解できない。

痛い。体が動かない。

痛い。何かに横たわっている。

痛い。視界が真っ赤だ。

痛い。眼帯が解ける。

痛い。音が聞こえる。

痛い。水の音だ。

痛い。水は赤かった、血だ。

痛い。血は頭から、胸から、色んなところから流れている。



我ながら冷静だ。

全身が痛い。骨も何本か折れている。

というか、眼帯。左目の視界が露になったせいで痛みがさらに強くなっている。酷い。

ボロボロなのに意識を保っているのは『生命続法(せいめいぞくほう)』のお陰。

闘法の応用のようなもの、生命力(オーラ)を肉体全土に行き渡らせ治癒速度などを高める『生命続法』。ランガルさんがずっと使っておけって言っておいたが、こういうことか。

意識がなくなったらそこで終了だからな。

ランガルさんの教えは無駄がない。



そうあの人は無駄がないんだ。

教えてくれたこと全てに意味があった。

思い返される記憶が、金石のように価値がある。





聖皇歴514年──冬季終盤。



「闘気修行してないな」


「え、素振りができないくらい疲れるので……」


「馬鹿め」



蹴られた。

小突かれた程度だけど、思ったより吹っ飛んだ。

酷い。暴力だ。上司からの虐待だ、訴えてやる。

覚悟の準備をしておけ、ランガル。告訴された時のアンタの表情で飯を食ってやる。



なんて罰当たりなことはしない。

恩を仇で返すなんてレベルじゃない。大クズだ。

人間じゃねえ。



起き上がると、ランガルさんが見下してきた。

冷めた目だ。

教えたことをちゃんとしない僕の失敗だけど……。



「『闘気』の重要性をお前は理解してない。お前が何になろうがオレには関係ねえが、英雄なんざになるのなら『闘気』を極めろ。『闘気』の先、極限の『闘気』に至れ。そうしなきゃお前は壁を越えられない。いつか詰まる、その時になって詰まる。戦いってのは、()()()になってからだと手遅れだ。積めるもん積めて、壁なんざ今のうちに超えておけ」





