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9:新しい戦場と敵。

6人は別の隠れ家を探して町を歩いていた。


「……で、どっかあった?」


「………ない。」


なかなか良い物件が見つからない。


「商店街でも行ってみようよ!!」

さおりが言い出した。





12月8日10時30分商店街。


「誰もいないね…?」


人の気配を感じない…

みんな奴らにやられてしまったんだろうか?


そんな嫌な考えを振り払う光。



『ジジ……ジ…』


電気屋の前にならぶケーブルテレビだ。

一つだけニュースをやっていた。



『今現在このニュースを見ている人が何人いるかわかりません。事態は大変深刻になっています。

謎の生物は世界各地で目撃されており、もはや戦争と呼べるほどになっています。

アメリカ政府はこの生き物をHIVEハイブと名付けました。

HIVEの正体は全くわかっておらず、死者の数は増える一方です。東京では人口が20分の1にまで減少しています。』




「HIVE?

それがあいつらの名前か…」

テレビを眺めながら光は言った。


「人口が20分の1って、ここも私たちだけかもね…」

美樹は呟いた。



「とりあえず今は探そう。」


奴らの名前と、現状を確認し商店街を後にした。




「ん!?何だあれ?」

里志が遠くを指差した。


目を細めて見ると、何か大きな黒いものが道路の上に倒れている。


近くまで行き、その正体を見て6人は驚いた。


「な…なにこれ!?」


その黒い物体はHIVEだった。

しかしその姿は今まで見たHIVEとは違った。

通常の2倍の大きさ、8本の手足、そして、真ん中に大きな口があった。


「こいつらって何なんだよ!!

いろんなタイプがいるのか…?」


新型HIVEを見た6人は、新しい恐怖を感じていた。



「こいつきっと俺らを喰うぞ!!」

慶も恐れている。


「なんにせよ、一筋縄ではいかないな…

早いとこ場所を確保しないと!!」



もうすぐ夕方になる。

光は焦っていた。


少し進むと工場があった。

目の前に大きなシャッターが見える。

おそらく車の整備工場だろう。



「調べてみよう。隠れ家にいいかもしれない。」

焦る光は一人先に進んだ。

「おい、光!!

あいつ何焦ってんだ?」

里志たちが後から追い掛ける。



ガラガラガラ

シャッターを開ける。


中はいかにも整備工場らしく、いろんな道具が置いてあった。

中でも積み上げられた廃車が目につく。



階段をあがったところに事務所が見える。

「ここならいけるだろ?」

光は嬉しそうに5人の方を見た。




「!!」

光は突然表情を変えて叫ぶ

「後ろだ!!」


里志が後ろを見た瞬間、若い男が里志の腹を殴った。


「ぐはっ!!!」

倒れ込む里志。


その横から別の男が慶を殴る。

慶も倒れた。


2人とも気絶したようだ。


「里志!!慶!!」

光が叫ぶと上から男が飛び降りてきた。




ゴツッ

バットで殴られ倒れる光。


「光ーー!!!」

さおりの叫ぶ声が聞こえるが、次第に意識が遠退く。


「さ…おり……。」




22時15分整備工場事務所



「…ん……。」光は目を覚ました。


グッ!!


手が動かない…

どうやらロープで手を縛られたようだ。



ズキッ!!


くっ!!

頭が痛む…

ここは………

そうだ!!

工場に入って誰かに頭を殴られたんだ!!



「くそっ!?」

ロープは解けない。



しばらくじたばたしていると何かが足に当たった。


「ん?」

光はその方向を見る。



「里志!!慶!!」


2人もロープで縛られ、まだ気絶しているようだ。




「おっ!?1人起きたぜ。」

20歳くらいの坊主頭の奴がやってきた。


そのあとからもう2人、柄の悪い連中がきた。


「おはよう…かな?」

リーダー風の男が話す。



「おい!!何の真似だ?」

光が冷静に聞く。




「うん…それを話すのもいいがお連れのお嬢さん方は心配じゃないのかな?」

リーダー風の男が言った。


「てめっ!!あいつらになんかしたのか!!?」


「ん〜。実にいい叫び声だ。楽しめそうだな…」

男ら3人が笑っている。



「ふざけんじゃねぇ!?

俺の質問に答えろ!!」


「大丈夫…丁重に扱ってるよ。……今は……ね。」

男は不気味に笑った。



その様子にぞっとする光。


「自己紹介がまだだったな…。

俺は…シュウと呼ばれている。坊主頭がキュウ、もう1人がザイだ。」

シュウが話を続ける。


「おまえが光だな。

…お友達に聞いたんだ。

はっきりいっておく!!

