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明日は  作者: 白い花びら
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願うこと

 「ユウ様、今日は国を見て回りませんか?」





 未来がカモウ国に行ってしまってからもう1カ月がたった。

 すっかり春の息吹に囲まれた中、畑に、家畜の世話に、出産ラッシュのお手伝いにと目が回る程忙しい。また巡ってくる厳しい冬に向けての準備は今の所順調だ。


 逢未と2人の寝床は広くて背中が少し寒い。

 本当は逢未だってもう巣立ちをしてもおかしくないのも知っている。でも、夜は必ず帰ってきてくれる。 逢未に甘えている私。

 

 そんなある日、ジークに声をかけられた。


 今の所出産の兆しはないし、種まきも一段落。

 放した家畜達は手もかからない。


 お誘いを受けることにした。





 暖かい風が気持ち良い。

 いろいろな花が競うように咲き乱れて、美しい風景が続いている。


 精霊達も小さな精霊をたくさん連れて戻ってきた。精霊も出産があるのかな?自由に飛び回ったり、私にさわろうとして銀ちゃんに追い払われたり。小さい子の方が元気な感じ。銀ちゃんを追いかけたりする子もいる。


 「未来がいなくてお寂しいのでしょう。」

 「うん、寂しい。でも、逢未がいてくれるから大丈夫。」

 「ユウ様は他者を思いやる優しい方です。ですが、まわりを気遣うあまり自分のことを内に秘めてしまうようです。」

 「そんなことないよ。ちゃんと気持ちを伝えたりわがままだって」

 「本当にそうでしょうか。本当の気持ちを私たちに伝えてくださっていますか?」

 「・・・。そのつもりだよ。多分。」


 「ユウ様はこれからどうしたいですか?」

 「これから?」

 「はい。これからです。」

 「そんなこと決まってる。この国の獣達が幸せに暮らせるように精一杯お手伝いすることだよ。」


 「それが叶ったらその次はどうしたいですか?」

 「その次?次なんかないよ、ずっとここでお手伝いを」

 「昨年産まれた子ども達は今年の春にはもう親になりました。未来も逢未も遅くても来年は自分の家族を持つでしょう。

 気候がもどり、森も豊かになりました。畑や生活の改善、互いに助け合うことを学んだこの国はきっと繁栄するでしょう。貴方はもう、充分出来ることをされたのです。」


 「私は、もうこの国に必要ない?」

 「いいえ、そうではありません。貴方のことを仲間として受け入れ、貴方らしく生きる場所を作ってくれたこの国は、いつまでも貴方を慕い必要だと言ってくれるでしょう。共に生きることを望んでくれるでしょう。ですが、貴方は人で彼らは獣なのです。

 貴方は貴方の幸せを見つけていいのですよ。」

 「私の幸せ?」

 「はい、愛する人と巡り逢い、幸せな家庭を作ることも、貴方自身を必要としている者を助け導くお手伝いをすることも、望むままに。」

 

 「私には、私の大切な人たちの幸せが一番の幸せなの。だから、そのお手伝いが出来るだけで充分なの。」

 「では、こう考えてみてください。未来や逢未があなたの幸せが自分の幸せだと言ってずっと貴方のそばにいたら。番も持たず、獣の暮らしも捨てて貴方のために。」

 「そんなのだめ!そんなの・・・だめだよ。」


 「貴方の愛する者達もまたあなたの幸せを願っています。私はそのもの達から託されたのです。あなたの幸せを見つけるお手伝いを。」

 「うん。・・・。考えてみる。ありがとう、ジーク。」

 「はい。」



 部屋まで送ってくれたジークは何も言わずに立ち去った。


 頭の中がぐちゃぐちゃでなにも考えられない。


 部屋には誰もいなかった。


 精霊達がおしくらまんじゅうで周りを囲んでいる。


 考えなくちゃいけないのに。

 考えなくちゃいけないのに。


 どうしてなにも考えられないのかな。


 

 

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