決起
ここは街外れの山奥にある巣窟。
人々の認識から完全に遮断されたその場所にタランシュラ達は隠れ、棲み着いていた。
壁岩の至る所に張り巡らされた粘糸で作られた蜘蛛の巣には攫ってきた人間が囚われの身に。
その全てが女性。
男性は皆、食料として食い殺された。
残された女性達は苗床。
限界まで膨張したお腹には無数の卵が植え付けられている。
僅かに残された脳にはお腹の中で卵が孵り、排出される快楽しか残されていない。
そして生まれたタランシュラの子は女性の母乳と食い残された男性の残骸を口にして成長、ほんの2,3日で大人と変わらない姿へとなる。
そしてまた女性を犯し、卵を植え付ける。
子宮が使い物にならなくなれば食糧として食い殺される。
そう、タランシュラにとって人間は都合の良いエサでしかないのだ。
だからこそタランシュラ達は憤っている。
人間に反撃され、多くの仲間が殺された事に。
それも苗床であるはずの女性に。
「同胞達よ。」
餌にありついていたタランシュラの動きが止まる。
そして視線を光なき奥へと向ける。
「まもなく時は満ちる。」
それは苗床に植え付けた卵が孵化する事を意味している。
重々しい足音を踏み鳴らすのはタランシュラの親玉。
名はゴクドー。
他のタランシュラよりも一回り大きく、眼は金色にギラついている。
エンブレムの真横には痛々しい古い傷痕。
「よくここまで怒りを堪えた。それももうすぐ終わりだ。我が同胞を殺された恨み、解き放つ時が来たのだ。」
ウオオオオオオ〜〜!!!!!
同胞達の物恐ろしい歓声を聞き、ほくそ笑む。と同時に怒りが込み上げる。
「許さんぞビジュエール・セイントめ。」
「ひぎゃああ!!」
怒りを近くの巣に囚われた女性にぶつける。
手足の骨を握り潰してしたのだ。
カレ達にとって女性は母胎さえあればいい。同胞を増やす道具でしかない。
幾度も出産を繰り返した事で節制して維持していた細い体型は緩みきった不甲斐ない姿へと下落。
そこにはコスプレイヤーとして輝いていた面影は一切ない。
バケモノを産む道具と化した成れの果て。
「ワレの同胞を殺したこの恨み、何倍にして返してやる!」
「ぽほぉおお!!!」
無数の卵を子宮へと勢いよく注入。
瞬く間に膨張する女性のお腹。
「ククク、覚悟しろビジュエール・セイントよ。」
タランシュラ達による怨恨の進撃はすぐそこまで差し迫っていた。




