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遺跡に潜む影と時の刃

アレンは、重たい沈黙の中で一人、石造りの廊下を進んでいた。仲間たちの声が遠くに消え去り、彼を取り巻くのは古代遺跡の冷たい空気と、異様な静けさだけだった。全身の筋肉が緊張し、耳を澄ませる。何かがいる気配がする。だが、今は立ち止まるわけにはいかない。遺跡の罠にかかり、孤立してしまった今、脱出するためには前進するしかなかった。


「ここからどう出るか…」


アレンは自問しながらも、一歩一歩慎重に進んだ。周囲の石壁に目を配り、足元の不規則な石の並びに注意を払う。遺跡には古代の魔法が宿っていると言われており、その力が何を引き起こすかは誰にもわからない。


突然、足音が響き渡り、アレンは反射的に身を低くした。次の瞬間、通路の奥から敵の姿が現れた。腐った布をまとったミイラのようなクリーチャーが、無表情のままこちらに向かってきた。


「来るか…!」


アレンは剣を握りしめ、素早く構えた。敵の動きは鈍いが、その力は侮れない。彼は瞬時に距離を詰め、刃を振り下ろした。剣が風を切り、クリーチャーの首元に命中する。だが、相手は倒れることなく、逆にアレンに向かって手を伸ばしてきた。


「くっ…!」


アレンは後退し、間合いを取る。相手の動きを見極めながら、再び剣を振るった。今度はクリーチャーの胴体を狙い、一撃で倒した。ミイラが地面に崩れ落ちる音が響き、アレンは息を整えた。


「まだまだ…こんなのは序の口か。」


彼は自分に言い聞かせ、再び前に進んだ。遺跡の内部は迷路のようで、どの道を選んでも出口にたどり着ける保証はなかった。それでも、アレンは進むしかない。


時間がどれほど経ったのかはわからなかったが、遺跡内を30分ほど探索していると、突然、彼の目の前に大きな空間が広がった。そこで待ち受けていたのは、20体ほどのゴブリンの集団だった。彼らはアレンの姿を見つけると、一斉に牙を剥き出しにして襲いかかってきた。


「こんなに多いのか…!」


アレンは身構え、次々と繰り出される攻撃を避けながら反撃した。剣が光り、ゴブリンたちの体を切り裂いていく。最初の数体は容易に倒せたが、数が多すぎた。アレンの体は次第に疲労し、動きが鈍くなっていく。


「まだ…倒しきれない…!」


アレンは自分に言い聞かせ、次のゴブリンに向けて剣を振るう。しかし、その時、不意に足元が崩れ、バランスを失った。ゴブリンたちはその隙を見逃さず、一斉にアレンに向かって飛びかかってきた。


アレンは必死に体勢を立て直そうとしたが、遅かった。ゴブリンの一体が鋭い刃を振り上げ、彼に向かって一気に切りかかろうとしていた。


「これで…終わりか…?」


アレンの目の前に、ゴブリンの刃が迫り、その瞬間、全ての感覚が途切れた。

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