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4:突然のサバイバル

2010年12月6日5時40分。



「キャー!!!助けてー!!」



女性の悲鳴が聞こえ、目が覚めた。



シャッ

カーテンを開ける。


外は薄明るい感じで妙に暗くて不気味だった。


「さっきの悲鳴は…?」


ふと2階から下を見る。


だんだんと目が覚めてきて視界がはっきりしてきた。



「うわぁあああ!!!」

そこに見えたのはおびただしい量の血と道路に横たわる女性の死体だった。



思わずしゃがみ込む。


「ハァハァハァハァ。」

あまりの恐怖に呼吸が乱れる。


恐る恐る覗いてみる。


やはり死体はそこにあった。

な、何で人が死んでるんだ?

さっき叫んでた人か!?




ガサッ


「ん!?」

今そこの木が揺れたような…。


ガサッガサガサ、ドスッ。

そこから出てきたのはどす黒いぬるぬるした生き物だった。後ろ姿は人のように見えた


「何だあれは?後ろ姿でよくわからない。人か?」

だが次の瞬間、背筋が凍り付いた。


とてつもなく長い舌が、死んでいる女性に巻き付き、まるでロープで引っ張るかのように引きずっていったのだ。



「なっ…」

動揺して言葉がでない。


人間じゃない…

あれは間違いなく人間じゃない。



パキッ


後ずさりする際床にあったCDを踏んでしまった。



バッとその生き物がこちらを見る。

「ぎぃああぁあ」



「うわぁああああ!!!」


生き物の顔は骸骨に薄い皮が張ってあるだけのような醜い化け物だった。



気付かれた!?

どうすればいい?

どうすれば?


窓をみると化け物は塀に登りまっすぐこっちを見ていた。


「に、逃げないと……。」

しかし、足がすくんで思うように動かない。


「動け!動けよ!!頼むから…」


ズル…ズル…

手を使って床をはって歩く。

「はぁはぁはぁ…」

恐怖とパニックでただ遠くに逃げることしか浮かばなかった。




ガッシャーン!!


化け物が窓を破って入ってきた。


「がぁあああ!!!」




「うわぁああ!!!くんじゃねぇよ化け物が!!」

長い舌を出しながら少しずつ向かってくる。



「ヒィ…ヒィ…」


恐怖で呼吸すら出来ない。




もぅだめだ…殺される。



死を覚悟し目を閉じる!

その瞬間!





ゴーン・・・

ゴーーン・・・

ゴーーン・・・



鐘の音が聞こえた。



何だ?


鐘?



「キシャァアア!!!」


ドットッドッドガシャン。


化け物は逃げるかのように出て行った。






ゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴ

ゴゴ…


………





じ、地震!?


地震が静かに止んだ。


「はぁはぁはぁはぁ…、ふぅふぅ……ふぅ。」


しだいに呼吸も戻る。




バッと振り返り時計を見る。



「6時…。」



家族は無事なのか?


