218 ダンジョンタワー
吹きっさらしの港の近く。
松の防風林を抜けたところにある外町商店街は、オモチャ箱のようにごちゃごちゃしていた。
空には電線、電柱がはみ出て車がすれ違うには危うい道。
トタン屋根の畳屋に、怪しげな鍼灸院、豆腐屋に床屋に金物屋。
八百屋の正面にはパーラーが陣取り、そこだけは看板がつんと気取っている。
そして建物の背は押し並べて低い。大抵は平屋で、2階があるのは少数派。だからか心なしか誇らしげなのは、高く伸びる銭湯の煙突だ。
まだ閉まっている駄菓子屋は、磨りガラスの戸に営業時間のお報せをセロテープで貼りつけてある。
《ほわあ》
《畳屋の庇にサバ猫が寝ちょる》
《ドローンカメラ、アングルいいなあ》
《カメラAIだと画面酔いをしなくて嬉しい》
《姫さま撮影カメラAIと、編集AI入れてんのか、うらやま》
《βテスターな俺らは『倫理』さえあれば、無料でカメラマンと編集者Pがついてきたぞ》
《さあ、君も配信者デビューだ!》
《おっ。外には電線あるんだな》
《なんで?》
《電線、ダンジョンタワーの中だとない》
《駄菓子屋はっけーん!》
揚げ油の匂いに袖を引かれる。
お肉屋さんに視線を向ければ、カウンター奥、身幅の立派なおかみさんと目が合った。
腹に手を置き、胃に質問だ。
それは必要な買い物か?
「メンチ揚げたてだよ!」
これは、必要なもの。間違いない。
「それでは、おひとつくださいな」
伊藤博文さんが刷られた千円札を銭置きに置くとお釣りが返る。
百円玉はよく見知った形だが、500円玉は見ない意匠だ。
えっ。100円玉っていつからデザイン変わっていないんだ?
息が長いな?!
《出だしおやつ(^ω^)》
《腹ペコ姫さま》
「はいよ!今食べるなら、そこの椅子に座っておくれ!」
大ボリュームのメンチカツはひとつ100円。
ざっと紙に挟まれ渡される。
そしてなんとこの昭和世界、消費税が存在しない。それだけでなんだかお得な気分だ。
「お嬢さんは島についたばかりかい?」
ビールケースに座布団を敷いた椅子に腰掛けると、ぬくい番茶をサービスされた。
渡されたのは、どしりと分厚い益子焼の湯呑み。
これは嬉しい、温まる。
「ありがとう御座います。ええ、そうですの。わかりまして?」
揚げたて1つ目のメンチにソースはいらぬ。
素のままでかぶりつくべし。
大きく噛みつけば、熱い肉汁が口いっぱいに広がる。
うまい。これはホームランだ。
寒風に晒された体にカロリーが染みる。
《いい顔で食うなあ》
《うまそー》
《メンチ!メンチ!》
「学生さんなら今の時間は学校だよ。あんたみたいなお嬢さんが、外を堂々と歩いているとなると手続き中ってとこになるね」
おみそれしました。名探偵だ。
「それにこっち側の商店街は島の入植が始まって、取り急ぎ建てられたモンだからお嬢さん向きじゃないしねえ。
東辺りは迎賓を招くホテルもあるから、それなりに瀟洒だよ。
島をよく知る娘さんなら、そっちの甘味処に行くってもんさ」
「あら。でもおばさまの手料理はそちらでは食べられないのではなくて?
