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嫁が最強スペックすぎて戸惑うんだが。  作者: tetoc
■ 嫁暗躍 編 ■
15/25

【13】皇帝と嫁と俺。前編

 

「やー……あのー…。」

「さあ、レイリア?説明してもらおうか。」



 壁際に追いやられ、私はゾディアス陛下から視線を逸らした。魔法の眼鏡は陛下の胸ポケットに入れられ、久しぶりに見るすごい剣幕の陛下。


 そして、背中に壁が当たる感覚。まっずい。

 陛下はここぞとばかりに両手を壁につき、私が逃げられないようにする。

 こんなに機嫌は悪くはなかった。でも、悪くなることは分かりきっていました。それで臨んだゾディアス陛下がフローリアに訪問する日。


 ゾディアス陛下はこのフローリアに3日間滞在なさる予定です。陛下は近衛兵100名と侍女や執事30名、料理人10名の計140名と共にやって来ました。


 1日目。最敵国とは言え、戦争をしているわけでもないので、盛大に歓迎セレモニーが行われました。その夜はパーティーも開かれ、陛下の1日はそれで終わった。因みに、王太子妃である私は体調不良という事で、欠席をしました。


 そして、2日目。ゾディアス陛下と会う日。

 色々面倒な事になりそうなので、私がグレイズ殿下の妃となったことを隠して会うつもりでした。けれど、陛下も陛下で初日に情報収集をしていたらしく、今は隠しておきたいことがバレた。


 ゼアル国王とアリア王妃様、ゾディアス陛下の取り計らいで、2人きりで会う場所を設けていただきました。そして、魔法のメガネをかけたまま、"D"の時のユニフォームで出迎えると、盛大に笑われました。



「なかなか面白いでしょう?頑張って作ったんですよ、このメガネ。」

「ほう!俺にもかけさせてくれ。」

「構いませんが、私の力に呼応するので陛下がかけても何の効果も発揮しませんよ。」

「良いではないか。…ほれ、どうだ?」

「似合いませんね。」



 案外、()()()()()なんですよね、この人。

 メガネをテーブルに置きながら、陛下は目を閉じた。ふと、雰囲気が変わるのに気付く。



「そう言えばレイリア?」

「…なんでしょう。」

「余の妃となる件はどうした?」

「だから、ならないと申し上げているではないですか。」

()()()()()()、結婚したからか?」



 これは…ルディーから通信が来て、陛下と話した時のことを言ってますね…。



「何をおっしゃいます、私は誰とも結婚などしませんよ。興味がありません。」

「ほーう?この魔法のメガネとやらをかけ、グレイズを前にしても言えるか?」

「何故グレイズ殿下の名が出てくるのです?」

「お前がグレイズと結婚したからだろ。」

「どこでそんな根も葉もない噂を…。」



 陛下がポケットから取り出したのは一通の手紙。

 その封は元から開けられていて、陛下は封筒から手紙を取り出し、それを音読し始めた。

 待ってください。手紙に血糊のような物が付着しているんですが。…気にしないでおこう…。



「"調査報告書。フローリア王大国、グレイズ王太子と"紅銀の月"首領、レイリア様の噂と関係性について。度重なる"D"の妨害行為に遭い、調査は困難を極め、決定的な証拠は見つけるに至らなかったが、グレイズ王太子とレイリア様は、婚姻関係にある可能性が高くあると認められる。"」



 乱雑に手紙を封筒へと入れ、再びポケットにしまった陛下は、私を見てにっこりと微笑みかけます。



「レイリア、俺の勘の鋭さはお前も知っておろう?」

「勘は勘です、陛下。可能性が高いだけであって、確実性に欠けます。」

「ほう。俺を誰だと思っている?ギルメキア皇国の皇帝だぞ。そして、"祖龍の愛姫"たるお前を妃にしようと本気で思っている男だ。」



 この部屋全ての空気が張り詰めた。

 この人が発する覇気は、まさに王の覇気に相応しいと思います。けれど、それが自分に向けられているとなると、当然ながら良い気はしません。



「だからなんだと言うのです?」



 陛下は私の目の前、と言うより少し動くだけで体が当たるくらい至近距離に来ると、身を屈めて私の顔を覗き込みます。もちろん、私も引かず、真っ向からそれを受け入れる。



「俺はお前がグレイズと婚姻を結んだと睨んでいる。」

「根拠は?」

「昨夜のパーティーで様々な噂を聞いた。グレイズが結婚したこと、妃と不仲であること…それらから考えて整理をしてみたら、どうも引っかかる。」

「それだけで私とグレイズ殿下の婚姻関係が証明出来ているとは到底思いませんが。」

「そうか、なるほど。では、とても疑わしいのでフローリアを盗ろうか。」



 え!?何を言い出してるんですか、この人!



