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嫁が最強スペックすぎて戸惑うんだが。  作者: tetoc
■ 嫁暗躍 編 ■
24/25

【21】俺と嫁…美少女!?

 

 見たこともない魔法陣が浮かび上がり、それと同時にレイノルの体から深緑の霧のようなものが立ちこめ、レイリアの魔法陣を通り、彼女の体に吸い込まれるように入って行く。



「レイ、リア…っ!?」



 部屋の中には、魔法陣の影響からか強い風が吹き、カーテンが捲れあがっている。思わず彼女の名を呼ぶが反応を示さず、ただそれに集中している様子だ。

 レイノルから出ていた霧が、全て彼女に移った瞬間、毒の侵食が開始されたのが見て取れる。


 何もなかった彼女の体の至る所に血管が浮かび上がり、みるみる内に腫れ上がっていく。白い肌に痛々しいまでの斑点が現れたかと思うと、彼女の体がぐらりと後ろへ傾いた。咄嗟に体が動く。


 いやにゆっくりと見えてしまう。

 毒の吸収で力を失ってしまった小さな体。こちらへと倒れくる彼女へ伸ばす自分の手。

 俺なんか比べると華奢で頼りない。その体が床に打ち付けられるのを防がねば!今までの謝罪も兼ねて、彼女を守ると決めたのだから!


 衝撃を和らげる為に膝をおり、座り込む形で彼女を抱きとめた。強い衝撃は免れたが、彼女がかけていた瓶底メガネが床に落ちる。


 良かった、ギリギリのところで間に合った。



「レイ………?」



 …………へ……?


 彼女の顔を見ると俺が知る者じゃない。おかしい。

 血管やら腫れているやら、斑点やらはある。

 あれ?俺はレイリアを抱きとめたはずなんだが?


 整えられていない太い眉?ない。

 シミのように見えていたそばかす?ない。

 ボツボツの毛穴?ない。

 視認出来る未処理のうぶ毛?ない。


 俺の腕の中にいたのは、今まで会ったことも見たこともないような美しい娘。


 長いまつ毛、筋が通った鼻。

 血色がよく柔らかそうな唇。

 そして、今は毒の影響もあるものの、触り心地の良さそうな白い肌。

 ふわりと香る女性特有の優しくほんの少し甘い匂い。

 神々に愛されていなければ、ここまで整うはずがないと思うくらい、美しい娘だ。


 え?俺の嫁どこいった?

 この一瞬で誰かすり替えたのか?え?



「グレイズ殿下!隣室のベッドにレイリア様を!」



 リリーの声で我に返る。そうだ、横に寝せてやらないと…!


 俺はそのままレイリア?を抱き上げ、リリーに導かれるまま隣室へと向かった。




 ────────

 ──────

 ────



 あれからドタバタと動き回った。

 レイリア?のお陰でレイノルは一気に回復へ向かっている。毒に侵されて体力を消耗していたのか、今静かに寝息を立ててるくらいだ。


 レイリア?は放置に近い。リリー曰く、自然治癒ではないとレイリア?の体質が上手く働かないらしい。


 レイリア…レイリア、だよな。目の前で気を失い、苦しそうに息を荒らげる美少女。



「美しい…。」



 まだ幼さはあるが、10年後は世界を代表する美女に成長してる勢いだぞ。しかも、下手すりゃ絶世の美女クラスだ。つーか、今でも大人っぽいし。


 リリーはこの美しい娘をレイリアと呼んでいた。なら、レイリアで間違いない。けれど、あまりにもこれは変わりすぎじゃないか?つーか、周りはこの変わりようをなんとも思ってないのか?普通驚くだろう。なんで驚かないんだ?もしかして俺が狂った?



「グレイズ。」



 聞きなれた声。俺は大混乱を起こしてる中、振り返った。



「ダン兄…。」

「すまん、ノックしたんだが気付かなかったみてえだからよ。」



 ダン兄だ。断りなく王族に謁見出来る権限を得てるから咎めることはされない。



(かしら)は大丈夫か?」

「ああ、大丈…頭?」

「おう、その人、俺の上司。」

「は?」



 レイリアを指差したダン兄。

 混乱してるのに、また混乱することをぶち込まれたぞ。



「え、なに。ちょ、待ってダン兄。頭がこんがらがる。」

「しゃーねーだろ、本当に俺の上司なんだから。」

「え?嫁は実はかなりの美少女で、しかも弟を治すくらいすごくて、ダン兄の上司で……頭いてえ…。」



 何がなんやらサッパリだ。ここまで来たらみんなして俺をからかってるとしか思えん。



「いいか?よーく聞けよ、グレイズ。」



 レイリアが眠る部屋にあるソファーに座り、ダン兄がこと細かく説明してくれた。


 レイリアは、あの伝説の部隊"紅銀の月(デッド・ムーン)"の頭目で、俺と結婚したのは王命により()()()()()()()()で、今までわざと俺に嫌われたり、不審がられるような容姿や、態度をとっていたということ。

 本当は、名のある王達からも求愛されるほどの美少女だと言うこと。…それに、あのゾディアスもその内の熱烈な1人らしい。



「俺に知らせてくれれば良かったのに…。」

「教えたらダメだったんだよ。」

「なんで。」

「それは頭に聞いてくれ。」



 さっきから理由を尋ねるとこればかりだ。



「でも、良かったのか?俺にそれを教えて。重要な任務で俺と結婚したんだろ?」

「いや。」

「うん?」

「お前戸籍見てないだろ?」

「え?」

「そりゃ王子様が一々見ねえわな。結婚したフリだ。」

「は?!」

「賢いお前ならもう分かったんじゃね?」



 ま、まさか!!つーか、普通そんな風に言われたら分かる!!