どうやら、その壁が来たようだ。

壁に背から激突したことではない。そこはまあ、全身ズタボロにしただけだ。



あの剣は……攻撃の直前、剣が光った。

魔法?なんらかの小細工……光で視界を邪魔するとか、いやそんなちゃちいものじゃない。

威力も速度も段違い、闘法であるのは紛うことなき真実。



そういえば、ランガルさん言ってたっけ……『闘気』の先、極限の『闘気』に至れ、って。

もしランガルさんの言う極限の『闘気』が、先程の闘法ならば……



アレは、『()()()()』というやつか。



『闘気』を薄く分厚く、剣にも劣らぬ鋭さで……否、刃よりも鋭く纏わせた時……『闘気』は生命力(オーラ)は目に見えぬ力の塊から、確固たる()()として可視化される。

それを『閃光闘気(せんこうとうき)』と呼び、最上位の剣士が許された強力無比なる必殺剣。



威力は際限なく上がり空すら断ち切り、速度は際限なく上がり光すらも凌駕する。

あくまで『剣帝』のことを言った言葉だが、今のを見てしまえばはったりではなさそうだ。

威力速度ともに、指数的に表せないほどの上昇を見せた。

まさに閃光であった。



「やっちまったあ!死んでねえか?」



ニヤニヤと笑いながら安否を確認する。

手加減されたのは知っている。

ルスト……奴は僕を殺さない。殺せない。価値があると判断して簡単に害することはない。



「……っがは」



口から血が吐き出てくる。

鉄錆の臭いが鼻をつんざく……奥まで入ってが肺に錆び臭さが蔓延する。

左の視界が、赤くなっている。

ああ、気持ち悪い。

全部同じだ、朱色で染る。この眼だけは好きになれない。何もかもが、血に染って、嫌いだ。



しかし、これがある限り、そう簡単に意識がなくなることはない。

背けたくなる視界でも、眼と脳が刺激されて他のことを考える事が出来なくなる。

その痛みで、何とか精神が保つ。



「しんで……ねえ、よ……勝手に、殺すな」


「お、起きた。勇敢少年くん、さっすがー!あのニスラスくんをやっただけはある、価値ある少年くんだ」



煽りに煽って、腹立たしい。

震える足を立たせる。

何かあったら逃げればいいとか思ってたが、逃げれそうにない。

勝たなければ、死ぬだけか。

不思議と恐怖は少ない。

失敗は死、だからなんだ。



奴の位は、上位か最上位。

ランガルさんほどじゃない、勝ち目もある。

ランガルさんの教えを、的確にこなしていけば勝てない相手じゃない。





「それをやめろ」



それとは何か、と僕は問うた気がする。



「それ、だ。全部だ」



全部……僕がそんなに気に食わないのかこの人は。

なら出ていきましょうか?別に僕は、色々お世話になったのでいいですよ。



「己を偽るな。何が英雄だ、腹立たしい。そんな貼り付けた理想で己を偽るな」



そう言われても。

英雄像は理想だし、それを着ることで自分を英雄たりうる存在の証明であって……。

当たり前の善性をなすには、僕のような少年では足りない。だから英雄としての自分を着飾ることで、自分に善行をする理由ができる。

僕のような奴にはなくてはならない物だ。



「邪魔だ」



邪魔て。



「戦闘じゃ脱げ、必要ない。……そんなもんより、己をさらけ出せ。この時代でそんなもん目指す奴は、大抵が阿呆か狂人だ。そんな奴がまともなはずねえだろ」





……は、は。

こんなにボロボロになって、力の差を思い知らされて、もうやめたいって言うのに、



()()()



初めての命を賭けた戦闘。

互いの血と血が撒き散らされる現実。散りまくってるのは僕のだけか。

剣先で命を左右するこの感覚、実に楽しくて止められる気がしない。



自分がどれだけやれるか気になって仕方ない。

ランガルさんの言う通り、僕はおかしいと思う。

狂わしいほど、闘争が好きだ。

恐れることが無駄。戦闘は楽しむもの。

戦闘狂ってこんな感じかな。



呼吸をすれば暑い息が垂れる。

瞬きを忘れた瞼が赤眼が晒される。

震えがない。治癒魔法で出血を抑える。

生命力(オーラ)は、あと十数発分の闘法魔法を有している。



ランガルさんから貰った剣を鞘に納める。

強度鋭さは優れている。武器の性能差は僕の方が優位。



一か八か、やってみるか。

死闘にこそ成長の機会がある。

というか僕って土壇場に成功しやすい体質だし、多分行けるよね。

やる前から負けることを想定しない。成功して勝ちを常に想定する。



狂瀾(きょうらん)は征してこそ、王者に立つ。

何時いかなる時代も不変の条。



敵は、そうではない。

戦いを楽しんではいない。蹂躙にこそ悦を得る。

戦いの結果として楽しんでいる。

蹂躙に楽しみはない。互いの傷口を抉り切ってこそ、強く固く上達するだろ。



忌々しい、紅い眼界(がんかい)も不思議と心地よい。

魔眼覚醒……なんつって。



さて、やってみるか。

賭け金は僕の命、報酬は想像を絶する力。

2年間頑張ってできなかったのに、今更できるとでも?



出来るさ。

極限まで行くと人は足掻きに足掻いて、惨めったらしく最後まで抵抗する。

その時に何が起こるかわからない。

極限ってことは、先がない。故に、頑張れるだろ。



脚が悲鳴をあげている。

ヒビ入りまくり、ボキボキで辛い。

それでも、踏み込んで距離を詰める。

結論僕には剣が似合う。やっぱり英雄は剣持ちだよね。



剣は抜かない。

抜刀剣にこそ活路がある。

そう認識した。

スピードが死んでいる。お得意の『瞬動速』は封じられている。使ってしまえば、その後歩ける保証ができない。

ので、使わない。

僕は負けることを想定していない。勝ったあとも考える。



「来た来た!」


(初動の闘法も見切っている。俺の剣の方が早い。間合いに入った瞬間……俺の勝ちだ)



