表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマリスの奇跡  作者: 及川 莉奈
プロローグ
2/61

プロローグ

『アマリスの乙女は歌う

銀色の髪を風になびかせて



静まれ


静まれ


この地を覆う

悪しきもの

全てを銀の光で包め



我が身とともに……』




この一節は誰が歌ったかもわからない。


だが、確実に受け継がれていた。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ハーヴェイ公爵は急いでいた。


予定では日が沈まぬうちに

目の前に小さく見える街にある

自宅に着くはずだった。

しかし、出発が遅れてしまったせいで

オレンジ色の太陽は西に傾き

半刻もしないうちに

夜を迎えようとしている。



愛妻と今年5歳になる息子は

夕飯も食べずに待ちわびているだろう。


伯爵は焦りを吐き出すようにため息をついた。



『止まって! 』


刹那、女の叫ぶ声が頭の中で響くとともに

おぎゃーと元気のいい赤子の泣き声が耳に入った。


「止めろ! 」


伯爵は考える前に馬車を止めて降りた。


すると馬車の横には白い布に包まれた赤子がいたのだ。

辺りを見回しても母親らしき人物も父親らしき人物もひとりもいなかった。


伯爵は泣きわめく赤子を吸い付けられるように抱き上げた。


ミルクの匂いのする赤子は小さく頼りない。

布をそっと赤子の頭から外した。



「ーっ!! 」

伯爵は驚愕した。



赤子はこの国の不吉の象徴とも言える赤い瞳と

幸運の象徴である銀色の花、アマリスの髪を

同時に持っていたのだった。













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