急いで階段を降りて部屋を見る。

「い、いない…」

周りに人の気配はない。

「母さん、父さん!?」


・・・・・

「そんな…」



地面に膝をつき、頭をよぎる最悪の考えを振り払っていた。

すると頭に浮かんだのはさおりだった。



「さおり!!」


携帯を取り出しさおりにかける。


『………………』

「頼む!出てくれ。」

『…………光!?光なの?』

「さおり!!無事か?」

『私は平気なんだけど、家族がいないの。それに周りが血だらけで…助けてよ光。怖いよ…助けてょ…』


「すぐ行く。だから待ってろ。いいな?何も考えるな。待ってろよ!?」


プチッ

服を着替え、何か武器はないか探す。

あの化け物がまだいるかもしれない。念のために何か身を守るものがほしかった。


「ん?これなら…」


里志からもらった木刀だ。たくさんあるからと俺に無理矢理渡したやつだ。



木刀を手に持ちさおりの家に向かう。





外は明るくなっていた。

先程の死体が目につく。


あの化け物にやられたのだろう。

周囲を気にしながらゆっくり歩いて向かった。




「さおり!?」

家に入るとさおりが布団に包まって怯えていた。


「光・・・何があったの。」

「わかんねぇ。俺が見たのは黒い化け物だ。」

「それって…」

「あぁ。里志も言ってた生物だろう。俺もやられるところだった。」

「じゃあまだこの辺にいるってこと?」

「いや、少なくともこの辺にはいないみたいだ。いきなり、逃げるように出て行ったからな。」

「・・・・」

「・・・・」



「テレビつけてくれ。ニュースでやってるはずだ。」

ピッ


『全国各地で謎の生物に襲撃される事件が起きました。詳しい情報は入っていませんが、死者は1万人にのぼるとのことです。この事件を受け、緊急事態警報が発令され、自衛隊の配備。緊急対策本部が設置され国民には避難勧告が出ています。自衛隊の指示に従い避難を開始してください。』


「やっぱり全国で起こってるみたいだ。俺らも避難しよう。」

「・・・うん。」

「大丈夫だよ!さおりん家の親も避難してるよ!!」

「そうだよね…行こう。」



人通りの多いメインストリートに出れば自衛隊もいるはずだ。

2人はメインストリートに向かった。





「何だ・・・これ!!」


メインストリートについた2人の前には地震で崩れたビルの残骸、車の山、そして、人の死体があった。



「・・・うっ!!」

死体を見たさおりは具合が悪くなったみたいだった。

俺はそっとさおりの目を手でおさえた。

「見なくていい。目をつぶってろ。俺が先導してやるから。」


しばらくさおりの手を握りながら先導して歩いていると広場が見えてきた。


広場に着くと多くの人(生存者と言ってもいいかもしれない)がいて、自衛官が住民に説明をしているようだった。


横にあったベンチにさおりを座らせ、説明を聞きに向かった。


「ですから、今日はもう安全なんです!!だからみなさん食料を確保して各自隠れるところを探してください。」

自衛隊の指揮官だろうか?胸にバッチを多く付けた人が話している。

「隠れろってどうゆうことだよ!?おまえら自衛隊が俺らを守るんじゃねぇのかよ!!」

「そーよ。あんたらはそのために税金から給料もらってるんでしょうが?それが自分で何とかしろ?ふざけないでちょうだい!!」


「ですから、軍の防衛施設は人が多すぎてもう入れないんです。我々がパトロールしますから安全です。」

「人が死んでいるのに安全な訳無いだろうが!!」

「そーだ」

「ふざけるな!!」



がやがや


がやがや



住民の怒りが爆発している。このままここにいたらまずいな。


人込みを抜けさおりの元に向かう。

「大丈夫か?さおり。」


「だいぶ良くなったよ。それよりどうゆう感じなの?」

「施設が満員で自分達で生き延びてくれ!だとさ。」

「・・・どうすんの?」

「ここにいても仕方ねぇ。とりあえず今は化け物が出ないらしいからどこか隠れ家を探そう。歩けるか?」

「平気だって。それより、何で今は平気だってわかんのかなぁ?」


「わかんねぇ、今は聞ける状況じゃねぇし、信じるしかねーよ。」




「あれ!?光とさおりじゃねーか?」


広場を出る寸前に誰かに声をかけられた。


「慶!!」

「慶!?」


「よぅ!久しぶり?」


こんなときでも相変わらずだ。


「おまえらも無事だったか!?」

里志と美樹がやってきた。

「さおりー!!無事でよかった。」

美樹がさおりに抱き着く。

「俺も無事なんだけど…」

ぼそっと呟く。

「よかったねぇ光!」

美樹が軽く流した。


こいつらといるとさっきまで死にかけてたのが嘘みたいだ。



里志が咳ばらいをする。





「これから隠れ家を探すんだ。一緒に行かないか?」



「あたりめーじゃん!!俺らは5人で1つだろ?」

慶が自信満々で言った。

「光みたいに無鉄砲なやつを置いてけるわけないしね。」

「助け合いこそ武士の掟」

!?

里志が珍しくボケたのでみんな驚いた。

なんか古いけど・・・

こうしておれらは再開を果たし、生き残るため行動を始めた。

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