表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/8

終わりなき陰謀の始まり-とある城内にて-

フェル王国から遠く離れた地、深い闇に包まれた魔王軍の本拠地。そこには、地上のいかなる光も届かない、底知れぬ闇の城がそびえ立っていた。この城を統べるのは、強大なる魔王カイル・ダークハート。冷酷無慈悲な支配者であり、世界を闇に覆い尽くそうとする存在である。


その夜、カイルは自身の玉座に座り、忠実な側近である暗殺者Mからの報告を受けていた。


「魔王様、妙なことが起きております。フェル王国のあたりで、何者かが失われたはずの古代の力を行使しているようです。」


暗殺者Mの報告に、カイルの赤い瞳が鋭く光を放った。彼の耳元にこだまするその言葉は、かつての戦いの記憶を呼び覚ます。


「古代の力……時を止める力か?」


低く響くその声には、苛立ちと興味が入り混じっていた。カイルはこの力をよく知っていた。それは、彼の前に立ちはだかった唯一の存在であり、フェル王国を大国へと押し上げた英雄の力だった。


「それが復活したというのか?だとすれば、またもや厄介なことになりそうだな。」


カイルは玉座から立ち上がり、重々しい足取りで部屋の中を歩き始めた。その背後には、彼が誇る無数の軍勢が控えている。彼の軍は世界を恐怖に陥れるために存在しており、その目標を達成するためには、どんな手段も厭わない。


「すぐにその力を持つ者の情報を集めよ。そして、奴がフェル王国の者かどうか確認しろ。もしそうならば、その者を我が手中に収めるか、さもなくば排除するのみだ。」


暗殺者Mは魔王の命を受け、即座に動き出した。彼の暗躍は、どんな秘密も暴き、どんな命も奪う。彼の手にかかれば、どんな者も逃れることはできない。


「フェル王国がその力を再び手に入れようとしているのか。ならば、その前に我が手で……」


カイルは拳を固く握りしめ、瞳に冷酷な決意を宿していた。かつて、彼が手を染めた数々の戦争の中で、最も強大な敵として立ちはだかったのが、フェル王国の裏切りによって倒された英雄だった。英雄の力を封じ込めるために、彼は数多の策略と陰謀を駆使して追い詰め、ついにはその命を奪った。しかし、その力が再び蘇る可能性を知った今、カイルは過去の屈辱と対峙しなければならなかった。英雄がもたらすであろう脅威に備え、彼は今こそ決して失敗するわけにはいかないと心に誓った。


「すべてを我が物とし、世界を支配するために、この力は必要だ。」


その言葉は静かな決意と共に吐き出された。彼の指示は即座に魔王軍全体に伝わり、闇の軍勢が動き出すこととなる。フェル王国への潜入者、そして古代の力を持つ者への追跡が開始された。


その夜、魔王カイルは自らの玉座に戻り、再び深い瞑想に沈んだ。彼の頭の中では、すでに新たな戦略が練られつつあり、そのすべてが次なる戦争の準備へと向けられていた。


「時を止める力が蘇るならば、我が軍の手に。それが叶わぬならば、いかなる手段をもってしても……」


カイルの瞳は闇の中で不気味に輝いていた。その野心は止まることを知らず、今もなお、世界を支配するための新たな計画を密かに進めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