嬉しそうだな。

弄ぶのが余程楽しいんだろう。

気持ちは分かるよ。僕も今楽しいから。



上段の構え。

懐に入った瞬間、切断されるのは僕だ。

左右分離、必至なる一撃。『閃光闘気』を纏った光の斬撃。

何をしようとも勝ちを確信している。



一足一刀に満たぬ間合い。

その刹那、

勝負は音の領域だ。

1秒も要らぬ。



飛び散る血飛沫。

喉から、音にもならぬガという悲鳴が零れる。

失われた命はない。鉄剣が地面に落ちる。



瞬間、僕は奴の脛の腱を両斬()った。

支えを失った体が倒れ伏す、と同時に奴の剣を奪いさり手の甲に突き刺す。動けないよう、逃がさぬよう。

もうひとつは、念入りに踏み折る。腕骨が破損し動かすだけの基礎を無くす。



終わり。

事は3秒で終わり。

僕の勝利と、奴の敗北。

ルストは自身の負けを認めることが出来ず、敗者となるしかなかった。





何が起こったのか。

当事者のムートにしか分からない。



ムートはあの一撃に、全てを篭めた。

全身全霊、これからの全てをただ消費しきる覚悟で挑んだ。

無論。それで位の差を埋められるほど安くはない。



ムートは中位の上、ルストは最上位の下。

戦闘能力に二段もの差が存在していた。

単純に弱者であるムートは一発逆転に賭けるしかない。そしてその賭けに勝った。



結論から言えば彼の剣は、闘法でも魔法でもなかった。

凡そ、常人には達成できない奇跡を叩き出した。

どっちつかずなどと揶揄されながら、その技の真意を掴み取った。



闘法であり、魔法である。

どのような伝承にも残されていない、彼はその技術を極限の末に完成させた。

もちろん、試した者は多々いる。

闘法と魔法の同時ならば2倍の威力を見せるのではないかと。



それは不可能な偉業だ。

闘法の同時使用、魔法の同時使用すらも難しいというのに、闘法魔法の同時使用は想像を絶する難易度を誇る。

両方を同時同等の生命力(オーラ)を以て、重ね合わせることでやっと成功する。



()()()

絶え間ぬ努力、闘法魔法を同レベルで鍛え続けてこそ達した境地。

闘法魔法のどちらにも才能がないからこそ、0から積上げてきたレベルは同等の位となった。

才がどちらに傾いても駄目だった。

研鑽がどちらに傾いてもいけなかった。

完全に同率であるからこそ。



()()()()()()()』。

最速の居合剣である『迅剣』と風魔法『突風(エアストライク)』の合わせ技。

鞘の中で、『突風(エアストライク)』を発生させ抜刀の衝撃を更なる力で速度と変える。

音を置き去りにするほど疾走し、ルストの喉を掻っ切った。



速さだけなら『閃光闘気』を纏ったルストと同等だったが……油断。

弱者と認定した油断が、ルストの足を引っ張り敗北へと落とした。



『なんで──俺──が──』



地面に倒れ伏したルストは、一連を把握できなかった。

敗北したのはわかる。脛を切断され立てない。剣は自分に刃を向け手を固定し、片方は骨を粉砕され動かせない。

紛うことなき敗北の感触。



だが最上位剣士たるルストには関係ない。

『生命続法』さえあればこの状況から手足を動かせる程度には人体を正常に戻せる。

そのまま勝つことが出来るかどうかは、運次第だがまだ戦える。

『生命続法』は『闘気』に並んで覚えるべき闘法。

傷の回復や肉体損傷の軽化、果てには寿命すらも伸ばせる闘法ならば、ルストも鍛錬を怠らず『生命続法』も同様に鍛えているのは必然だ。



では、自分はなぜ立ち上がろうとしないのか?



目の前の小さき存在に負けるはずはない。

精々が10を越した程度の少年に、なぜ敗北した?



最上位剣士であるルストならば、それは理解できるはずの事象。

あれは闘法だ。あれは魔法だ。

同時使用してくるどっちつかずはこれまでにも何人かいた。しかし練度が甘い、どちらかが正確ではくルストに斬られるしかない弱者だった。



しかし、敵対してきた少年はのそれは、ルストの生涯にあったそれらとは全く乖離(かいり)する別の()()であった。

闘法でも、魔法でもない。そのどちらにも当てはまらない1つの到達点。



『──そんな、はず──はない』



本当にそんな技法があるとしても、眼前の少年が到達できるとはとても思えない。



ルストは才能があった。

剣を握って、約15年。事実上の到達点たる()()()の実力を身につけた。

周りにも、自身のような存在早々いなかった。

才能があると、価値があると、認められ奴隷から1組織の重要戦力として数えられるまで這い上がってきた。



しかし、目の前の少年はどうか?