「元々結婚してなかったのか!?」

「おうよ。」

「え!?じゃ、じゃあ!あの婚姻届は!?」

「受理したように見せかけて即燃やして廃棄した。」

「はあ!?」

「次期国王の戸籍にバツをつけられるワケねーだろ。」



 は?はあ?!!



「待て待て待て!なら十二貴族が俺の結婚に申し立てをしなかったのは!?」

「国王陛下と頭が親切丁寧に説明して口止めしたからな。」

「はぁあ!?」



 こんなことあるのか!?次期国王である俺を騙してまでこなす重要任務ってなんなんだ!?



「重要任務って…。」

「簡単には教えらんねえから重要任務なんだろ。」

「それはそうだけど…!」

「この重要任務の内容を知るのは、国王陛下と王妃陛下。それに俺を含む?"D"の上層部の人間だけだ。」

「十二貴族は!?」

「んなもん、知るわけねえだろ。ご貴族様には、適当に理由つけた。」

「どんな!?」

「"次期国王であるグレイズ殿下の身辺捜査、及び次期王妃へ危険が及ばないように安全確認の為"。」



 開いた口が塞がらない。こんなことは初めてだ。

 ここである事をふと思い出す。



「ローズブレイド家とゼノブレイド家の接点は!?」

「あー、それでっち上げた。」



 サラッと言われたんだが!?



「でっち上げたって!だってゼノブレイド家だぞ、奴らの名を勝手に使ったら…。」

「"D"にそのゼノブレイド家本家の跡取りがいるからな。許可はゼノブレイド本家にもらって…つーか、もぎ取った。頭が。」

「もぎ取った!?レイリアが!?」

「おう。つか、お前うるせえ。」

「ご、ごめん。ってことは…ダン兄、まさかダン兄も…?」



 ダン兄は自分自身を指差して、ニカッと笑った。



「悪いな、俺もグルだ!」



 クソッタレェェエエエ!!!!




 ────────

 ──────

 ────



 ダン兄が去った後、人間不信に陥りそうな俺はまた美少女レイリアを看病していた。親父にそう言われたが、元々その気でいたし。

 つーかな、…これからはレイリアのことを知っていこうと思っていた俺の気持ちが薄っぺらく感じてしまう。いや、元々レイリアを看る気でいた。気持ちを入れ替える為に、彼女に対して誠実に接しようと。そして…足りないだろうが、謝罪の為に。なんなんだろう…。


 落ち着こう、とりあえず。まだ状況が分からん。



「…汗が…。」



 ふとレイリアを見ると汗をかいて、濡れた髪が額に張りついている。俺はベッド脇にあるナイトテーブルの上に置かれた清潔な絹のタオルを手に取り、その額の汗をそっと拭った。再び見るレイリアの顔…。


 認める。毒による症状がひどく出ているだけで、()()だ…美しい。いや、不謹慎だ。

 そもそも俺はそんなことを思うことすらレイリアに失礼だ。それに弟のレイノルだって…不謹慎すぎる。


 汗を拭い、タオルを元の場所へ置き、椅子に座り直した。そう、色々考えることだってある。それにしても…。



「苦しそうだな…。」



 本当に大丈夫なのか?レイリアもレイノルも。




 ────────

 ──────

 ────




「副長。」



 城の敷地内に建つ塔の中でも、1番高い塔の屋根の上でダンは、何やら遠方を眺めていた。そんなダンの背後から聞こえる声にダンは振り返る。

 そこには、ユニフォーム姿のリリーがいた。



「おう、どうした?」

「特に用はないのですが、良かったんですか?」

「何が?」

「お頭の任務のことをグレイズ殿下に話すなんて。」



 隣に立ち、真剣な面立ちでそう告げてくる部下にダンは肩を竦めさせた。



「頭の指示さ。お前も言われてたんだろ?」

「ええ。でも…緻密に練り上げ仕掛けておいた他の作戦もみな意味を成さなくなります。」

「臨機応変ってのは大事だろ。」

「けど…。」

「お前は真面目だなー、リリー。」



 ダンは大きく背伸びをした後に首を傾け、骨音を鳴らした。



「頭がいいって言ってんだ。俺らはそれに従うだけ。"D"本来の姿だろ?」

「そうですが…。」

「頭のことは気にするこたぁねーよ。そりゃ今はすげえ辛そうだぜ、あの人が単に善意だけで毒を自分に移したと思うか?」

「えっ?」



 ダンの言葉に、俯いていたリリーが顔を上げ、凝視した。ダンは構わず軽いストレッチをして、体を解しながら言葉を続ける。



「バッドローナが絡んでるアズールの件あんだろ。その毒のサンプルを採って、解毒薬の生成に使うんだと。」

「お頭自らですか…?」

「おう、あの人にゃどんな毒も呪いも効かん。やべーよな、全属性完全耐性ってよ。」

「相変わらず…無茶しますね、お頭…。」

「…()()()使()()()ってもんを知ってるんだろ。知ってるからこそ無茶をする。」



 リリーは押し黙ってしまった。その表情はとても複雑だと言わんばかりで、それを表現する為の言葉が見つからない様子だ。ダンは、そんなリリーの肩に手を置く。



「ま、だから放っておけねえんだよな?元気になったら嫌味の1つや2つ放り込んでやんな。」

「そう、ですね。」




【?】俺と嫁…美少女!? END.

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