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「かなりの時間退屈させたんだ、少しくらい許されるだろ。第七層術式 『術式支配』」
本来なら対象の術式が発動しきる前に使い、暴走させて爆発させたりそのまま術式を発動させ対象にぶつけたりするのに使う物だ。
しかし、魔道の叡智ありきの使い方だが、発動中の術式を奪い、そのまま使い続けたり、発動させたまま改変させたりも出来る。
それにしてもバレるのが早い。
幾つか支配したら、直ぐに目が合った。
少し驚いた顔を見せた後に、ニヤニヤとした顔になった。
これは間違いなくバレている。
「中々出来た幻影術式な事で……」
光と水の二つの属性を合わせる事で幻影を生み出す術式なのだが、光の反射具合をコントロールし、綺麗な色を見せれる様な術式になっている。
かなり高位の術式だ。
「さてと、色々弄らせて貰いますよーっと……」
一部の幻影が、俺の意思によってその姿を変えていく。
妖精が悪魔に、精霊が亡霊に、霊獣が魔獣に成り果て、周りの妖精達を襲い始める。
そしてそれに対抗せんと、妖精達は武装し、悪魔達に斬り掛かる。
悪魔達と、精霊達の戦いが始まる。
それと同時に、虹の空は真紅の空に、木々は燃え、川は血のように紅く変わる。
その変わりように歓声が再び上がる。
暫くして、精霊達の勢いが増し、悪魔側が敗北するという形でその劇は幕を閉じた。
「さて、楽しんで貰えたかな?」
何事も無かったように話を始める学園長。
これは、上手いこと使われてしまったかもしれない。
まぁ、暇だったから。うん、仕方ない。
「この後は軽く生徒会長の話があり、その後にクラス分けの発表となる。では、あとはセノアくん、頼んだよ。」
そう言って学園長は壇上を降りる。
と、その時に少しだけこちらを向いて
『君、後で学園室ね?』
と、念話を飛ばして来た。
まぁ、バレてるよね。目合ってたし。
でも、思うんですよ。待たせる方が悪いって