才能がない。筋肉からわかる、卓越した身体の持ち主ではなく外付けの努力による紛い物の力。

剣も、闘法も、魔法も、歳の割には鍛えられているが同じ歳のルストでも剣では勝っていると自負できる。



たが、あれはなんだ?

奇跡でもない、偶然でもない、星の巡り合わせが悪いわけでは神が勝利の天秤を傾けたわけではない。

ただの一瞬、刹那の一際で勝敗を決した。



『ふざけるな──俺は、まだ!負けていない!負けるわけがない。そもそも、俺の力は奴を超えていた。全てが、才がある俺の方が優れている……というのに、なんなんだあれは!?』



認められない。敗北が認められない。

研磨したのは認めよう、しかし鍛えようが才能があるルストには勝てない次元である。

だというのに、ルストが出来ない、極限の到達点を眼前の少年はやってのけた。

それが腹立たしい。ならば俺もできて当然のはず。不条理であると、激情をぶつけようとした……




瞬間。




時が、凍った。

ルストの目に映ったのは、先程とは全く違う少年の姿。

姿見に変化はない。

自分が破いた窓帷(カーテン)から入る月明かりに照らされた少年。

ただこうして、敗北して、強者から弱者に至ったことで視える視点があった。



()()()

眼だ。

左の赤眼が、こちらを覗く。勝利に浮き足立ち、こちらに冷蔑の眼を向けてくる。

戦闘を心の底から楽しみ、敗者を侮蔑せし眼。



()()()はまだルストでも理解できた。



しかし、もうひとつ。



右にある黒点。

黒い瞳など烏滸がましい。

右眼に宿る光がない。

感情がない。生きているのすら怪しい。暗黒の方がまだ鮮やかだ。



ただただ、無機質。

自我の介入する余地がない。

ムートという少年にとって、左の赤眼こそ真心であって右の素眼は偽装でしかない。



この少年は、この歳になるまでたった一度も()()を見せてこなかった。

それは人間として、生物として破綻している。

自らを顧みず、ただ理想だけを被り続けるなど到底出来ようがない。自我を、己を崩壊させる一助にしかなりえない。



この時点で、ルストの思考はムートに向けられていなかった。

向けたくなかった。



目の前の存在は確かに人間で、けれど非人間すぎた。



理解できないものは恐ろしい、というが……最上位剣士たるルストの目はムートの本質を見抜いてしまっていた。



理解できてなお、その精神性に恐怖した。



()()()()()()()()()()()()()



自分を殺そうとした相手にすら、あのような視線を向ける者に恐怖した。

ルストはその時点で、精神の全てが敗北していた。





長々と、語るのは愚行だ。

出血、切り傷、打撲、全て酷すぎる。

ルストは目を揺らし何が起こったか理解できていないようだ。喉を切った、喋ることは不可能。

両手足、四肢を潰した。もう動けない。



はっ、僕の勝ち。

なんで負けたか認めて、捕まって反省してください。



魔闘法……成功したが、つっっっらい。

生命力(オーラ)がドンと減った。

闘法も魔法も使えて2回くらい……。どんだけ消耗激しいんだ。

今後は封印だな。それか短期決戦特化、完成とは言い難い気がする。

もう一度やれと言われても微妙だ。

やっぱり限界ギリギリの方が火事場の馬鹿力で成功しやすい。



証拠隠滅。

落とした白鉄の剣と破れかけのマントを持ってさっさと退散。



外に、出て上に魔法を一発。

火魔法が散ってちょっとした救援信号になった、はず……あとは、衛兵に処理は任せる。

じゃあな、ルスト。さっさと牢に繋がれてください。

子供は奥の部屋に移動しておいた。こちらも衛兵が見つけてくれるはず。みんな戻ることを祈る。



ぐらぐらとした足取りで、宿屋への帰路についた。



帰り途中、ちょっと強くなったかな、と自覚して……少し自信が持てた。

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