魔道具の瞳
フォル王国の傭兵隊は、古代遺跡の探索に挑むべく、重い装備を背負いながら深い森の中に進んでいた。遺跡には古代の宝や魔法の遺物が眠っていると言われており、その探索は彼らにとって大きな冒険だった。アレンはその四人グループの分隊の一員として、仲間たちと共に遺跡の奥深くへと足を踏み入れていた。
「気をつけろよ。遺跡には古代の罠が仕掛けられているかもしれない。」
隊の指揮官が注意を促した。アレンは頷きながら、周囲の石壁や床に注意を払った。
「こんな場所で一体何を探しているんだろうな?」
若い隊員がつぶやいた。
「確かに、ここには何かがあるって話だが…。」
「どうせ古い遺物か何かだろう。俺たちの仕事は、それを見つけて持ち帰ることだ。」
他の隊員が言った。アレンはその言葉に同意しながら、遺跡の内部を慎重に進んだ。
遺跡の通路は薄暗く、古びた石でできた壁が続いていた。アレンはその中で、仲間たちと共に一歩一歩進む。突然、アレンの足元で「カチッ」という音が響き、地面がわずかに動いた。
「おい、何かおかしいぞ!」
一人の隊員が叫んだ。
しかし、その警告も束の間、遺跡の壁が急に動き出し、アレンはその勢いに押されていくつかの石の隙間に引き込まれてしまった。
「アレン!」
仲間たちの声が響いたが、すぐにその音も遠くに消えていった。アレンは周囲の視界が歪む中で、引きずられる感覚に襲われた。目を開けると、彼はひとり取り残された暗い通路に立っていた。
「う、うわっ…どこだここは?」
アレンは周囲を見回しながら呟いた。遺跡の内部は迷路のように複雑で、道を探すのが困難だった。
「仲間たちとはぐれてしまったか…」
アレンはつぶやきながら、冷静に状況を分析した。
「まずはここから出なければ。」
通路を進んでいくうちに、アレンは古びた宝箱が置かれている部屋にたどり着いた。興味津々で宝箱に近づき、蓋を開けて中を覗いた。その中には、神秘的に光る魔道具が収められていた。
「これは…?」
アレンはその魔道具に目を奪われた。手を伸ばし、魔道具に触れた瞬間、アレンの視界が一瞬にして歪んだ。次の瞬間、彼の片目が魔道具と入れ替わる感覚が襲ってきた。
「な、何が起こってるんだ?」
アレンは驚愕しながら、目の前に広がる異様な光景を見つめた。片目には魔道具の力が宿り、まるで生き物のように動くその力を感じることができた。
「とにかく、冷静にならなきゃ。」
アレンは深呼吸をしながら、自分を落ち着かせるように努めた。
「まずはこの力がどんなものかを理解しなければ。」
アレンは再び遺跡の奥深くへと進み始めた。仲間たちと合流するためには、この新たな力をどう使うべきかを理解し、遺跡の探索を続けなければならなかった。彼の運命は、この未知の力によって大きく変わることになるだろう。