絶望するルビー
「ハァ、ハァ、ハァ・・・。」
全身に鞭で打たれた痕跡を残されたルビーは肩で息をする。
長い時間好き勝手に痛めつけられたが、彼女の心はまだ完全には折れていなかった。
「ガガガ、ここまでしてまだ陥落しないとは。イイゾ、気に入った。」
ルビーの眼は死んでおらず今も尚、睨みつける。
「その胆力とその丈夫なカラダ。ワレの同胞を産むには絶好の苗床よ。」
「産む?苗床?まさか!」
僅かな情報から事実を手繰り寄せたルビー。
彼女の表情はここで一変する。
「そうだ。今オマエ達が戦っている同胞は攫った地球人の子宮から産まれた。そしてルビーよ、キサマも同じ運命を辿るのだ。このワレ専用の苗床としてだ。」
「い、いや!!そんなこと、いやぁ!」
「ほう、ここまで激しく抵抗を見せるとは。キサマはもしや気娘か。ガガガ、これはいい。未使用の子宮、ワレが思う存分使い尽くしてやろう。」
(この化け物のモノになるぐらいなら。)
覚悟を決めたルビー。
残されたエネルギーを暴走させて自爆、ゴクドーを道連れにする事を決意。
だが、
「あう。」
ルビーの首筋にチクリと刺される毒針。
身体の自由を奪われる。
「こ、これは神経麻痺・・・。」
「ガガガ。キサマの考えなどお見通しだ。さてと、早速頂くとしよう。」
「ち、近づかないで・・・。」
「そうだ、その顔だ!この表情が見たかったのだ!」
優越感に浸り高笑うゴクドー。
「もっとだ。もっと恐怖に染めてやる。一度で済むと思うなよ。幾度もなく孕ませてやる。そしてキサマから産まれた同胞がキサマの仲間を攫い、同じ目に遭わす。そう、ビジュエール・セイントよ。キサマ達はワレ専用の苗床として永遠に使ってやる!」
武器を地に投げ捨て、粘糸と毒で動かないルビーへと近づく。
瞳から溢れる涙。
彼女が口にするのはタランシュラへの贖罪の言葉ではない。
藁にもすがる思いで助けを求める。
「いや、誰か助けて!」
「誰も助けに来ぬ。キサマはワレの苗床として生きる運命なのだ。」
嫌だ、そんなのワタシは望んでいない。
バケモノの苗床になる事も、まして八重島快羅のオンナとして生かされるのも。
ワタシは・・・・・・、ワタシが求めているのはただ一人。
ゴクドーの手がルビーの片足を持ち上げる。
「助けて・・・。お願い・・・。」
心の底から願う。
ただ一人、初めて愛した相手を・・・。
「無駄だ。諦めろ。お前はもうワレのモノなるのだ。」
「させるか!!!!!!」
ゴクドーの思惑を阻む第三者の声。
そう、ルビーの願いは届いたのだ。




