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初めての戦闘

「サファイア。」

 ルビーに呼びかけに応じるサファイア。

 左肩に装着していた可変ビームライフル銃を手にとり構える。

 狙うは非常口階段へ通ずる壁。

 銃口から放たれた高エネルギー光線が壁を貫き、建物内に大きな振動を与えた後、人一人が優に通れる穴から1階まで飛び降りる三人。

「そこまでよ。」

 リザードマンの大群を見つけ、自然と口から出たセリフ。

 地面に着地した三人は警戒心を見せるリザードマンと対する。

「正義の剣、ジュエリー・アメジスト!」

「裁きの銃弾、ジュエリー・サファイア!」

「守護の盾、ジュエリー・ルビー!」

「「「我ら、装輝戦姫 ビジュエール・セイント!」」」

 可憐なポーズが決まった彼女達にリザードマンの1体が遠吠え。

 それに倣い、全員が戦闘態勢。

 ビジュエール・セイントへと襲い掛かる。

「アメジスト、サファイア。」

 ルビーの合図にそれぞれが散開。

「行きます!」

 左腰に携えていた伸縮性の剣を抜き、リザードマンの群れへ果敢に攻めるアメジスト。

 未知のエネルギー〈ストーンジュエル〉によって生成された剣の切れ味は凄まじく、リザードマンの硬い鱗も紙みたいにたやすく切断。

「シャー!!」

 一撃で斬り落とされるとは思いもよらなかったのだろう。

 仲間の死に一瞬怯んだ隙を狙い、果敢に攻めて次々と倒してゆくアメジスト。

 背後から不意を狙うリザードマンには靴に仕込んでいた隠し刃で刺し貫く。

 それはまさに戦場で舞い踊る妖精のよう。

 小柄な体格を生かした素早い動きで相手の懐へ潜り込み、切り倒していく。

 接近戦では分が悪いと考えたのだろう。

 距離を取り、投擲でアメジストを狙う。が、それをサファイアが許さない。

 背中と足のブーストでホバー走行しながらビームライフルで敵を仕留めるその姿はまさに狩人。

 滑るように地を駆けて次々とリザードマンを狙撃。

 その動きを見てリザードマンは複数体が周囲を取り囲み、一斉に飛び掛かる。

「甘いわよ。」

 手にしているビームライフルの銃身を折り曲げてマシンガンに変形させて乱射。

 撃ち漏れた残りは臀部後方に収納しているビームガンで仕留めていく。

「アメジスト、そのまま前進。サファイアは右に広がる敵を狙って。」

 後方で指示を出すルビー。

 戦場と化したショッピングモール全体をフェイスガードに映し出されているモニターで確認しながら逃れたリザードマンを小手に収納されている電子コードを鞭のようにしならせ、電撃を与え倒していく。

「あれは・・・。」

 そんな彼女が目撃したのは展示物の物陰に身を潜めている幼い子供の姿。

 地面を蹴り、その場所へ向かう。

 だがリザードマンが先行していた。

 けたたましい不穏な声を出し、恐怖で震える子供に爪を振り翳す。

「シールダー、行って!」

 ルビーの言葉に両太腿に装着していた湾曲盾二つが飛翔。

 意志を持つように宙を駆け、子供の身を守る。

「シャー!」

 爪が弾かれバランスを崩すリザードマンにもう一つの湾曲盾が鋭い刃を突出させて突貫。

 そのまま反対側の壁まで吹き飛ばし磔にした。

樹里(エメラルド)乃亜(パール)。逃げ遅れた人を発見。救助を求める。」

「了解致しました、お嬢様。」

「この盾があなたを守る。助けが来るまでここにいる事。わかった?」

 涙を流しつつもコクコクと頷く子供。

 肩と背中にある盾も展開させて、子供の四方を囲んで守る。

「敵の数、残り23体。アメジスト、サファイア、油断禁物。確実に殲滅する。」

「わかりました。」

「了解よ。」

 油断も慢心もない。

 ショッピングモールという戦場を縦横無尽に駆け回る三人。

 確実に仲間の数へ減らされていく毎にリザードマンの様子も変化。

 余裕ある表情は消え、逃げ腰に。

 ビジュエール・セイントの強さに恐怖を覚え、戦意喪失しているモノも。

 しかし彼女達は攻撃の手を緩めない。

 確実に全てを葬る、という気概が行動に出ていた。

「シャ!」

「シャ、シャ~!」

「逃がさない。」

 仲間を盾にして逃げる最後の一体に剣を貫くアメジスト。

 絶命するリザードマン。

「敵の生命反応消失。戦闘終了。お疲れ様アメジスト、サファイア。」

「ええ、お疲れ様ルビー。どうしたのアメジスト。」

 周囲を見渡すアメジスト。

 彼女は悠星を探していた。

「何処にいるの?」

 焦る気持ちが足を速める。

「落ち着いてアメジスト。今、エメラルド達に救助した人達の中にユウセイ()がいるかどうか確認するから。」

 と優しく声をかけた時、突然ショッピングモールの壁に掛けられていたテレビにリザードマンが人々を襲撃し、今まで彼女達が戦っていた映像が映し出される。

「ルビー、これは一体!?」

 サファイアの問いかけにルビーは胸部に内蔵されているデジタルキーボードとデジタルモニターを展開。

 高速で指を動かす。

「・・・・・、やられた。あの男の仕業。」

 ルビーの答えが合図のようにテレビモニターは男性の顔へと変わる。

 40代後半のダンディーな男性。

 きちんと整えられた銀色の髪にきりっとした眉毛と濡羽色の瞳。

 高級なスーツに身を包まれたその者は重々しく口を開く。

「私は防衛大臣の八重島快羅(やえじまかいら)です。今見せた映像はつい先程まで起きていた真実です。人間を襲っていたバケモノの正体はジェノ・ブリークス。宇宙から襲来してきた人類の敵です。ジェノ・ブリークスは現存の戦力では太刀打ちできない。その事を私は10数年前から察知し、秘密裏に対抗策を用意してきました。それが彼女達です。」

画面は今先程のビジュエール・セイント達が戦っている映像が流れる。

「彼女達はビジュエール・セイント。私の研究により発見された新たなエネルギー〈ストーンジュエル〉から誕生した戦士です。私はここに宣言します。私は彼女達と共に地球を侵略するジェノ・ブリークスから人類を守るために戦う事を。どうか皆さん、私達を応援してください。」

 八重島快羅(やえじまかいら)の力強い宣言。

 この放送は日本全国に何度も放送された。


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