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複雑な思い
「全く今日は挨拶だけだと思ってたのに!」
今王都から少し離れた町の外れにある森に来ていた。
シャラの愚痴にカイルは無言で聞き流す。
エレノアはそんな二人を横目で見やりながら
ルークの隣を歩いていた。
「二人はどういう関係なの? 」
シャラの好みとはかなり違う。
いつの間に趣味が変わったのだろうか?
「兄と妹じゃね?」
「あぁ。」
ルークの返答にエレノアはどこか納得してしまった。
カイルはシャラを雑に扱っているようで
シャラに気を配っている。
確かに兄と妹のようだ。
二人はしばらく黙って歩いていた。
静寂な森では後ろの二人の声(主にシャラ)だけが響いていた。
ルークはまっすぐ前を向いたまま
隣にいるエレノアに少し躊躇いがちに声をかけた。
「……エレノアは恋愛に興味あるのか? 」
「ないわ」
「初恋は? 」
「いない」
エレノアが即答すると
ルークは寂しそうに笑った。
ルークはまっすぐ前を見たままエレノアを見ることはなかった。