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13:敵陣へ

12月9日21時36分ビル5階



さおりを救うべく5人は作戦を考える。

しかし、相手は武装した組織とあって作戦は決まらなく、いつしか辺りは暗くなっていた。


「もう9時過ぎてるぞ。」

「じゃあ今日はあとやめよう。」


作戦会議をやめにして、夕食にする。



食べ終わった後、美樹が目を擦りながら言う。

「なんかすっごい眠いかも…」



当然だろう。

ここ最近まともに寝てないのだから。


「俺も疲れた…」

慶もソファーに倒れ込む。


「みんな寝ていいよ。

今日は俺が見張りやるから…」

光が言った。


「どうした、眠くないのか?」

里志が心配する。


「さおりのこと考えると心配で寝れないんだ…

起きてるほうがまだ楽なんだ。」


「まぁ任せるけど、無理だけはすんなよ?」




23時00分


光以外の4人は寝静まった。

光は一人、窓から教会を眺めていた。



「…さおりがイヴ。人類の希望……

そんなんでさおりは死なせない。

さおりはさおりだ!

人類じゃない、俺の希望なんだ……」

光はつぶやきながら涙を流している。


「……早く会いたい…!」








12月10日10時15分


ガバッ!!

里志が起きる。


「10時…終わったか。」


安心した里志は窓を見る。

窓の横で光が椅子に座りながら寝ていた。



「ったく!!

おまえが1番疲れてんじゃねぇか…」

そういって毛布を光にかける。


「見張りが聞いて呆れるぜ…」




11時00分


「んあ!!

寝ちまった!!!」

光が慌てて跳び起きる。


「おはよう…」


「悪い里志…

見張りが寝ちまって。」


「気にすんなよ…疲れてんだろ?

もう少し寝ていいぞ。」



「大丈夫だ。

それより昨日の夜から考えてたんだ…。

奴ら、鐘の音と声が聞こえるさおりをイヴと言ったよな。」


「あぁ…たしかに言ってたな。」


「じゃあ俺はなんなんだ?俺も鐘の音は聞こえたんだ。

俺も誰かの生まれ変わりなのか!!?」


「…んなこと俺もわかんねーよ。

まだ聞こえんのか?」


「いや……。

でも時々ひどい頭痛がするんだ…」


「頭痛か…

それがなんにしても、

今はわからなくても、

いつかわかる日がくるんじゃねぇか?

今はさおりを救うことを考えようぜ。」



「あぁそうだな…わりぃ。」



「ん…今何時?」

美樹が目を覚ました。


「11時ちょいすぎ。

何事もなかったよ。」


「そっか…光が見張りやってたおかげだね!!」


「ん、まぁ…な。」

とぼける光。




その後、12時頃にはみんな起きていた。




残り時間4日。







12時35分”DG本部“



ウィィーン


自動ドアが開き、ペガサスが中に入る。



部屋の中には仰向けに寝るさおりとドクターがいた。

「ドクター、イヴの状態はどうだ?」


「安定してますね。

睡眠薬を打ってますのでまだ起きないでしょう。」


「よし。例の機械が出来るまでまだ時間がかかる。

それまでは安静にしてもらわないとな。」 


「例の防衛装置ですか…

存在を消しても、奴らに勝てないのでは?」


「心配ない。

イヴはパズルの1ピースだ。まだ他のピースがある。製作途中だがな…」


「まさか例の…!?

あれを復活させるのですか?」


「後にわかる!

それまで頼むぞ?」


「はい。」


「ふふふ!!

パズルは組み合わさることで意味を持つのだ。

そうだろ、イヴ…」





12時40分ビル5階


さおり救出作戦を話し合うがなかなかいい案は出なかった。


「うーん…難しいね。」

美月が頭を傾げる。


「1度奴らの基地の様子を説明するか。」

「教会の地下のエレベーターを通るとDG組織本館。しかし組織の規模がでかく、あちこちに監視カメラ。それに武器を持った軍隊がうじゃうじゃいる。慶の偵察した報告だと、教会前にも何名か兵士がいるらしい。」


「厳しいね…」

美樹もお手上げの様子だ。


「うーん…」

みんな沈黙する。


「こうなったら勢いで攻めるしかねぇだろ?」

慶が呆れたことを言うので里志も美樹もため息をはいた。


そんななか、光だけ頷いた。

「いや、いけるかもしれない!!」





12月10日21時06分教会前


コツコツコツ…

教会の周りを2人、見張りが歩いている。

ガサ、ガサガサ!!


