229 ベイトボール
オノゴロ島ホテル地下一階レストラン、【ベイト・ボール】は壁が青で塗られ、小物が意匠化された小魚で統一されていた。
ベイトボールとは鰯なんかの小魚が、捕食者から身を守るのに球塊状になって泳ぐ行動のことだ。
ベイトはエサの小魚ちゃんって意味なので、まんま直訳でニュアンスは通る。
英語が簡単な言語だっていうのは嘘だっ!と、長年に渡り反発していたが、ホープランプ語を例に出されると、はい、そうでしたねと頭を下げるしかなかった。
まだ英語は耳慣れしているからマシだったんだな……。
翻訳機さんには、これからも末長くお世話になりそうだ。
いや、ベイトボールってホープランプ語もロケ語も対応する単語がなくてさ、ステファニーちゃんが語学ノートに発音とその意味を書き込んでいたんだが、読めなかったんで、つい。
「クリィムソォダにフレンチトースト!
グリーンソーダにアイスを浮かべるなんて天才の所業ねっ!」
缶詰のチェリーが乗ったクリームソーダと、ハチミツきらきら、追いレーズンバターが一切れついたフレンチトースト。
それらを前にステファニーちゃんはご機嫌だ。
ホープランプは皿の料理にナイフを入れる習慣がない。
出されたフレンチトーストはあらかじめ一口サイズにされているのが、ホテルおもてなしの心遣いだ。
ステファニーちゃんはいそいそとマイ箸を取り出している。
《アイスいいなー》
《このホテル、木匙用意してくれてる》
《金属スプーンが苦手な奴は、ステフを見習ってマイカトラリー持ち歩け》
「んんん、美味しいっ…!」
一口ぱくりと食べたステファニーちゃんは蓮花の蜂蜜にメロメロだ。
上品な仕草で頬をおさえてうっとりとしている。
「そう?良かったー!」
「こっちでも蜂蜜が苦手な人もいるから、心配しちゃったよ」
日本人側としてはホッと胸を撫で下ろす。
ステファニーちゃんは探究心が旺盛だ。
ホプさん家の蜂はあまり蜜を集めないんで、蜂蜜はかなり珍しい食材という前提がある。
事前知識がないと虫が集めた蜜なんて抵抗感があるんじゃないかと3人がかりで慌てて詳しく説明したが、彼女は興味深く聞いた上でノリノリで注文していた。男らしい。
「ねえ。ひょっとして、このシロップをアイスにかけても美味しいんじゃない?」
蜂蜜は人気のフレーバーにて御座います。
《ごくり》
《気付いてしまわれましたか》
「そういうアイスもあるよー!」
《?!!》
「やっぱり!
風呂上がりに寮監のセンセがアイスを奢ってくれたが最後、アタシたちみーんなアイスの虜よ。
知らないなんて人生損してたわあ」
それを教えてしまうとは、いけない先生だな。
冬アイスの最高に美味しい食べ方を、よくわかってらっしゃる。
「ステファニーちゃんが気に入ってくれて嬉しいな!
……うん!ホープランプのフルーツも美味しーよね!」
花ちゃんのフォークに乗ったフルーツは、赤い果皮がつやつやしていた。
口に入れると見ているこちらも幸せになるような花丸笑顔になる。
ホテルでは異世界フルーツのフェアなんかしてたらもので、オレらはそちらから選んでしまった。
日本人、期間限定の品には弱いでごさる。
「ねー。モリーのケーキ大好き。ショートケーキは苺派だけど浮気しちゃう」
「モリーは花も香料になって素敵ですわよね。
実が食べられるのは、寡聞にして知りませんでしたけど」
サリーが妹たちに『調薬』してくれたハンドクリームもモリーの香料を使っていた。
モリーの芳香は女の肌によく似合う。
丸い葉の影に咲く花は地味だが、その薫りは心浮き立つように馥郁としている。
風が薫ってから初めて小花が咲いていることに気付く。モリーはそんな花だ。
薔薇のように華やかではない。しかし撹拌世界の人には同じくらいに愛されていて、中央大陸ではあちこちで植えられているのをよく見かけた。
その割に実を生らせていた記憶はないけど、食べられるんだな。
ミニトマトほどの小ぶりな実は皮が赤くて酸っぱくて、果肉はゼリー質でとろんと甘い。これが生クリームと新たなベストフレンドだ。
「フフフ、モリーはね。ホープランプ女子の美のアイテムよ?
