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装輝戦姫との対面

秘かに準備を進めていた中で一つ問題が発生。

 それはどのようにしてジェノ・グリークスの発生を知るか?

 実は俺が準備に勤しんでいる間、2度ほどリザードマン(テレビでそのように名称されていたので以後、そのように呼ぶ)の襲撃があり、ビジュエール・セイントが駆け付け、解決に導いていた。

 俺がその事を知ったのはニュースで全て終わった後。

 このままでは計画に支障をきたすと判断した俺は街に設置されている監視カメラに不正アクセスし、異常を感知した際、俺の携帯にアラームが鳴るシステムを構築。日夜問わず監視する体制を整えた。

 幸いにして地球の文明はブレンリッド星よりも劣っている事から誰にも悟られる事なく不正アクセス、プログラムをすり込ませることに成功した。

 備え待つ事3日。

 夜21時を過ぎた頃、突如携帯のアラーム音が鳴り響いた。

 すぐさま確認。

 そこにはリザードマンの姿が映っていた。

「この映像は、近くの公園だな。」

 黒のジャケットを手に外へと飛び出す。

 目的地の公園に近づくにつれ戦いの音が次第に聞こえ始めてきた。

 俺は細い路地に入り、誰もいない事を確認。

 両手で腰を叩くと変身ベルトが出現。

「変身っ!」の掛け声と同時に中央のバックルを両手で回す。

 高速回転するバックルからストーンジュエルの粒子が発生し俺の全身を包む、プロトタイプの姿へと変身。

 一通り動いて異常がない事を確認して戦場と化している公園へと足を踏み入れた。

「いたぞ。」

 新しく搭載したステルス機能を用いて忍び足で様子を確認。

 公園内では複数のリザードマンと戦っているビジュエール・セイントの姿を目撃。

(アメジストとサファイアだな。)

 舞い跳ね、トリッキーな動きで相手を撹乱して斬り倒すアメジストとホバー走行で地面を滑るように移動して次々と撃ち倒すサファイア。

 その戦いを側から観察する俺。

 現在の俺の力では正面からリザードマンを倒す事は難しい。

 出来て不意打ち程度の事しかできない。

 それに俺にはやるべきことがある。

(さて、頑張っていい感じに力を消耗させてくれよ。)

 誰にも気づかれないように戦場と化している広場の四隅に自作した三角錐の物体を置き、ヘルメットに内蔵されている小型コンピュータと連動させる。

「よし。」

 全ての準備が整った。

 後はこの戦いが終わるのを待つだけ。

 アメジストとサファイアの動きを注意深く観察する。

 戦闘はビジュエール・セイントの優勢のまま終結へと向かう。

「これで終わり、よ。」

「ギャオ!」

 サファイアが最後の一体をビーム弾で吹き飛ばしていた事で戦闘は終了となった。

(思ったより早く倒されたな。)

 おもわず舌打ちしてしまう。

「お疲れ様アメジスト。」

「うん、サファイアもお疲れ様。」

 お互いに健闘を称え合う。

 戦闘が終了したと完全に気が緩んでいたビジュエール・セイントの二人。

 だからこそ死んだフリをしていたリザードマンの存在に気づけなかった。

「え?」

 バネのように飛び起き、アメジストに鋭利な爪を突きつけるリザードマン。

 サファイアも、アメジストも唖然する中、唯一反応できた俺。

 アメジストとリザードマンの間に割って入り、手刀をリザードマンの胸元――エンブレムを貫いた。

「シャ、ガ・・・。」

 口から赤い血を吹き出すリザードマン。

 それは確実に死んだ事を意味している。

「油断するな。」

 何とかなった、と安堵の内心を隠しながら注意を促す。

 彼女達は俺の獲物。

 リザードマン如きに倒されては困るのだ。

「ありがとう、ございます。」

 お礼を述べるアメジスト。

 俺に対しての警戒心が薄い。

 一方のサファイアはいつでも引き金を引ける構え。かなり警戒している。

「あなたは誰?」

「(あっ、そう言えば名前考えてなかった。)そうだな、ダークダイヤと名乗っておこうか。」

 自身の身なりから連想した単語を名乗る。

「ダークダイヤ、あなたの目的は何?何故アメジストを助けたの?」

「俺目的はジェノ・ブリークスを倒す事だ。そしてアメジストを助けたのはお前達が俺の獲物だからだ。」

「「ッ!」」

 慌てて敵対心から剣を構えるアメジスト。

「そう邪険する事はない。俺はお前達の力――ストーンジュエルが欲しいだけだ。ま、屈辱は味わってもらうがな。(やはり足りないか・・・。)」

 フェイスガードの右端に表示されている72%の数値を見ての呟き。

 これでは作戦に支障がきたす恐れがある。

(作戦を確実に成功させるにはこれしか方法がないな・・・。)