「なっ…!?確実ではないのにそんなことを!?」

「言っただろう、レイリア。俺は俺が持てる全てをもってお前を妃にすると。どの道、フローリアを盗れば世界が近付くし、結婚しているならは(グレイズ)はいなくなる。多少骨は折れるが、いい事尽くしだ。」



 屈ませていた上体を起こし、トンッと体が触れる。そのまま、こちらへ力が加わるのを感じ、私は1歩後ろへと下がろうとしますが、陛下もそれにあわせて、また身を近付けて来ます。



「素直に言えば許してやる。言わねば、国へ帰り即戦支度だ。」

「だから事実無根だと申し上げているではないですか。」

「そんなことは知らん。ほら、どうするのだ?」



 そして、冒頭へ戻るわけです。

 とりあえず、気は進みませんが悪足掻きはしてみよう。



「ゾディアス陛下…。」



 陛下の首へ両手を伸ばし、そのまま抱きつくように腕を絡める。私と陛下の顔の距離は10cm程度、十分に吐息がかかる距離です。



「そんな風に意地悪をおっしゃらないで下さい…。私がフローリア国王に大きな恩があるのはご存知でしょう?」



 腕が腰に回され、緩く抱き返されるのを感じると、表情を読まれたくないので、首に回していた手を解き、陛下の胸に添え、ついでに頬も胸に寄せる。

 …状況が状況ですからときめくことはありません。フローリアを守る為ですからね、これ…。



「知っているが…。」

「信じて下さい、ゾディアス様。私は貴方様と戦いたくありません。」

「レイリア…。分かった、お前がそこまで言うのであれば信じよう。要らぬ詮索をして悪かった。」

「いいえ、分かって頂けたならそれでいいのです。」



 優しく抱き締められます。…いくらこんな仕事をしてるとは言え、こう言う好意的な人を騙すのは胸が傷むんですよね…。


 これで世界ツートップの国同士の戦争が免れました。普段なんだかんだとお世話になっているお礼も兼ねて、静かに身を寄せていると、突然聞こえた大きな音。

 反射的に陛下から身を離そうとしますが、後頭部に手を添えられ、私の腰に回る腕に力が込められます。



「ゾディ…。」

「いい身分であるな、レイリア。」



 陛下の名前を呼ぼうと言葉を発すると同時に、聞き覚えのある声が部屋に響いた。

 グレイズ殿下の声…思ったより早く到着したようですね。しかし…どうしよう、この状況…。



「グレイズか。ギルメキア皇帝の余に挨拶もせず、部屋に乱暴に押し入るか。無礼であるぞ。」



 立ち位置的に、ゾディアス陛下は扉に背を向け、私を抱き締めている状態…今扉から入って来たグレイズ殿下には、私の姿は陛下によってほとんど確認出来ない状態です。陛下が…私を隠して下さっている事にハッとする。

 私がそれに気付いたと同時に、陛下は合図をするように私の背中を優しくぽんぽんと叩き、計算し尽くした動きでマントを盛大に翻しながらグレイズ殿下の方へ向いた。


 それと同時に、私は殿下に気付かれないよう、2つの魔法を発動します。

 今この姿を殿下の前に晒すのはいけないので、メガネを呼び寄せる魔法と服装を変える魔法。

 ゾディアス陛下のマントが翻りがおさまる頃には、私はグレイズ殿下の知る姿になりました。



「これはこれはゾディアス皇帝陛下。我が妃と逢瀬のところ申し訳ございません。」

「そなたの妃…だと。」



 ああ、折角…。



「ええ、王太子妃とは思えぬ姿でしょうが、()()はお恥ずかしいながら我が妃ですよ。」

「…………。なるほど。」

「まさか陛下がそのような娘が好みとは知りませんでした。」

「…なん、だと?」



 最悪だ、陛下…めちゃくちゃ怒ってます…。

 ゾディアス陛下とグレイズ殿下はライバル同士…それに加え、この状況…本当に最悪です。



「グレイズ、何を誤解しておる?」

「何をって…。」

「噂は聞いているぞ。妃と不仲らしいな、しかもそなたが一方的に妃を嫌い避けているとか。」



 ゾディアス、陛下…?



