一通の予告状
ガラの悪い団長は不機嫌そうに
机に足をかけて座っていた。
今日は副団長の姿は見えない。
「お前ら乙女祭は知ってるな? 」
団長が唐突に切り出すと、
エレノアとルークとシャラはうなづいたが
カイルだけは首を横に振った。
「俺は知りません」
「カイルは王都にいなかったからな。
エレノア説明してやれ。」
「乙女祭は正式には【アマリスの乙女祭】
初代女王アマリスの乙女が魔王を封じ、
世界を守ったことを祝うお祭りね。」
これでどう? と団長を見た。
「50点だな。
概略はいいが、今回の任務にはもう少し必要だな。」
「なんです?
町の警備ですか? 」
「これを見てくれ」
エレノアの問いには答えず、
団長は一通の手紙を渡した。
エレノアがその手紙を受け取り、
封筒から取り出す。
途端に強い魔力が放たれた。
4人は団長をみた。
団長はとりあえず読めとだけ告げた。
4人は手紙を読むと息を呑んだ。
手紙にはこう書かれていた。
『銀の花で包まれし時、
盛大な前夜祭を開催する。
封印はアマリスの乙女を贄に解かれる。』
「銀の花で包まれし時ってのは、
乙女祭のことだろうな」
「どうして? 」
ルークの呟きにシャラは尋ねた。
「アマリス王国では、
乙女祭の日はアマリスの花を飾ることになってるからだ」
「アマリスの乙女は伝承だよね? 」
「これは、たぶん乙女祭の主役アマリスの乙女を指すんだと思う。
乙女は神殿に住む巫女なんだ。
乙女祭は昼はアマリスの乙女を中心に王都の大通りを歩くパレードがあるんだ。
そして、夜はアマリスの乙女の舞を披露する舞踏会が行われる。」
「そうなの。もしかして団長、私たちの任務って……」
「珍しく感がいいなシャラ。
お前らの任務はアマリスの乙女の護衛と予告状を出したやつを探ることだ。
まったく、こいつの魔力に当てられて副団長が倒れて仕事が増えやがった! 」
団長が最後愚痴りだすと
ルークは半眼になった。
「いつも仕事をおしつけてるんだからそれくらいやれよ」