このメンチカツ、お土産にしたいわ。揚げたてから9つ、包んでくださる?」
「ふふん。悪い気はしないね。入島祝いだ、コロッケひとつおまけだよ!」
「やったあ。おばさま、ありがとう!」
災害物資のレトルトだって旨いけど、ラードで揚げたザクザクな衣は、分かりやすくテンション上がる。
《可愛い女の子って得だな》
《俺も姫さまに貢ぎたい…》
玉子がなー。輸入出来んのがネックだよな。あと牛乳。
こちらで流通しているナッツミルクも悪くはない。
むしろ良いが、牛乳は毎日飲んでいたからないと恋しい。
甲殻世界、農業は日本よりも発展してるぐらいだが畜産業はお察しだ。
甲殻人は牛よりも力持ちで、馬より早く長く走れてしまう。
前提となる肉体ポテンシャルのせいで、牛馬は農耕機にも移動手段になりはしなかった文明だ。
辛うじて穀物を荒らすネズミなどの小動物を狩らせるのに犬猫を飼うのはアリなのでペット文化はあるものの、民族的に楽をするため家畜を育てるというズボラな考えが薄いらしい。
研究程度に細々と飼育している可能性はあるけれど、少なくとも乳製品や卵は売り物として輸出入の目録になかった。残念無念。
ダンジョンの狩猟で安全な食肉には困らなかったという背景もあるのだろうが、食の産業は農耕と狩猟に寄っている印象だ。
……まあ、一瞬なんでと驚いたが西洋文化が入ってくる前の日本も、四つ足はほぼ食べなかったらしいしさ。
必要を覚えなきゃそんなもんかな?
オレも職業柄で、ミニ牛のピンクちゃんや魔鶏の魔石は手持ちにある。
支配下のダンジョンなら、アンカーを打ち魔物を呼び出すのも簡単なわけだ。
容易くないのは、それらの管理を誰がするかということ。
当然、生き物を飼うなら人手とノウハウがいる。その問題がやはりネックだ。
神奈川グループの面々にも、牧畜やりたいって人は出てこんかった。
【十姉妹より大きな生き物を飼ったことないです】
【『解体』だけなら、まあ、それなり……?】
【ニワトリってなに食べるの?
そういうペットフードがあったりする?】
そういうレベルの覚束なさだ。
うん、知ってた。
職場が農場でもない限り、現代日本人の大半は鶏すら飼うことはないよな!
ド田舎で爺さまが農家なうちですら、かーさんが小さい頃にはヤギも鶏も豚も手放していたぐらいだ。
だからオレも家畜の世話はサッパリだ。
……牧場関係者が出てきてくれたら、全力でスポンサーになるのにさ。ちえっ。
これから甲殻世界の皆さまに牛飼いを啓蒙しようとウキウキしていた、GMの手腕に期待したい。
頼むぞ、マジで!
賑やかな商店街はあちこち寄り道したい魅力があるが、スタートしたての今現在。手持ちの小遣いが少ないのでぐっと我慢だ。
《商店街にコンビニないね》
《郵便ポストがレトロ可愛い》
《床屋のクルクル回るの、ずっと見ているカラスがおる》
《なあ。スーパーの前に、棺取扱いしてますのノボリがあるんやが……》
《ホラ、家で葬儀をやる時代だから》
《なにそれ大変》
島の中央、建築途中の巨大モニュメントからダンジョンタワーに潜る。
この建物は地上に出ているのは頭だけだ。胴体部分はというと海中に沈み、海底ゲートと繋がっている。
《銀色のオベリスク?》
《ピカピカしてんな》
《上空カメラだと、鉄筋むき出し》
《めっちゃ建築中ww》
《オノゴロ島ダンジョンタワーのモニュメントって、世界初の生体金属で造る巨大建造物なんだってさ》
《このタワー、計算尺を使って建てられたってマ?昭和の人間、鉄人じゃねえ?》
《計算尺?》
《←目盛りを合わせるだけで、対数や平方根とかを出せるアナログ道具よ》
《電子計算機が出てくるまでは、これで測量もしてたんやで》
《タワー、金かかってんなァ》
《ダンジョンゲート直結で、魔力充填してるから維持費は安いそうだぞ》
《あれで海中のゲートを繋いでるのか》
《海峡トンネルくらいの大工事じゃん》
ダンジョンタワーに入ると、人も疎らな駅前広場に出た。
駅の案内に従い、更にタワーの市街地に飛ぶ。
ゲートの移動料金は島内だけなら無料だった。ありがたい。
市街地の案内板も忘れず『マップ』に同期をさせておく。
昭和世界はワールドウォークのマップアプリも消えていた。
この辺はイベントが進めば、本土で衛星が打ち上げられてGPSが出てくるのかもだ。
件の佳代子おばさまのハウスは一般住宅地ではなく、警備員が守る特別フロアに存在した。
ここの警備員さんたちは大きめな制帽に大正の軍人さんみたいなインバネス姿だ。
ちょっと格好いいがこのコート、おそらくは裏生地に防御用の『陣形』刺繍を仕込むために布面積の確保をしたいがための実用品だ。
小さな『陣形』の『刺繍』は刺し手にシビアな技術が求められる。
つまり布面積が広いと『陣形』も刺し易い。
複数の効果を入れるのなら、細身のスーツより羽織、羽織よりポンチョのほうが『陣形』を入れる素体としては優れている。
大きな帽子や一枚布のマントは、頼りになる防刃ベスト的アトモスフィアだ。
夢魔の下着は如何に技術のいる高級品なのか、自然と分かっていただけると思う。
普通はちっちゃな生地に刺すもんじゃないんだよなアレ。
レース編み?
