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喫茶店での会議

「二人共、突然呼び出してゴメン。」

 放課後、明日香と沙織は瑠璃子に誘われて古風な喫茶店へと訪れていた。

「マスター、紅茶を3つ。」

 白髪で立派なダリ髭の初老の男性に注文する瑠璃子。

 ここは瑠璃子行きつけの喫茶店でマスターとは旧知の仲。

 案内された奥の席は人の眼や耳が届きにくく、秘密の話をするにはうってつけの場所。

「瑠璃子、私達に何か用?」

「これを・・・。調整・強化は終わった。」

 机の上に置かれた頑丈な箱の蓋を開ける。

 中には変身アイテムの髪飾り指輪が。

 ダークダイヤの敗北を受け、一旦回収・改修を行っていたのだ。

「・・・。」

 無言のまま、変身アイテムを見つめる二人。

「確認。二人はこのままビジュエール・セイントを続ける意思はある?」

 冷静な口調に沈黙が続く事、2分45秒。

「ボクは続ける。」

 はっきりと答えたのは明日香。

「ボクは逃げないよ。先輩からこの話を聞いた時から決めていたの。どんなに苦しくても、辛い事があっても絶対に逃げないって。」

 スカートの裾を握りしめる明日香から強い確固たる意志が伝わる。

「アスカ・・・。」

「だから先輩、それをボクにもう一度預けてください。次こそは負けません。絶対に。」

「明日香がここまで言うのなら私も続けるわよ。」

「サオリ。」

「私達を心配してくれてありがとう。でも大丈夫。私達は平気だから。安心して。」

 微笑む沙織。

 上手く笑っているつもりなのだろうが、その笑顔は少し陰りが。

 まだダークダイヤとの戦いで受けた心の傷は癒えていないのだ。

 そしてそれは明日香も同じ。

 握る両手は若干の震えが。

 そんな二人の意思を汲み取り、瑠璃子は大きく頷く。

「わかった。これは二人に預ける。」

「はい。」

「私達を信じてくれてありがとう瑠璃子。」

「二人はワタシのかけがえのない親友。絶対に守る。」

 幸せも、と口の中で呟く。

「今後の事について話したい。」

「ええ、いいわよ。」

 注文した紅茶を味わいながら今後についての話し合いが行われる。

「現在、リザードマン出現の被害が出ている。二人にはそれの対応をしてほしい。」

「わかりました。」

 アスカの元気ある返事に合わせて無言で頷く沙織。

「次にダークダイヤの件。」

「「っ!」」

 一瞬硬直する二人。

 あの時の辱めを思い出したのだろう、固く口を閉ざす二人に瑠璃子ははっきりした口調で話し続ける。

「今後、ダークダイヤと遭遇したら逃げる事。絶対に戦ってはダメ。」

「え?」

「二人とは相性が悪い。彼の対応はワタシがする。」

「瑠璃子が?それ、大丈夫なの?」

「相手は確かボク達のエネルギーを奪うのが目的ですよね。エネルギー量が一番多い先輩では危険じゃ・・・。」

「安心してアスカ。相手の手口は把握。遅れは取らない。」

「ねえ瑠璃子。」

 自信満々に答える瑠璃子に対して待ったをかける沙織。

「本当に一人で大丈夫なの?もし私や明日香の為に自分を犠牲になる考えを持っているのなら私は賛成できない。」

 沙織と瑠璃子の視線がぶつかり合う事、1分23秒。

「ワタシの事を信じてほしい。」

「・・・・・分かったわ。信じる。」

 腑に落ちない部分があるが、最終的には賛同の意思を示した。

「デザートどうする?」

 突然、メニュ欄へと手を伸ばす。

 彼女の中ではビジュエール・セイントについての話は終了した模様。

 楽しそうにメニュ欄を眺める瑠璃子に苦笑を浮かべる明日香と沙織。

 でもこれはいつもの事。

 二人は顔を見合わせクスクス笑い合う。

 それは久しぶりの心からの笑み。

 明日香と沙織は悠星に拒絶されてから笑えていなかった。

「今日はワタシの奢り。気にしないでいい。」

「じゃあボクはショートケーキを、いいですか先輩?」

「それじゃあ私はレアチーズケーキを戴こうかしら。」

「マスター、ショートケーキとレアチーズケーキ、モンブランを一つずつ。後紅茶をお代わりで。」

 注文とした後、三人は他愛のない雑談で心をリフレッシュするのであった。


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