ビタミンの宝箱なんだから!
でもね、アンタたちは見掛けてもモリーの原種は食べちゃ駄目よ。
毒はないけど強烈に渋いからねっ。うちじゃあ罰ゲームの鉄板の品なのよ」
《モリー咲いているとすぐわかる》
《いい匂いだよな》
《あの小さくて固そうな実が、こーなるんか》
《原種のモリー。毒がないのがおかしい味と思わん?》
《あれを罰ゲームしようと最初に企画した奴は許さない》
《一応原種の方が栄養はあるから》
《何故アレを食えるようにしてやろうと目論んだんだろうなご先祖さまは》
《奇才の所業》
「えー。元は渋いの?信じられない!」
「そっか、ホープランプは農業が盛んなんだっけ?」
「そうね。アタシたち、農業にはちょっと五月蝿くてよ?
都市の人口が多くて困るんだケド、それを支えられちゃう生産量はあるのよね。
モリーが美味しい野菜なのも、品種改良を頑張っている農家さんのおかげよ」
なる。モリーは蔓草だから、野菜分類か。
「あー。メンデル」
「品種改良って言えば日本のお米も美味しいわよね。こっちの畑は水田で水がたっぷりないといけないのはネックだけど。
贅沢な育て方をしているわよ、アナタたち。ダンジョンの試験農場を見て目を疑ったわ」
ふうん。するとホープランプさん家の米は陸稲なのかな。
ステファニーちゃん、活発に見学してるんだなあ。
《ダンジョンで畑。その発想はなかった》
《現役ダンジョンマスターが居ると、こういうこともやれるんだな。すげえ》
《虫の出ない畑って最高なのでは?》
《水不足の心配がないのがうらやま》
《とはいえそんな畑を造るまでには水源と肥沃な土地ガチャが当たるまで、延々雫石の『加工』しなくちゃいけないらしいぞ?》
《ヒエッ》
《ダンマスにシワ寄せいくのはよろしくないかな!》
「アラ。味変のレーズンバター、コレってナッツのものじゃないわよね?」
フレンチトーストの蜂蜜に酔いしれていたステファニーちゃんが、レーズンバターだけを食べて違和感に気付く。
「日本ではバターと言えば牛乳由来の品でしてよ。
ホープランプではナッツのものを召し上がられてますわよね」
こちらでもマーガリンは植物油生まれだ。
《ナッツバター美味しいです、モグモグ》
《ドライフルーツバター好き》
《バター塊の揚げ菓子、爆弾な。カロリーも美味しさも》
《冒険者活動の行動食にしたい》
「こっちもいいわね!
シマウマトレントのナッツミルクもフルーティーで美味しいけど、牛のバターはこってりしていて命の味だわ。
んー。慣れたらもっと好きになっちゃいそう。
バニラアイスも牛乳由来よね?」
「ケーキの生クリームも牛乳加工品だよー。
味見に一口どうぞ。代わりにフレンチトースト一口プリーズ!」
ステファニーちゃんがあまりに美味しそうに食べるものだから、花ちゃんが一口交換を申し出る。
オレと鶴ちゃんは残念だが、既にケーキを食べ終えてしまった。
だって美味しかったから……!