その前の茂みから教会を覗く慶と美月。

「ホントにこんな作戦でいいの!?」

美月がつぶやく。


「俺の作戦に欠点はねぇ!!」


「あんたのはただの自殺行為…

作戦考えたのは光でしょ?」


「どっちでもいい、

今は合図を待とう。」


合図。

さかのぼること1時間前…


「俺がでっけぇ合図するからそしたら見張りを倒せ!!」


「合図ってなんだよ?」


「すぐわかるって!!」






しばらく待っていると教会の中から1人、別の兵士がやってきた。


「、交代です…

俺1人で見張れとのことで。」

「あぁ、わかった。

それにしても一人で見張りなんて珍しいな?」


「全くですよ。

俺も一人は不安です。」


「まぁ頑張ってくれ。」

そういって見張りは二人教会の奥に戻る。



「見張りは一人だ…

これが合図か?」慶が茂みを出ようとする。


「ちょっと待ってよ!?

おっきい合図なんでしょ?これは違うと思う…」


美月の話に納得して茂みに戻った慶。


「光…早くしろよー。」



その時だった。


ドーンという爆発音が聞こえ、教会の電気が全て消えた。


「何だ?何も見えないぞ…」

教会の中の兵士は慌てているようだ。



「これが合図かよ!!

ずいぶん派手にやりやがったな。」



ジャリ…ジャリ…


見張りの兵士が近づいてくるのを感じた。


「今だ!!いくぞ美月!!」


勢いよく飛び出し、兵士に向かっていく慶。



ゴツッ!!


何かが当たる音がしたので、美月も出てみると

兵士に捕まった慶がいた。

「わりーしくじった…

こいつ強いわ。」

捕まりながら謝る慶。



兵士が銃を構え美月を誘導する。

「教会に向かって歩こうか。」



バッと非常用電気がつけられ、教会が元の明るさに戻る。



すると中からさっきの見張りが二人やってきた。



「どうした?そいつらは?」


「どうやら停電の犯人のようです。

ボスの元に連れていきます。」

そういってエレベーターに向かう。



「待て!!そんな奴らボスに会わせるまでもない。

ここで殺す。」


銃を構える2人の兵士。



「ここまでかよ!!

あっけねぇな。」

あきらめムードの慶。


しかしそこに慶を捕まえた兵士が割って入る。



「何だおまえ。そこをどけ!!

一緒に撃ち殺すぞ!!」


「彼らを勝手に撃ち殺す権利が、あなたにあるのですか?」


「なんだと!?」


「勝手に人を殺したことがボスに知れたらまずいのでは?」


「た、たしかにそうだ…。」

徐々に焦りだす兵士。



「もういいですね?

こいつら連れていきますよ。」

その兵士は慶と美月を連れてエレベーターに向かう。


「待て!!」

呼び止める兵士。


「まだ何か?」


「お前は誰だ?

お前のような冷静で強いやつをみたことがない。

どの部署の兵士だ?」


「………。」


「答えられないのか?」


チャキッ!!

兵士は銃を構える。



「俺の名前を知りたいのか……。」


兵士は慶を放し、マスクに手をかける。



パサッ!!

被っていたマスクが地面に落ちる。




「俺の名は矢吹光、神に背く男だ!!」



「光!!?」

慶と美月は驚く。




「ボスの言っていた危険人物、矢吹光か!?」


兵士は銃を構え直す。


「無駄だ!!」



ゴンッ!!

ゴンッ!!


兵士2人は何かで殴られて倒れた。


「こんなうまくいくとはな…」


「ねっ!?」

里志と美樹がいた。


「里志!!美樹!!」

慶が驚く。


「どーゆーこと?」

美月が光を睨む。



「いや、こういう作戦だったんだけど、

お前らに言うと失敗しそうだから黙っといた。

特に慶には…」

光は申し訳なさそうに答えた。


「ひでぇよ…」

慶が言った。



「こっからが正念場なんだ!!」

光が真面目に言った。


「正念場?」



「そう、こっからは俺と里志と美樹でこの服とマスクを付けて本館に入る。

敵を捕まえたってことで…」



「まさか俺らか?」

慶が言った。


「うん。」


「そしてペガサスに会って、さおりの居場所を聞いて救い出す。

そういう作戦だ。」


「じゃあペガサスに俺らを引き渡すのか?」


「聞き出したら奴を倒す。その間に救い出す。それでおまえらも無事だ。

完璧だろ?」



「どうだか…」

不安な様子の美月。



「大切なのはチームワークだ!!」

マスクを被り終えた里志が話す。




ウィーン


チンッ!!

