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特訓の成果

「変身ッ!」

 バックルが高速回転。

 俺はダークダイヤへと変身を遂げる。

 この事態に気づいたのはビジュエール・セイントが戦闘開始して暫く経ってから。

 緊急速報で知った俺は凱修さんの家を抜け出して現場へと急行した。

「凄い数だ。どのようにして増やしたのだろうか・・・。」

 住宅街から少し離れた4車線の国道。

 俺一人が戦うには充分過ぎる広さ。

 この場所でタランシュラを待ち構える。

「大丈夫だ。落ち着け。凱修(がいしゅう)さんから教えてもらった事を思い出せ。」

 呼吸を整えて緊張をほぐす。

「来た。」

 砂埃の中から見えたタランシュラの影。

 ケタケタと狂気に満ちた笑い声が俺の耳に届く。

 俺の姿に気づいた一体が俺へと襲いかかる。

 どうやら前回俺が悪戦苦闘していたのを知っているようだ。

 嘲笑いながら爪を見せびらかすタランシュラに拳を一つお見舞い。

「せい!」

 踏み出した足音と打撃音にタランシュラの進行が止まる。

 俺の一撃を受けて口から泡と紫色の血を吐き、その場で崩れ倒された仲間の姿を目撃したからだ。

(よし、ぶっつけ本番だけど上手くいった。)

 内心ガッツポーズ。

 凱修(がいしゅう)さんからの教えが生きた一撃だった。


「氣、ですか?」

 身体の使い方を教えてもらっている中で聞いた話。

「そう、人はその氣によって感情が揺れ動いたり、力を発揮する源、と云われている。」

「力を発揮する?それは筋力があるからでは・・・。」

「納得していない顔をしているね。」

 凱修(がいしゅう)さんは30段積み上げた瓦を二組用意する。

「実践してみよう。では最初は氣を使わずにやるよ。」

 大きく深呼吸。

 右手を瓦の中心に標準を合わせ、「セイッ!」の合図で勢いよく振り下ろされた拳。

 ガラガラガラと騒音を鳴らし瓦は全て砕かれた。

「どうだったかな。見た感想は?」

「力で押し潰して瓦を全て割ったように見えました。」

「その通り。かなりの力を使って瓦を砕き割った。」

 肩で少し息を見せる凱修(がいしゅう)さんは同じように積み上げた瓦の前に移動する。

「では次は氣を使って瓦を割ろう。よく見ててくれ。」

 初動な先程と同じ。

 全く変わりはない。

「セイッ!」

 振り下ろされた拳は先程よりも勢いはなく、緩め。

 しかし瓦は全て割れた――いや斬れたという表現が正しいかもしれない。

 積み上げた瓦30段は全て真っ二つに割れたのだ。

「どうかな。前よりも少ない力であったのは一目瞭然。これが氣だ。」

「凄い・・・。」

 俺は二つの瓦の瓦礫を見比べる。

「ま、悠星チャンがここまでできるようになるにはまだまだ先の話だけどね。さ、特訓の続きを―――。」

凱修(がいしゅう)さん!その氣についてもっと詳しい教えて下さい!!」

 この氣の運用法がストーンジュエルにも応用が出来ると考えたのだ。

 俺の食い付きが予想外だったのか面食らい、眼が点になる凱修(がいしゅう)さんからその後、氣について詳しく教えてもらい試行錯誤の結果、遂にその運用法を確立する事に成功したのだ。


 丹田にあるストーンジュエルのエネルギーを筋肉を介して拳へと運ぶ。

 これは凱修さんから学んだ身体の動かし方が活きている。

 そして拳に貯める。

 その時、ただ貯めておくのではなく、エネルギーを杭の形をイメージ。

 拳は力任せに殴るのでなく当てることを意識。

 相手に触れた瞬間、杭を撃ち込むイメージ――パイルバンカーの要領だ。

 4体程倒された所でタランシュラ達が尻込み。

 それはそうだろう。

 腕の動きを見ただけではそれ程怖さはない。

 なのに外傷もなく、吐血して倒れる仲間の姿を目の当たりにして脅威を感じているようだ。

「相手の進行は完全に止まったな。」

 歯を鳴らすタランシュラ。

 俺を無視できる存在ではない、と認識を改めたようだ

 タランシュラ達からの並々ならぬ殺意がひしひしと伝わる。

「なら好都合だ。まだまだ試したい事は沢山ある。実験体として付き合ってもらうぞ!」

 俺は更なる力を求めてタランシュラに戦いを挑んだ。


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