「あら、アリガト」
《ステファニー!おお、ステファニー!》
《若い女の子と平然とケーキのシェアが出来る、オカマは強い》
《下心ないから、あいつ》
「んんん、こっちも濃いわね」
「生クリームも、植物性のホイップクリームも私大好きー。
今度調理実習でトレントミルクを使ったクレープをつくるよ。
冒険者の卵のなにがいいかって、山盛りホイップクリームに躊躇しなくなったことだね!」
《流行るかダンジョンダイエット》
《30を過ぎてから、はじめて体重減ったもんなー》
お喋りはたけなわだが、そろそろ出ようかと席をたつ。
小腹を満たしたところでお会計だ。
島の主要施設には、売魔ボックスが置かれている。冒険者カードを指定の場所に置き、箱の上に手を載せた。
「魔力チャージで」
カードに紐付けされた声紋認識で、ボックスがピピッと鳴る。
昭和世界はロケット由来のハイテクと昔ながらのローテクが入り交じっているが、売魔ボックスがあるところは冒険者カードで決済出来る。
この機械の仕様は撹拌世界と変わらなかった。ただしこちらは円払いだ。
昭和世界現在のレートは1MP25円。
高位冒険者が食いっぱぐれなくなるのは、この売魔システムにある。
1MPあれば『洗浄』も出来るので、安いか高いかは各々個人の判断に任せるところ。
リュアルテくんやリアルのオレはいくら魔力が多くても売り払えるMPの余裕はなかったが、たつみお嬢さんなら柵はない。
現在の保有MPの3割を換金してみる。冒険者らしいことがやれてホクホクだ。
《今、えげつないMPが見えましたが?!》
《姫さん竜族系のお嬢だから》
《初心者冒険者詐欺のつよつよステータスよ》
「この売魔システムのお陰で、日本の魔石レートは高いのかしらん?」
《そうなの?》
《いや、ウチらのところが安いのは、単に魔石がジャブジャブ余ってるからだろ》
《日本の漫画で読んだ。俺たちみたいなのを戦闘民族っていうんだぜ》
《一般日本人ちゃんは、レジャーで狩猟はやらないんだって》
《おしとやかなんだなあ》
「ステファニーちゃんとこは違うの?」
「自分の魔力を売るって考えはなかったわね。
インフラを賄う魔石は、一度限りの使い捨て。使用済みは砕いて畑の肥料行きよ。
ううん、悩ましいわ。試しに20MPチャージしてみようかしら。お小遣いほしいし……」
《学生って金がないよな》
《放課後のラーメン150円は激安だけどさ》
《装備を自前で揃えて、芋ジャー卒業したいんや》
《絶対におかしいよ。昭和なのに現代日本より発動体が高くなるのはなぁぜ?》
《あれは掛かる税金が高いんだぞ》
《生産者もキツいんじゃ》
「朝に多くMPを使うようにすると伸びやすいって聞くよ?」
「そうなの?」
らしいよ。
朝っぱらから起き抜けにヘロヘロにはなれんので、知識はあっても実行するのは難しい奴だ。
《そうなの?!》
《そうなんだよ》
「興味あるかな?
うちらも学校で教わったばっかりだけどね。
他に基礎のMP伸ばす方法なら『魔力の心得』や『チャクラ』はマストだってさー。
まず体と魔力回路を育てないとってことらしいよ」
「お金とメモリ総量を考えれば『MP強化』や『MP回復』とかのパーセンテージで増幅や回復させてくれるスキルは、後回しでもいいっぽいね。
特に『魔力の心得』は、冠スキルに到達すれば上位スキルの道が開かれるから真っ先に入れるべし!だよ。
実際に辿り着けるかは別として、目標は高く持つべきだよねー」
うん。解説どうもだ。
中学校、ちゃんと座学もやるんだな。
初級と中級のスキル学はテストを受けて単位を貰ってしまったから、受講してないけど出るとしたらこの辺りだろう。
『魔力の心得』が天元突破したら『魔道探求』になる。
っていうかなったわ。自動習得で。
転生してメモリに余裕がなかったら頭を抱えるところだった。えげつない。
そもそも転生神殿発掘以前の時代にこのスキルを持っている者は、厳しい節制を課してくる師匠がいる純正魔法使いだけだった。
上位スキルが最初から取れないようになっているのは、オレが思うに安全装置だ。
魔力とメモリの少ない初心者が取得に2500も掛かるスキルを抱え込んだら、身動き出来なくなるもんな。ほげー。
恐らくこれが生えたせいでゲームにリアルから逆輸入がおきた。
10レベルに到達した途端、たつみお嬢さんは『魔力の心得』や『チャクラ』が生えたのだ。脈絡もなく自動取得で。
いいんだけどさ、メモリが消える!