そっちまで手を伸ばせる器用さなんて、オレにはなかった。
複合技術になるとさっぱりだ。
《警備員の制服いいな》
《インバネスは浪漫》
《ええ、とても素敵です》
「ご機嫌よう。お尋ねしますけど、こちらを通るのは冒険者カードの提示でよろしいのかしら?」
「はい、拝見いたします。司城たつみ、さまですね。
確かに新たに名簿が届いております。どうぞお通りください」
閉じていたゲートが開けられる。
格子状の柵がガシャコンっと、上下左右に順を追って開くのは、レトロなエレベーターっぽくてワクワクする。
ううむ。特殊ゲートもいいな…!
思えばオレが扱うものは宇宙ゲート的なシンプルなものばかりで、ダンジョンに合わせてデザインを変えるって頭がなかった。
普段は扉を閉じるタイプのゲートなら、開くたび凝った演出のカラクリがあるのはアリ寄りのアリだ。
楽しいことは無駄じゃない。
「こちらは来客用のゲートになります。ご家族用のゲートは他の場所に存在します。
そちらは専門の鍵が必要ですので、保護者の方にお尋ねください」
ほうほう。防犯上、地図に載ってない出入り口があるとな。
「まあ、ご親切にありがとう御座います」
ゲートを潜るとエントランスだ。
中央には池のある日本庭園。その外側をぐるりと遊歩道が整えられ、自宅ゲートが点在する。
《古都の料亭の庭っぽい》
《艶やかな魚が泳いでいますね。水面に浮かぶ花も美しい》
《おっ。ホープランプのお人なのかな?》
《錦鯉ってゆーんだよ。日本の庭園じゃポピュラーな感じ。水草はなんだろ?》
《ミズヒナゲシだな。春から初夏に咲く花だから花期がズレてるけど、ダンジョンならまあ?》
《おっ。今の表札、ホープランプ大使館のゲートじゃん》
《そのうち行けたりするのかな》
《ホープランプ様式の建物、じっくり見たい》
《じきに実装するだろ、ホープランプ街も》
いくつかの表札を確かめて通りすぎたところで、ようやく司城の文字がある。
ゲートを通れば佳代子おばさまの家だ。
石灯籠があるような、日本庭園にバラが咲く。
冬薔薇は無精の代名詞だが、佳代子おばさまの庭は丹念に手入れされた薔薇たちが今が盛りよと咲き誇っていた。
思えばふわりと暖かい。
エントランスも寒くはなかったが、佳代子おばさまの庭はのどけき春だ。
《こちらの庭も風情あります。日本はこのような庭が多いのですか?》
《ないない》
《個人宅ではかなり裕福なお家かなー》
《田舎の一軒家だったら趣味の庭はある。邸宅はムリ》
「ごめんくださいまし」
インターフォンはなかったので、直接玄関に声を掛ける。
「はい。ご用件は……。
まあ!お待ちしていました。
姫さま、ようこそおいでくださいました!
