9話 戸惑うカンペさん
「おっとすまねえ、忘れてた。このまま道をまっすぐいってしばらくすると右側にある冒険者ギルドで買取してると思うぜ」
『冒険者ギルドですか・・・。わかりました、ありがとうございます』
冒険者ギルドですか。定番の奴ですね。
「ああ。ん?お嬢ちゃん冒険者ギルドに冒険者登録したか?してなかったら登録してから売った方がいいと思うぜ。
まあ代わりにいろいろ制約があるけどな。あっ、別に登録しなかったら買取値が下がるわけでもないから登録しなくてもいいと思うがな!」
自由を奪われるのか・・・だったら名残惜しいけど登録はしないでおくか。買取値が変わるわけでもないし。
『いろいろ教えていただきありがとうございます。それではまた』
「ああ、またな!」
手を振られたのでふりかえしときます。あの門番さんいい人でしたね。
門番さんの通りに歩いていると右側に剣と盾が交差してるエンブレムがある建物を見つけました。多分あれが冒険者ギルドでしょう。
いちいち開けるのがめんどくさいのかドアが開きっぱなしになっています。
そのままドアをくぐると、自分と似たような装備を聞けてる人たちーーー渡人、つまりプレイヤーがーーー大勢いました。ドアの目の前には受付、左手には酒場兼食事処、右手にはなにやら紙が貼られたボードがありました。
買取をしたいので受付に行きますが私の微妙すぎる160センチという身長では長蛇の列を作る元まで話見えません。仕方がないので辺りを見回しますが、どこも同じぐらい並んでるので適当に選んで並びました。
5分ほど待つと「次の人」と呼ばれ前を向くと耳が長い種族ーーー多分エルフと思われるーーー儚そうで綺麗な女の人でした。彼女の薄黄緑色の髪は光の加減によって金色に、綺麗なアクアグリーンの目は光の加減によって薄黄緑色に見え幻想的な雰囲気を醸し出していました。
「?」
おっと、用件を話さないと。
『ここでは、魔物のドロップ品の買取はやっていますか?』
「?!」
仮面?に文字を浮かばせると彼女の綺麗な目と無表情なはずの顔は驚愕に染まった。
「んん、こほん。失礼いたしました。やっておりますよ」
それでもせきばらい一つで元の無表情に直す所はさすがプロだろう。
『それなら魔物の買取をお願い。ここに出すんですか?』
「はい、承りました。はい、ここに出してもらって結構です。ですがその前に冒険者登録をすることをお勧めしますが、どうされますか?」
やっぱり聞かれたか・・・。本当は「はい」と答えたいが自由を奪われるのは嫌なので
『いいえ、登録はしません。それではここに出させてもらいますね』
「?!わかりました。どうぞ」
アイテムストレージから森との戦いでゲットしたアイテムを実態化させていく。
「こっこれは?!」
『どうしたんですか?』
「いえ、あなたは今日からきた渡り人なんですよね?」
『?』を浮かべながらとりあえず頷きます。
「でしたら、適正レベルが10以上の森で狩りをしてきたということですよね?」
話の流れがよくわかりませんが、森で狩りをしたのは事実なので頷きます。
「異常なんです。そもそもレベル1である渡り人が適正レベル10以上の森で狩りができるのが。まあ、あなたは冒険者ではないので狩りができた秘密を無理には聞き出せないのですが」
『そうなんですか。ところで、買取はまだですか?』
「ああ、すみません。全て合わせて5200Gです。内訳は、フォレストウルフの皮が12個で1680G、フォレストウルフの牙が12個で1800G、フォレストスパイダーの糸が7個で910G、フォレストスパイダーの外骨格が7個で1120G、フォレストスネークの毒牙が4個で880G、フォレストスネークの皮が4個で840Gです。どうぞ」
差し出されたのは、袋に詰められたお金。手に取ると消えてストレージに入って行きました。これで一文無しではなくなりました。
出て行こうと振り返ると、そこには一人の男がいました。
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誤字脱字を見つけたら、教えてくれると嬉しいです。
さてさてどうなるでしょう?悪い男なのか、いい人なのか。