少女A
鉄矢「おい、新!朝から爆睡してんな」
新「?鉄矢…?」
新(また昨日と同じ今日が始まったってわけか…。いや、まだ本当に同じ一日を繰り返してるのか確信が持てない。まずはそこの確認からだ)
鉄矢「ところで新、昨日の進撃の凡人見たか?」
新「昨日?あれって一昨日放送じゃなかったっけ?」
新(とりあえず昨日と同じ言葉を返してみよう)
鉄矢「何言ってんだよ。進撃の凡人は毎週月曜だっての」
新(なるほど、同じ答えが返ってくるわけだ)
新「ああ、そうだっけか。てっきり今日が水曜日だと思ってたよ」
鉄矢「お前寝ぼけてるだろ。今日は火曜日だぜ」
新(言葉を変えてもだいたい同じような返答をするのか)
新「そうだったな。いやー、昨日のあの展開には驚いた」
鉄矢「だよな!ドルフィン団長があんなことを言うなんて…」
新(完全に違うことをいうと全然別の返答をする…と)さらさら
鉄矢「なにしてんの?」
新「ん?メモだよ」
鉄矢「なんの?」
新「人間観察メモ。最近ハマってるんだ」
鉄矢「ふーん。あまり観察って柄じゃ無さそうだけどな」
新「余計なお世話だ」
きーんこーんかーんこーん
新(昼休みになったな。ダメ元でループ世界について図書室で調べてみるか)
新「ループ世界について…なんてピンポイントな本あるわけないし、そもそもループ世界のジャンルってなんだ?科学?ファンタジー?」
彩「科学でいいんじゃないかしら」ひょこ
新「え?」
新(誰だっけこの人…っていうかひょっとしたら初対面なんじゃないか?持ってる教科書には彩って記名があるな。あやさん?かな)
新「あ、ありがとう」
彩「いえ、例には及ばないわ。 あなた普段はあまり図書室に来ないわよね?」
新「そうだね、あまり本読まないし。君はよくここに来るんだ?」
彩「そうね、けっこう本読むし。」
新(さらっと引用された!)
彩「普段は来ない図書室に来た、ということは…何か調べ物かしら?」
新「まあそんなとこだな。ループ世界について調べようと思って」
彩「ループ世界に興味があるの?」
新「ま、まあね」
彩「ふーん。あなたはどう思う?ループ世界、言ってしまえばタイムリープを繰り返す世界だけど、それは実在すると思う?」
新「理論上はタイムリープが可能だって聞いたことがあるから技術が進歩すればできるんじゃないか?」
彩「そう…そんな未来が来ないことを願うばかりね」
新「え?」
彩「じゃあ私はこれで」すたすた
新「え?あ、ちょっと」
彩「何?」
新「えっと、いや、何でもない…」
彩「そう?じゃ、またどこかで…ね」がらがら ぴしゃん
新「なんだったんだあの黒髪美少女は。意味深な発言していくし…。っと、いけない。ループ世界について調べなきゃ」
放課後
新「くそっ、めぼしい情報が何もなかった…仕方ないか、学校の図書室だもんな」
鉄矢「おい、新!そろそろ帰ろうぜ」
新「すまん、今日はちょっと用事があるから先に帰っててくれ」
鉄矢「おー、そうなのか。んじゃ、がんばれよー」テクテク
新「…………」
新「さてと。今気づいたが、何故今日は初日のように放課後になった瞬間に意識が遠退くことがなかったのか。それについて少し考える必要がありそうだな」
新「今日起こったことで特に変わったことは…図書室で彩さんに会ったことか。でも別段変わったようすはなかったしなぁ。最後の意味深なセリフを除けば」
新「というか昨日の時点で放課後になった瞬間意識が遠のくことはなかったんだよな。ということは昨日のうちにすでに何か起きていたのか?昨日有ったことは…」
新「夜の学校で女の子とぶつかったな。あの人はこの学校の生徒っぽかったな。制服着てたし。でも何であんな時間にいたんだろう? 忘れ物を取りに来たにしては不自然な時間帯だよな…」
新「それと女の子が消えた瞬間に聞こえた虫の羽音のような音も気になる。もう一度あそこに行ってみるか」
新「昨日の場所に来てみたものの、やっぱりただの廊下だな。人が消える要素なんてどこにもないよなぁ。漫画とかだとこういう窓ガラスが異世界へつながっていたりするんだけど…」
?「何…してるの?」
新「えっ!?あ、いや、窓掃除?」
新(って馬鹿か俺は!素手で窓掃除をするやつがどの世界にいるってんだ!いや、落ち着け!まだ挽回のチャンスは残されているはずっ…今俺がこの女の子にするべき応答は…っ!)
新「そ、そういう君はここで何をしているのかな?」
?「みての通り、帰宅、だけど…」
新「あ、あー。だよねだよねー。おっと用事を思い出した!じゃあ俺はこれで失礼するよ!」
新(よしっ、自然に切り抜けられ…)チラッ
?「じー…」
新(てねーっ!どうしよう、めっちゃ怪しまれてる!とりあえず廊下の門を曲がって彼女から俺の姿が見えなくなるところまで行こう)
新(これでどうだ…?よし、いい感じ)
? スッ ブウン…
新「は?」
新「え、消えた?いや、そんな馬鹿な!」だっ
新「どこにいったんだ…?今さっきまでここにいたのに!この現象もループ世界が関係しているのか…」
彩「やっぱりあなた、この世界に巻き込まれた人だったのね」
新「彩…さん?いつからそこに?」
彩「彩でいいわ。悪いけど図書室を出た後からずっと跡をつけてたのよ」
新「この世界…っていうことはもしかして彩…も?」
彩「ええ、ループ世界に捕らわれた身よ」
新「そんな…まさか俺以外にもこの世界に捕らわれた人がいたなんて」
彩「とりあえずこの話をするのにここで立ち話ってのもなんだし、場所を変えましょう」
新「そう…だね」
彩「放課後人がいない場所っていうと…トイレかしら」
新「そうだな…って、おい!シリアスな雰囲気だったのにいきなり脳内お花畑じゃねーか!さっき俺が受けた衝撃と驚きを返せ!」
彩「うるさいわね。脳外荒野のあなたにトイレ以上に人気が少ない学校内の場所を示せるのかしら?」
新「脳内お花畑の対義語にそんな言葉はねーよ!てか、対義語だとしたら褒められてることになるけどいいんだな!?」
彩「すべてが枯れてるって意味よ」
新「最高の貶し言葉だ!?」
彩「ま、トイレは冗談としても場所を変えるのは妥当だと思わない?」
新「確かにな。で、どこにする?屋上にいく階段あたりなんかも人気が無いかと思ったんだが」
彩「いいえ、ここに入り口を創るわ」
新「?」
彩「ほっ」 ブウン…
新「!?」
彩「さあ、入って。大丈夫、この中は安全よ」
新「え、いや、でも…これってどうみても異空間への入り口?じゃん。あからさまにヤバいやつじゃん」
彩「じゃんじゃん言ってないでどしどし入って来なさい。早くしないと入り口が消えるわよ」スッ…
新「…ええい、ままよ!」スッ… ブウン…