 俺は彼女達――ビジュエール・セイントと戦う事を決意した。


 ストーンジュエル・・・ブレンリッド星で発見された未知のエネルギーの事だ。

 ストーンジュエルは主に宝石や鉱石内に秘められており、そのエネルギーはとてつもなく強力。

 小石サイズで地球全域の電力10年分を賄える程だ。

 しかもストーンジュエルは電力だけでなく加熱、冷却、さらには物質変化等も出来る事が判明。様々な分野で活用できることから多くの研究者達は血眼になって研究に没頭。前世の俺もその一人であった。

 しかしストーンジュエルには一つ大きな難点が。それはエネルギー抽出が困難である事。

 宝石から取り出すと粒子となり、消え去ってしまうのであった。

 誰もがストーンジュエルを活用方法を模索しているある日、一人の科学者がストーンジュエルのエネルギー抽出方法を論文で発表。

 それが前世の俺。

 その論文が認められ、その技術や機械を開発している最中、ブレンリッド星はジェノ・ブリークスに滅ぼされたのである。

 その後、前世の俺は地球へと辿り着き、研究を続け遂にストーンジュエルを抽出する事に成功。

 その後、俺は八重島快羅に促されるがままそのエネルギーで戦闘スーツを開発。

 全てはジェノ・ブリークスに対抗するためにと躍起になっていたがその志半ばで快羅に裏切られ、前世の人生を終えたのだ。

 今俺が装着しているのが最初に作られた初期――プロトタイプ。

 簡易な装甲であり、当初は量産型を目的として開発されたもの。

 そして次に作られたのがファースト・ジュエリー。

 プロトタイプよりも運動能力を向上させ、さらには専用武器の装備。機動性を重視した戦闘スーツ。

 それがエメラルドとパール。

 そして今対峙しているのがセカンド・ジュエリー。

 ファースト・ジュエリーで不安視された火力を強化するために開発された戦闘スーツである。

(良く完成させたものだな・・・。)

 小柄な体格を駆使した動きを避けながらよくよく観察。

 俺が携わったのは初期――つまりプロトタイプ開発からファースト・ジュエリー、セカンド・ジュエリーの設計まで。

 ファースト・ジュエリーの開発途中で快羅に殺されたのだ。


(だけど俺は二人の武装を熟知している。)

 戦いに参加していなかったのはその事を確認するため。

 そして確信を得た。

(俺が設計した内容から変更はない。)

 アメジストが颯爽と襲い掛かる。

 手にしている剣を躱すとムーンサルトキック。

 ブーツに仕込まれている隠し刃を躱す。

 少し間合いを空けるとその隙を狙い、後方の死角からサファイアが手にしているライフル銃からビームを放つ。

 狙いは定まっていたが、俺はそれを難なく躱す。

 これはヘルメットに内蔵されている小型コンピュータで視覚が判断できない攻撃を脳に直接知らせ、緊急回避出来るようしているから。

 ちっ、とサファイアから舌打ちが聞こえた。

「(まだ足りないな。)どうした、お前達の力はそんなものか?」

 二人を煽るのはエネルギーを使わせるため。

 目的の為にはエネルギーが必要なのだ。

「アメジスト、挟み撃ちよ。」

「うん!」

 ステップを踏んで、接近してくるアメジスト。

 身体が柔らかいのだろう、しなやかな蹴りを鞭のように振るう。

 小手にも隠し刃があり、それを紙一重で避ける。

 装甲に掠る音。

 俺は反撃せず回避に集中。

 相手にエネルギーを使わせることに全力を注ぐ。

 フェイスガードの右端に表示されているパーセンテージは少しずつ上がり、そして遂に100%になった所で反撃開始。

 四隅に置いた三角錐の物体を起動させる。

「何?」

 三角錐の各角から放射された一筋の光は繋がり、大きな檻を形成。

 俺共々その中に閉じ込められた現状に困惑するビジュエール・セイントの二人。

「領域展開。二人を捕えよ。」

 三角錐から投射された複数の黒い縄が二人の手足に絡み、拘束。

 動きを封じる事に成功した。

「きゃああ!」

「うぐっ!わ、私達に何をしたの?」

 サファイアがそう叫ぶのも無理もない。

 彼女達の動きが明らかに鈍っていたからだ。

 これは今創り出した空間の影響。

 予め設定していた相手の能力を一時的に低下させる磁場がこの檻内に流れているのだ。

 本来であればリザードマンを全滅させた直後使う予定だった。

 しかしこの檻を発動するにはかなりのエネルギーが必要。

 エネルギー量が圧倒的に少ない俺には発動することが出来ないのだ。

 なので俺はアメジストとサファイアと交戦し、相手が攻撃に使用していたエネルギーを利用する事にした。

 宙に拡散していたエネルギーを配置していた三角錐の物体が吸収した事で発動可能となった次第である。

「暴れても無駄だ。そのロープは絶対に切れない。」

 大の字で囚われたサファイア。

 そして両腕を頭上で拘束されて宙に吊るされるアメジスト。

 二人の哀れな姿を前に自然と笑みが零れる。

「私達をどうするつもり!」

「何、さっきも言った通り、お前達からストーンジュエルを戴くのさ。」

 心の底から沸き上がる復讐の炎を感情に乗せる。

 さぁ、楽しい時間の始まりだ。


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