まあ、自動取得が許されるくらいにはお役立ちなスキルでもある。
5年ぶりに端末を買い換えた程度には世界が変わった。
慣れないうちは戸惑うが、回路接続がぬるっとスムーズになる。
『魔道探究』が馴染んでからは、リアルのオレにも『加工』に星がやっとついた。
これは早いペースの習得だとGMにも祝われたが、注ぎ込んだ経験値とMP総量を考えるに『加工』の修羅道っぷりにゲロ吐きそうだ。
『加工』といい、それに使っていた『魔力の心得』といい、寄生プレイで丁寧に介護されていなければ進捗の2割も進まなかっただろう自覚はある。
『魔道探求』とかガチビルドの魔法使いにしか辿り着けない一流スキルを、マンパワーで取らせてもらってしまった。
バリ戦闘職の前世すら持ってなかったのに。
果たしてこれはアリなんだろうかと思わなくもないよな?
ダンションマスターって狡いわー。
実力で取ったものじゃないものだ。勘違いして増長しないようにしないとな。
悪堕ちするとザマァされるダンションマスターは謙虚に生きなければ。
国家を敵に回し、暗殺部隊を送り込まれたくはないでござる。
いずれにせよ、冒険者諸君はお楽しみあれ。
転生神殿の開帳によりメモリ容量が撤去されたんで、上位スキルも解禁だ。
一角に到達したと思っていたスキル坂は、これからが本格登坂と判明したばかりだ。
天然最強天才にチート編成、王道カスタム。あるいは努力だよりのスキルコレクション。
それら相反するもののどれもが好物の雑食だよな。ゲーマーなオレらって。
オレも一般にはそれほど需要のない農業系スキルを、無意味にコレクションしてはニヨっている。
地球産大型農業機械は格好いいだけじゃなく優秀なんで、農業系スキルは概ね下位互換だ。
無駄メモリだけど、趣味って理屈じゃないんだよな。
強いてのアピールポイントは機械を収納する場所を取らないこと、メンテいらずってことかなあ。
「アタシ『魔力の萌芽』は持っているわ。地元の学校じゃ真っ先に入れるのよ。
これって『魔力の心得』の前身スキルなのよねえ」
迷いはしたものの好奇心に結局負けてMPチャージを試したステファニーちゃんは、憂鬱そうにレストランでは脱いでいた毛皮を着込む。
「前身スキル?」
「なーる!車が三輪から4輪になったよーに、スキルも進化するんだねえ」
ホテルの外は覿面に寒い。
ステファニーちゃんだけじゃなく、鶴ちゃんと花ちゃんもぴゃあ!と身を竦めている。
これはのんびり歩いてたら風邪を引きそうだ。
500年の差は大きい。
地球に到着したロケットはその期間あちこちの世界を経由したぶん、多彩な民族の知恵が入り、それだけGMが管理しているスキル群も付け足し磨かれ抜かれている。
でも、まあ。
「小さなお子さんが、生活スキルを使うくらいなら『魔力の萌芽』はコストが軽くて良さそうですわね」
ちょい見た感じ、このスキルは必要な機能だけを載せたシンプルさ故にスマートだ。
全くの初心者が入れるなら『魔力の心得』より無駄がなくてむしろ良いのでは?
「……そうね。そうかも。悪いことじゃなかったわね。
でも魔力は伸ばせるだけ伸ばしたいわ」
寒いので自然と足が早くなる。
リアルの冬じゃ自転車こぐときしかしないけど、手袋してきて良かったなー。
《わかる。スキル石入れるの苦行だもんな》
《子どもにコスト重い石は入れられんよ》
《ジョブストーンを入れた時は死ぬかと思った》
《きちんと『精製』されたスキル石を一度使うと元には戻れないです》
《なんかホプさんのコメ増えた?》
《やはりステファニーちゃんの功徳が強い》
「んー。手っ取り早いのは『魔力循環』かなあ。
スキルを覚えてなくても、やってもらうだけで魔力回路の拡張になるし」
「ねね。話は変わるけど走っちゃう?」
冬の寒さに耐えかねて、花ちゃんが提案した。
ホテルの大通りは歩道も広いが、車道の他に冒険者が走れる専用道もあるのが良い。
「そうしようか、今日は寒いよ」
「いいわね、賛成」
「望むところでしてよ」
道なりにある瀟洒なお店はまた今度な!