「だから()()()()()()()()()()()()のではないか?」

「…何をおっしゃりたいのかさっぱりですが。」

「可哀想に。心労がたまり、余の目の前で目眩をおこしてしまったようだ。だから、倒れぬように余が支えたのだ。」



 陛下は殿下に歩み寄って行く。その刹那に、殿下と視線があいます。

 そして、陛下は殿下の肩に手を置いた。



「心が狭いな、グレイズ。それで超大国フローリアの次期国王とは片腹痛いぞ。」

「……これは大変失礼しました。大変不快に思わせてしまったでしょう、退室をもって謝罪とさせて頂きます、では…。」



 殿下は陛下の手を振り払い、頭を下げた後、何も言わずに部屋を出て行かれました。



「アイツがあのようになるのは珍しいな。要らぬ物でも拾い食いしたか?で、レイリア。」



 今度はこちら側に背を向けて立つ、ゾディアス陛下に名前を呼ばれ、内心焦ります。そりゃあ、そうでしょう…庇って下さったのは分かりますが、さっきの雰囲気は、確実に怒っていましたから。


 振り返る陛下。わ、笑っています…。



「どう、説明する気だ?んん?」

「あ、あー…。」

「グレイズが余に無礼を働いたとして、フローリアを攻める口実が出来たぞ。さあ、()()()()?」

「うっ…、許して頂くことは…?」



 フローリアとギルメキアが戦争することは絶対に防がないと…!どうしましょう!?



()()()()()()()だ。」



 逃げることはもう出来そうにないですね…。






【13】皇帝と嫁と俺。前編 END.

※私的メモ 2。


■ 紅銀の月"D"の階級。

↑ 首領 1名 通称:お頭、頭目、首領

| 副長 2名 通称:副長、副頭

| 副長補佐 4名 通称:補佐、副補

| 隊長 20名 通称:〇〇隊長

| 副隊長 40名 通称:〇〇副隊長

| 一等員 60名 通称:〇〇一等

| 二等員 120名 通称:〇〇二等

| 三等員 600名 通称:〇〇三等

| 新米 28名 通称:新入り

↓ 見習い 49名


副長補佐から上が上層部。

首領はレイリア。副長はダン、レナート。リリー、ルディーは補佐となります。エリーは三等。

三等であるエリーが、レイリアやリリーと行動を共に出来るのは、エリート候補な為。

通称はよく呼ばれる順に書いています。



■ 普段の紅銀の月"D"

みんな基本的には各アジトにいます。

基本的に全員、冒険者ライセンスを取得していて、冒険者ギルドを利用可能。なので、冒険者ギルドの依頼をこなしつつ、各々情報収集や状況確認、情勢調査と様々なことをしたりしています。上から命令が下ると、臨機応変に対応。



■ 冒険者ライセンス

冒険者になる為には、ライセンスが必要。

ライセンスの取得は、実技試験・筆記試験・面接の3つで合格すると取得できます。ランクは以下の通り。

S+・S-・A+・A-・B+・B-・C・D・E。

S+が1番高く、Eが1番低いです。

冒険者はランクに応じた依頼を受けることが可能。

Dあたりが一般的。Cでベテラン。B+あたりから凄腕と呼ばれ始めます。A+は国で十数人いるレベル。

S+は"偉大なる達人"10名+2の12名。内1人がゾディアスさんです。あと1人はまだ出て来ていません。


※あまり話に出て来ないので簡単に。



■ 各自のライセンスランク

レイリアB-。ダンS+。レナートS-。

ルディーA+。リリーA+。


ゼアルS+。グレイズS-。ゾディアスS+。

エリーB-。アヴィD。ラヴィD。


実はレイリアは、旅に出ている時、困らない程度に軽く稼げたらいいと言うことでB-でライセンスを止めています。それ以上をとる気がありません。

レイリアを知る者は、特例で直接レイリアに依頼したりするので必要ないというのもあります。


ゼアルさんやダンは、偉大なる達人なのでS+。

ゾディアスさんは、偉大なる達人ではありません。レイリアに焚き付けられてとりました。

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