只今、佳代子さまをお呼びしますね。
どうぞ、お上がりくださいませ。
妙子さん、奥の間にお通ししてね」
着物に割烹着姿の女中さんたちが、いそいそと取り次いでくれる。
《姫さま、やっぱりいいお家の子なんだな》
《ほら、TRPGのキャラ設定は濃ければ濃いほど楽しいじゃん?》
《撹拌世界でサイコロ遊びしていたキャラをアバター移植した組やぞ、この姫さまも》
《移植組、結構多かったもんねえ》
《クリスマスは色物キャラで大渋滞だった》
靴を脱いで揃えると、まず洗面所に案内される。………と、いうことはお客さまじゃなくて身内扱いなのかな。
後見してもらって寮暮しの可能性は少なそうだ。
手を石鹸で洗うと、その間にタオルとうがい薬を入れたグラスを用意されている。
「備品はこちらの棚にあります。ご自由にお使いくださいませ」
銀幕の女優のように前髪を短くした若いお女中さんは、どうやら緊張している模様。
新人さんの初々しさだ。努めて柔らかく声を掛ける。
「モリーね、いい匂い。おばさまは、可愛らしいものがお好きなのね」
蔓草の香料漂う貝の形の石鹸はピンク色。うがい薬のグラスは夜の湖畔を写し取った工芸品だ。
勿忘草を刺したスリッパとか、用意されている小物がいちいち可愛い。
「はい。姫さまがいらっしゃると、それはもう張り切られて。
お気に召していただけたら、佳代子さまもお喜びになります」
おうふ、歓迎されとる。
これは少女向けの品を視聴者さんに紹介できる動画ですね。
中の人が男で、申し訳なくなってくる。
「そう、おばさまが。
……今、配信カメラを使っているのだけど、おばさまと会う時は切った方がいいかしら?」
やっぱり撮影NGだよな?
《えー》
《そんなー(´Д` )》
「ああ、配信。そのカメラは冒険者さんが使っているものですよね。
寝室繋がりの私室でもない限りは平気ですよ。
佳代子さまのお立場上、お屋敷は公邸としての顔もありますから。
姫さまが付き人もなくお一人で行動するならば、やはり人目はあった方がいいですものね」
お女中さんは、分かっていますよとしたり顔だ。
えっ、いいの?
《やったー!家政婦さんありがとう!》
《なあ、佳代子おばちゃまってナニモノ?》
でも、一応アレなんで聞いてきて貰った。
返事はOKだったけど、最初の10分は全てカットでいいくらいだ。
「あら、あらあら!なんて素敵なお嬢さんになったこと!
貴女のおばちゃまに、可愛い顔を見せて頂戴な!」
紬の着物に銀座太鼓に締めた帯。
佳代子おばさまは美人だけどパワフルで、姪っ子が可愛くて仕方ないらしいご様子だ。
《おお、美人!年増だけど!》
《ロマンス映画に出てきそうな顔》
「ご機嫌よう、佳代子おばさま。お世話になります」
「いいのよ。落ち着くまでと言わず、ずうっと島に居てくれても。
うふふ、女の子が家に居るっていいわね。インテリアを選ぶだけで若返るようよ。
そのうちバトルドレスも仕立てましょうね」
「そんな、おばさま。わたくしだって冒険者を目指す端くれですのよ?
武器防具は自分の働きで用意しませんと、不相応になってしまいますわ」
リュアルテくん?
あれはダンジョンマスターという座敷わらしだから別ジャンルだ。
《偉いぞ!よく言った!》
《装備品はチマチマやりくりして揃えるのが楽しいじゃけんの》
「まあ!それもそうね!
でも、私服だったらいいわよね?
おばちゃまは、女の子が欲しかったの。十代の女の子しか着れない服ってあるのよねえ」
《あっ。一度断られたぐらいじゃ引かないのな (´∀`*) 》
《姫さまで着せ替えごっこできる親戚うらやま》
まんま親戚の会話なんで、この辺はいらん情報だろう。編集の手腕に任せる。
「コホン。カメラの前の皆さまには、お見苦しい姿を見せました。
わたくし、司城佳代子と申します。
たつみさんとは叔母と姪の間柄で、オノゴロ島ダンジョンタワーでは主任ダンジョンマスターを務めています。
どうぞ、お見知りおきを」
浮遊するカメラに向かって挨拶をする佳代子おばさまは、キリリと凛々しい様相だ。
そしてTRPGの設定がコンバートされて、こちらでも佳代子おばさまはダンジョンマスターであるらしい。
ちなみにだが日本人プレイヤーは世界観に馴染みがいいように、名前が変更されていたりする。
事前にネームを交換している人たちで例を上げれば、広崎さんのヒューローさんが祥一郎くんになってたり、平賀さんのマッキーさんが牧彦くんになってたり、ジャスミンなんて茉莉花くんだ。
タツミ姫も微妙にマイナーチェンジをしてるが、年齢操作もされている彼らに比べたら大したことはない。
……平賀さん、男性アバターだったんだな。
《あっ》
《姫さまは、ダンジョンマスターゆかりの姫さまでごじゃったか》
《ダンマスが美女だとヤル気増すなあ》
……となると、たつみ姫のパパ上ってさ。やっぱりまーくんでいいんだろうか?