踵のないブーツとスカートでたったか走る。
体を温め、汗を掻かない程度のランだ。
右の車線を高速で走る冒険者たちが追い抜いて行く。
そして一番右の車の車線には、荷物を満載にしたトラックもしばしば通る。
が、なんだアレ。
通るトラック、通るトラック。
それぞれ見たことないようなド派手な装飾をされているんだが。
羽子板か、ねぶた祭りの装飾か。なんかやたらとお目出度い。
思わずガン見してしまう。
なのに花ちゃんも鶴ちゃんもなんでもない顔でスルーして、ステファニーちゃんと話している。ええー?
「なにを話してたっけ?」
「魔力を伸ばす方法だよ」
「あ、そうそう。寮で仲良くしている先輩で使える人がいるから、試してみる?
興味あるなら、紹介するよー」
「ありがたいけど、お邪魔じゃなあい?」
「5分500円。魔法使いクラブの部室でも営業してる。
タダだと無制限にやってー!って頼まれるから、商売の形で落ち着いたところ。
先輩は男の子と手を繋ぐのはNGだけど、ステファニーちゃんなら大丈夫と思うよ」
うーん。昭和価格だと少しお高め?
冷やかし避けならこれくらいか。
「真知子先輩美人だもんね。女の子でもドキドキしちゃうんだから、男の子は手を繋いだら恋に落ちちゃう」
「ナニよ。アタシだって女の子は可愛いと思うわよ。ウサギさんとか小鳥さんみたいで」
「うーん、安パイ!」
「男の子は駄目なんですの?」
気を取り直して会話に参加する。
オレも遠慮した方がいい?
《よくぞ聞いてくれた!》
《姫さん、トラックウォッチはもういいの?》
《デコトラもっとよく見たい》
《運営、昭和の面白いとこだけつまみ食いしてんなあ》
「真知子先輩、不良男子に言い寄られて冒険者を目指して逃げてきたクチだから、グイグイ来る男の子は苦手みたい」
《クラスのマドンナに言い寄る不良かー》
《懐かしの王道パターン》
《行動が派手で化粧がケバい方向性は一緒なのに、はみ出し者な不良少女とクラスカーストトップのギャルって、どこで進化が枝分かれしたんだろーな?》
《アイドルといえば清純派な時代じゃけんの。無理はなかとよ》
「真知子先輩、自分を恋愛の対象にしないんだったら男の子も平気ぽいなって。歳の離れた先生でも平気な先生と距離を取りたがる先生はいるし」
「先輩も姫ちゃんみたいに、いつもカメラを散歩させとけば安心するかもねー」
《おっ。現地民配信者増えちゃう?》
《いいね!》
「でも配信しないとカメラの予算申請下りないんでしょ?
配信カメラはロケット技術の塊だから普通に買うと高いって聞いたけど」
「姫ちゃんの配信で気付いたんだけどさ。自分のアバターを動物にしていいなら、先輩もやってくれそうじゃない?
魔法使いクラブの練習メニューを流してくれたら参考にしたいし」
《魔法使いクラブとか心ときめくフレーズ!》
《そういやメタ全開の配信って現地の人的にはどうなのさ?》
《【この動画は撹拌世界の住人には配信出来ません】ってなる》
《←もしくはその部分はカットされる》
《いちいち直さにゃならんの、煩雑じゃね?》
《悪いこといわん。編集Pをお迎えするのだ》
《現地の人も視る用の動画だと【ここをカットして掲載しますけどよろしいですか?】ってなるよ》
《そうか。オレらと彼らの視ている配信って尺が違うのか》
《コメントもオレら用と現地民専用に別れてるぞ》
《現地民バージョンの配信、一緒に動画視たことあるけどコメントの質が違って面白かった》
《仲良しかよ》
《仲良しだったんだよ。あっちはどうなってるんだろうな。あいつに不幸が起きてないといいんだけど》
《……そうやってフラグ立てるのやめようぜ?》
コメント、いいね、評価、誤字報告等、感謝です。
深夜部屋の温度計が32度からさがりませぬ。
ウフフ、我慢比べで負けました。冷房さんはまこと頼りになるお方でございまする。
皆さまも体長管理にはどうかご留意くださいませ。
暑中お見舞い申し上げます。