毎朝の光景
コンコン
規則正しく扉が叩かれ、ドアが躊躇なく開けられた。
エレノアはその音にはっとして、
扉の方向を見た
頭から足元まで漆黒に包まれ、
胸の金色の騎士団の紋章だけが輝いている青年、ルークが立っていた。
「珍しいな。お前が起きてるなんて。」
「私だって起きれるわよ
てゆーか、起こしに来なくていいし、
勝手に入らないでちょうだい」
エレノアは朝に弱い。
それを知ったルークは
毎朝エレノアを起こしにくるのだ。
「お前起きてこないだろ? 」
当たり前のように言われても困る。
確かに朝は弱くなかなか起きれない。
だからと言ってこれは如何なものか。
二人は年頃で、ルークは王子だ。
あらぬ噂を立てられて困るのはルークなのに。
もの言いたげにルークを見つめると
ルークは察したのかあっけらかんといった。
「心配ねぇよ。
ここは【ガーベラ】専用だから」
「それもあるけど、根本的な問題が違うわよ
自分たちの年と自分の立場を考えなさい」
「はいはい。
そういえば団長が朝一番に来いって」
「分かったわ」
絶対止める気がないことを悟り
わざとらしく大きなため息をついて、
いつも通り居座り続けるルークを
部屋から追い出し、身支度を始めた。
身支度を終えて扉を開けると、
ルークは扉の横で壁にもたれかかっていた。
これも最近の朝の光景だ……
「行くぞ」
ルークとエレノアは暗い静かな廊下を歩き出した。
「エレノアー!! おはよう!! 」
暗い廊下には似つかわしくない明るい声をあげて
身支度を整えたシャラが
抱きついてきた。
「あっ、ルークもおはよっ! 」
「おまけ感半端ないな」
「そりゃね、私がエレノア起こしたかったのに」
「俺の仕事だ」
「私よ」
エレノアは毎日言い合う二人に挟まれ辟易とした。
毎朝これってどうなのよ。
ちなみに、
【ガーベラ】が与えられたのは城の西の一角。
3階建ての建物で、
1階は食堂と訓練場、
2階は会議室や隊長副隊長の執務室
3階は隊員の私室だ
「隊長もシャラも懲りないな。」
「本当にね」
カイルは眠そうに目をこすりながら
呆れた声でぼそりと呟いた。
エレノアも大いに同意する
いつまでも行きそうにないので
カイルとエレノアは二人を放置して
2階に備え付けられた城につながる渡り廊下へと向かう。
二人がまってよ!! と急いでついてきたが、
一向に喧嘩は止まることなく、
団長の執務室までたどり着いた。
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長くなりそうだったので
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