新たな疑問が出てきてしまった。
四民平等の世の中で、お女中さんにも姫さまって呼ばれてたし謎だ。
「あら、島にはおばさまの他にもダンジョンマスターがいらっしゃるの?」
それなら小さい島なのに優遇されとる。
「折々で本土から応援はくるわよ?
でも、そろそろ弟子も育ててみたいものね。
どこかにやる気があって昇殿資格のある『加工』持ちの子が、落ちていないものかしら?」
《へー!》
《昇殿資格はあるぞー!『加工』入れたら弟子になれるん?》
《えっ。この昭和、日本なのに昇殿資格システムあるんだ?!》
ううん、オレが話しかけると佳代子おばさま、素になるというか、おばちゃまモードになってしまうな。
「と、いうわけで、画面の向こうの皆さま。
わたくしは無事におばさまと合流できましたわ。安心してくださいましね。
これから学校やダンジョンに通う様子を、アップロードできたらいいなと思いますの。
生存報告を兼ねた日常動画になると思います。
お暇でしたら、どうぞよしなに」
頭を下げてから、おばさまに振り向く。
「わたくし、動画を撮るように言われましたのですけど。これって、視てくださる方がいるのかしら?」
《おるで》
《なんでいないと思うのか》
「ふふ。姉さまやお義兄さまはもちろん、たつみさんの元気にしている顔が見たい者はいますよ。
それにオノゴロ島にはホープランプの皆さんがいますからね。
彼らのいつもの姿を、本土の皆さんにも知ってもらえたら嬉しいわ」
《アバターの家族も見てるのか》
《この動画、現地視聴者さんが多くなりそう》
「ねえ、おばさまはホープランプのお友だちがいらっしゃるの?」
「そうねえ、なれたら嬉しいのだけど。
なんか………挨拶をするだけで、跪かれてしまって」
あっ。なんか急に親近感が……!
《はい》
《すみません》
《同胞が迷惑をお掛けしています》
「それは話し掛けづらいですわね」
「そうなのよ。彼らにも現場の意見を訊きたいのよねえ。
オノゴロ島と彼の地を繋ぐダンジョンタワーは突貫工事で、とにかく急ぐことを求められたから細かいところが雑なのよ。
困り事があるはずなのに、声が上がってこないのは、ね」
ほうほう、なるほど?
《完成してないのに使われるってMMOかよ》
《遠浅の海の地脈は日本もヤバいって聞くけどそれでかね?》
《太平洋沖に地脈バカ食いする施設があるの助かる》
《結局異界同士を繋ぐ超長距離回廊が、ダンジョンタワーでオケなん?》
《←うん、そう》
「だったらおばさま。わたくしおばさま専用の小ネズミさんになりますわよ。
これから島を自由に探検出来ることを楽しみにしてましたの」
どうせアチコチうろちょろするから、ついでに調査員活動するのも吝かではない。
クエスト!
おばちゃまの悩み事を解決しよう!
女性は結婚したら家庭に入る時代もありました。
立派な殿方たちの仕事場にグイグイ交ざりに行くのは戸惑うおばちゃまと、女性ダンジョンマスターという未知の存在に困惑するホープランプの人々との架け橋になりましょう!
目指せ快適なオノゴロ島ダンジョンタワー!
報酬 情報1件毎に1万円 + 功績ポイント10点 + 出来高制
※このクエストは何度でも受けられます!
称号 可愛い情報屋さん が贈られます!
おっと。このノリ、久しぶりだ。
コメント、いいね、評価、誤字報告等、感謝です。
男子寮、女子寮に放り込むわけにはいかん中身迷子さんは、島に身内をご用意してます。
やっべ。投稿時間ミスってました。
取り急ぎアップしときます。