エレベーターがついた。


「さぁ、気を引き締めて行くぞ!!」



「なんだここ…エレベーターの階のボタン3つしかないぞ!!」


「1階、地下5階6階…。どこを押す?」

里志が光に聞く。



「俺らが1度行ったときは5階だった。5階に行こう。」



ピッ!!


5階を押す。



ウィーン……


ガチャッ!!



5階のフロアに出る。


兵士が1人こちらに向かって来た。

「上で騒ぎがあったようだな?

その2人が犯人か?」


「はい。教会の発電機を爆破し、我々を襲おうとしたところを捕まえました。

今からボスのところに連れていきます。

ボスは今どこに?」

光がそいつに尋ねた。


他の4人はうまい聞き方だなぁと、内心思うのだった。


「ボスならこの先の研究室にいたぞ。」


「…ありがとう。では失礼する。

ほら、さっさと歩け!!」

慶をドンと押す。


「後で覚えてろ?」

慶は小声でつぶやいた。



言われた道をまっすぐ進むと、研究室07と書かれた部屋があった。



コンコン


「失礼します。」


部屋に入るとペガサスとドクターらしい人がいた。


「おや?その2人は確か……」


「お知り合いですか?」

ドクターがペガサスに聞いた。


「あぁ、イヴを連れて来てくれた人達ですよ。

3人足りませんが…」


「こいつらが、教会を停電させた犯人です。」


「なに?こいつらが…

他にはいなかったのか?」

「は、はい。2人だけでした。」


光はそう言って慶と美月をペガサスの前に出す。


「くっ…」


「おい!他の奴らはどうした?あの矢吹光はどこだ?」

前とは違う話し方でペガサスは言った。


「……死んだよ。

HIVEにやられた。」

慶が言うとペガサスは笑い出した。


「ふふふ…そうですか。

これで邪魔者はいなくなったわけですね。」


「あんたたち、さおりをどこにやったのよ?」

美月が聞いた。


「ん…まぁいいでしょう。死ぬ前に教えてあげます。彼女は6階の実験室にいますよ。

機械が出来たら死にますけどね…」


「このやろう!!

てめぇらは神なんかじゃねぇ!!」

慶が怒る。


「我々は神の使いだ。

それにおまえらは今死ぬんだ。

おい…この場で射殺しろ!!」


ペガサスが光たちに命令する。


「誰も…」

光はつぶやく。


「ん…何を言っている?」


「誰も死なせやしない!!」


バッ!!

マスクを取る光。


驚くペガサス。

「お前は矢吹光…」


テーブルの銃に手を伸ばすペガサス。


パンッ!!


光が銃を撃つ。

テーブルの銃に当たり、銃が床に落ちる。


「………」

ペガサスもドクターも黙っていた。


「変な真似すんじゃねぇよ。」

光が銃を降ろした。


里志たちがペガサスらを縛る。


「よし、6階に行くぞ。」


ガチャッ!!


研究室を出た5人。


「くっ…まさか矢吹光が生きていたとは…」


「どうするんです?」


「心配はいらん。すでに応援を呼んである。」










ウィーン

ガチャッ!!


6階に着いた5人。


「実験室はどこだ!?」


「あった!!マップに書いてある。

左にいけばあるよ。」


急いで走る5人。



「さおり、待ってろ!」



数百メートル進んだところで、実験室イヴという部屋を見つけた。



ガチャッ!!

中に入る。


そこにはベットがひとつあり、さおりが寝ていた。


「さおり!!!」

光が駆け寄る。


「おい、さおり。

しっかりしろ!!」


何度もさおりを呼び、起こす光。


「んん……光?」

「さおり。」


さおりは涙を浮かべた。


「光ーー!!!」

2人は抱きしめあった。




「どうやってここに?」


「説明は後だ。逃げるぞさおり。」


部屋を出ようとする6人。




「おっとそこまでだ!!」

銃を持って、兵士が3人やってきた。




「死ね。」


銃を光に向ける兵士。




キンッ!!!

ドアの近くにいた慶がパイプで銃をたたき落とす。


「つっ…!!」



後ろから兵士が次々と入ってくる。



「こんな奴ら楽勝だ!!」


ドカッ!!

バキッ!!


あっという間に光たちは兵士を倒す。


「大丈夫か、さおり。」



「うん。」


その時、ペガサスがやってきたことに光は気付かなかった。


カチャッ!!


銃を構えるペガサス。


「矢吹光、これでピリオドだ。死ね!!」



「光!!あぶない!!」



さおりが光の前に走る。






ズドンッ!!!



目の前に血が飛び散った。

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