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前世の借り

 俺の回し蹴りがタランシュラの頭部にヒット。

 紫色の血を吹き出しその場に崩れ落ちるのを見届ける。

「・・・・・ふう。」

 タランシュラが全滅したのを確認して、力を抜く。

「よし、凱修(がいしゅう)さんから教わった事、上手く運用できた。」

 試したい事は全て出来た。

 勿論全てが目論見通りとはいかなかったが、それでも複数のタランシュラを相手に苦戦するような事はなかった。

 自身の成長と方向性が間違っていなかった手応えに自然と手に力が入る。

「さて、この後はどうするべきか・・・・。」

 俺はルビーが飛ばしたドローンから敵影データを傍受。

「やはりアメジストとサファイアの所に多く集まっている。援軍に行くべきか?」

 一応ルビーに連絡を入れて確認を・・・だが、

「え?通信エラー・・・。さっきまでは連絡が出来ていたはずなのに・・・。」

 もう一度敵影データを確認。

 ルビーがいる場所には敵影反応はない。

 だが彼女は前回確認したところから全く移動していない事に違和感、不安を拭えないでいた。

「ルビー、どうして誰もいない場所にずっと居座っている?」

 背中に流れる嫌な汗。

 気が付けばその場所へと駆け出していた。

 取り越し苦労ならそれでいい。

 だけどもし・・・。

 その悪い予感は的中した。

「――――助けて!」

 微かに聞こえたルビーの叫び。

 駆ける速度が上がる。 

 そして俺が目にしたのは今まで倒してきた個体より一回りも大きいタランシュラが蜘蛛の巣に捉えたルビーを今まさに犯そうとしている光景。

 脳裏に今まで奪われてきた場面が浮かび、気付けば、

「させるか!!!!!!」

 全力疾走のまま大ジャンプ、飛び蹴りを放っていた。

 気配に気づき、その場から逃げる敵。

 俺の蹴りは近くにある消防栓を破壊し、大量の水が吹き出したことでルビーは蜘蛛の巣から逃れることが出来た。

「ルビー!大丈夫か?」

 地面に倒れそうになったルビーを抱きかかえる。

「・・・信じてた。助けに来てくれるのを。」

「神経麻痺か・・・。」

 俺は三角錐を取り出し、領域展開。

「この中にいれば大丈夫です。」

 早口なのは飛び退いた敵が俺に対して敵対心剝き出しだから。

 改めて対峙した相手を見て、俺は目を大きくする。

 それは敵が羽織る迷彩マントとエンブレム近くにある大きな傷痕に見覚えがあったからだ。

「そのマントに、その傷痕は!」


―――行け!俺に構うな!―――

 奥底に仕舞われていた記憶が呼び起こされる。

 そう、母星を脱出する時、俺が乗る宇宙艇に襲い掛かる一体のタランシュラから身を挺して抗った親友の事を。


「何だ?このマントに見覚えがあるのか?コイツは前の星での戦利品だ。大した運動能力もない癖にこの傷をつけた不届き者から殺し奪った物だ。」

「やっぱりお前があの時のタランシュラか!」

「ワレの名はゴクドー。ブレンリッド星を滅ぼした戦勲により承った名だ。」

 全身の血が頭に昇る。

「落ち着いてユウセイ・・・。」

「大丈夫だルビー、俺はいたって冷静だ。」

 ルビーからの助言が聞こえたが、怒りは収まることはない。

 沸き上がる怒りを手足へと送り、力の源にする。

「不届き者め。その苗床をワレから奪おうと・・・。キサマを許すわけにはいかん。」

「それは俺のセリフだ!」

 語気を強めて地面に置いてあるハルバートと鞭を拾うゴクドーへと言い返す。

「お前なんかにジュエリー・ルビーを渡してたまるか!」

「ほざけ餌如きが!」

 前世の俺の母星を滅ぼした因縁の相手――ゴクドーとの戦いが今、始まる。


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