俺はこれからおまえらを殺す。

ただ、普通にやっても面白くねぇ…

だから俺は考えた。

化け物に殺させようとな。まぁ、いずれ話す…

おい……連れてけ!!」


光らは無理矢理別室に連れていかれた。

そこには女子3人がいた。

里志と慶も目を覚ました。


「な、何だここ?」

慶がキョロキョロする。




「全員起きたか…

よく聞け。

俺らは1日からずっとここに隠れてたんだ。だが、3日に化け物に見つかった。

俺はとっさに下っ端の奴を、下の化け物のいるところに落とした。

するとどうだ?

奴ら俺らには目も向けず、全員で下っ端のところに行ったんだ。

奴らはまるで蟻だ…

目の前にエサがあるならそれを取って帰るんだよ。下っ端のおかげで俺らは助かった。

その時ふと気付いたのさ!!

俺らがエサをやれば奴らはおとなしくエサを拾って帰るんだと。」

そういってシュウは笑った。



「つまり……どーゆーことだ?」

慶が本気で質問する。


「つまり俺らが蟻のエサ、化け物のエサってわけだよ…」

光が話す。



「そーゆうこと。賢い奴って嫌いじゃないぜ!?」




「だからおまえらのエサの順番を今から決めておかないといけないなぁ!!」

シュウが笑う。




ちらっ

シュウが時計を見る。

「11時半か…おまえ?」

美月を指差す。

「おまえが1番だ。」


「い、いや…」

美月が泣き出す。


「嫌じゃねぇんだよ!?

シュウが美月の髪を引っ張る。


「やめろ!!!」

光が叫んだ。


「あ!?」


「俺が1番に行く。」


その言葉に全員が反応する。


「だ、駄目だよ光…」

今度はさおりが泣き出す。

「もともと、俺が焦ったのが原因だ。俺が1番に行く。」



「光!?止めてよ。絶対死んじゃう…」

さおりは涙が止まらない。





「あっはっはっは!!

女の前だからってカッコつけやがって!!

やっぱてめぇは嫌いだ!

そーゆう奴が早く死ぬってことを教えてやるよ!!」

シュウが光を掴み引っ張る。

そして、階段から、縛られたままの光を蹴り落とした。




「てめぇらはそこで黙ってこいつの死に様を見てろや」


ガチャッ

シュウは別室の鍵を閉めた。

窓が大きいため、5人は光の姿がはっきり見えた。


「光!!」

「光!!!」

5人は光の名を叫ぶ。





下で光はもがいていた。


「くそっ!!

手のロープさえ解ければ…」






ウィイイーン!!

階段が上に上がっていく。


「この階段は自動式でね。動かせるんだよ…」

シュウが上から見下す。




「さぁショーの始まりだ!!」




0時00分

ゴゴゴゴゴ!!!

ゴゴゴゴゴ!!!!



地震が光の恐怖を倍増させた。



くそっ!!

どうすりゃいいんだ!?

どうすれば……




「キシャアアア!!」


エサのにおいを嗅ぎ付けたか、HIVEがやってきた。


全部で5匹。

ゆっくり光の元に向かってくる。



「くっ!?」

何とか起き上がった光は、周りを見て何かないか探す。


ちくしょう!!

どうする…



「キシャアアア!!」

「ガアァアア!!」

一歩一歩近づく5匹のHIVE。




!!!

光が何かを閃いた。


「一か八かだ!!!」


クルッと後ろを向き、光は走り出した。


「ガアァアア!!」

その様子を見た1匹HIVEが後を追い掛け走る。



「うおおおぉ!!!」


ドーーン!!

光は勢いよく、積み上げられた廃車にタックルした。



グラッ

廃車が揺れた。




ドドドドド!!!!

ガラガラガッシャーン!!!!

廃車の山は一列に倒れ追いかけて来たHIVEを巻き込み崩れた。



「はぁはぁ…やったぜ。」


壊れた廃車のガラスで手首のロープを切る。


「残りはあと4匹…」


光は近くにあった1、5メートルほどの細い鉄パイプを持った。



「こいつら倒したら次はてめぇらの番だ!!!」

そう言ってシュウらの方を指差す。


「へぇ…そいつは楽しみだ!!!」

シュウが笑う。





「ガアァアア!!!」

HIVEが光を囲む。




「さぁ、かかってこいや!!!!」

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