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奪還

牧崎雅行が吸血鬼である確実な証拠を見つけた俺達は警察に牧崎の情報開示を要求。

 それにより、彼は人里から離れた場所にある廃教会を数ヶ月前に購入している事が判明。

「こっちはワタシとアメジストで対処する。サファイアを助けて。」

 その言葉を信じ俺はルビーとアメジストをラボに残し一人その場所へと急行。

 錆びついた門を吹き飛ばし、地下へと通ずる隠し通路を見破りこの場所へと辿り着いたのだ。

「また邪魔をしに来たな、ダークダイヤめ。」

 苛立ちを見せる吸血鬼。だが若干の余裕がある。

「サファイアを返せ!」

「返せ?何を言っている。沙織ちゃんはもう俺様のモノだ。」

「なん、だと!?」

 眷属に命令を下し沙織の拘束を解く。

「沙織ちゃん、アイツは俺様と沙織ちゃんの仲を引き裂こうとしているよ。だから殺しなさい。」

「分かりました、マスター。」

「サファイア?」

 吸血鬼の指示を素直に従う沙織。

 サファイアの指輪が吸血鬼の手によって左手の薬指にはめられる。

「JEWELRY DRESS UP。」

 ジュエリー・サファイアへと変身を遂げるその行動を見て察する。

 彼女が眷属になってしまった事に。

「サファイア・・・。」

「さあ殺しなさい沙織ちゃん。」

 吸血鬼の命令を受け銃口を俺に向けるサファイア。

 彼女の瞳は真っ赤に染まっている。

 火を噴く銃口。

 俺は即座に外へ一時避難。

 密閉感がある場所でのサファイアの攻撃は危険。

 生き埋めになる可能性があるからだ。

「さあどうする?仲間を救う手立てはあるのかい?」

 サファイアを戦わせ自分は安全地帯で他の眷属達と戯れる吸血鬼に怒りを覚える。

 今すぐにあのニヤケ顔を殴りたい。

 だがそれをサファイアが邪魔をする。

 彼に近づく事さえできない。

 いや、サファイアにすら近づけない。

 前回とは違いサファイアは確実に俺を殺すムーブ。

 その殺意は凄まじく高く、俺の顔面や心臓部を確実に狙っている。

(まずはサファイアを何とかしないと。)

 彼女を救い出す事を優先する。

 それにはまずサファイアに接近しなければならない。

(前と同じ手が使えるか?いや、やるしかない。)

 覚悟を決める。

 マントを掴み手に力が入る。

 このマントはビーム系を弾く事ができる反面、実弾系にはかなり弱い。

 故にサファイアの攻撃を見極める必要があるのだ。

 容赦なく攻撃を仕掛けるサファイア。

 マントの弱点を把握しているのか実弾の攻撃中心。

 ガトリング弾がかなり邪魔だ。

(ち、近づけない。)

 近づかれたら負け、と意識しているのがわかる。

 俺が前に歩みを進める度に焦るように下がって距離をとるのだ。

(このままじゃあどん尻・・・・・・あっ!)

 上空へと飛び上がるサファイア。

 一番恐れていた状況。

 上空相手への攻撃オプションがないのだ。

 焦る俺に追尾ミサイルを発射。

 三角錐をミサイルに投擲して誘爆。

 爆風によるかすり傷程度で済んだ。

「・・・・・・。」

 しかし、サファイアの攻撃は止まらない。

 足が止まった俺に畳み掛けるように銃弾の嵐を降り注いでくる。

(どうする?こうなったらサファイアのエネルギー切れを待つか?いや、駄目だ。)

 すぐにその考えは捨てる。

 まだ後に吸血鬼と眷属が控えている。

 エネルギー切れのサファイアを守りながら戦うのは無理難題。

 再びサファイアが捕まるのが目に見える。

(攻めるしかない。)

 俺は覚悟を決める。

 丹田にあるストーンジュエルのエネルギーを両足に溜め、大きく跳躍。

 マントを身体に巻き付け、銃弾降り注ぐ雨の中を捨て身の突撃。

 実弾が肩や仮面を守る腕に当たり掠るが気にしている場合ではない。

(もう少しで・・・。)

 目測でタイミングを見出し領域展開。

 これは危険な賭け。

 本来領域展開はビジュエール・セイントが弱った状態でないと本来の力を発揮しない。

(ほんの一瞬でいい。サファイアの動きが止まれば。)

 サファイアの動きが一瞬固まる。

「今だ!」

 腰からロープを発射。

 サファイアを拘束してそして―――。

バァーン!

「え?」

 ロープが飛び散る。

 隠し手がビームガンを放ったのだ。

 動揺する俺の顔面に突きつけられるスナイパーライフルの銃口。

 どうする事は出来なかった。

 大きな銃声音と領域展開が砕かれる音に枝で羽休みしていたカラスの群衆が騒ぎながら大空へ飛び立った。

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