武術大会メンバー
「それじゃあ、私は今から武術大会のメンバーを集めてくるから」
「了解。その間、俺はどうしようかな」
「そうねぇ~。悟は冒険者ギルドにでも行ってきたらどう?」
「冒険者ギルド?」
「そう異世界ファンタジーの定番よ。最初はギルドに登録しに行くものなの」
「そうなのか。俺はこの世界をよく知らないし、その辺はティレアに任せるよ」
「悟はギルドに登録して仲間を作るなり、レベルを上げるなりしててくれる?」
「わかった。でも、ギルドに登録ってそんなに簡単なものなのか?」
「多分、簡単だと思うよ。小説とかではよく身一つで放り出された主人公が、ギルドに登録して身分証を作ったりしてたからね」
「そうか。何から何まですまないな」
「へへっ、いいってことよ。困った時はお互い様、私達は同じ日本人でしょ」
悟は私の助言を受けると、その足で冒険者ギルドに登録しにいく。
さて、俺はメンバーを集めますかね。何せ伝統ある大会だ。生半可なメンバーでは勝ち進めないだろう。
アルクダス王国武術大会……。
今年で三十二回となる国を挙げての大会である。伝統もさること、その幅広い参加者も特色だ。ギルド関係はもちろん、王家、そして他国の強者達が集まり、覇を競いあう。
ちなみに前回決勝では、同門対決ならぬ同ギルド対決だったらしい。共にAランクであるマイラ・イーギルとロビン・オスカーの一騎打ち。
結局、ギルドでも双璧といわれる両者の戦いを制したのはマイラさんだ。さすがはアルクダス王国でも名を馳せた冒険者だよね。この時の戦いは、あまりに凄かったらしい。観客は皆、強烈に記憶に残っているとか。俺もその時の様子をミレーさんに懇切丁寧に聞かされた。
マイラさん、今年も優勝候補ナンバーワンだよね。それに去年不参加だったレミリアさんが、今年は参加するかもしれない。参加されたら非常に厄介だ。
また、今年はあの魔族襲撃からの復興ということで王家の気合の入りが違う。数も規模もこれまでにないものともっぱらの噂だ。
そんな中、低レベルの悟が頑張っても優勝するのは厳しいだろう。悟はプレイヤーであり潜在能力は抜群であるが、いまだレベル十である。今の悟一人の力では、二回戦突破が関の山だろう。
ただし、今回からはチーム戦だ。個々の能力で劣っても、チームでカバーすれば問題ない。だから、俺はとびっきりの助っ人を考えてある。
一人目は、ミュッヘン・ボ・エレト。
彼は現在、Aランクの冒険者として活躍している凄腕の剣士だ。ミューはティムの親衛隊として知り合った。あんな中二病の集まりにこんなできた人物がいてびっくりしたよ。
さらに、ミューは変態の幼馴染だというから、二度びっくり。どんな縁があるかわからないね。ミューは剣の腕もたつし、考え方も苦労人らしく気遣いがある。だから、俺は何かとミューを頼りにしているのだ。
二人目は、アルハス・エディム。
彼女は人間の心を持った吸血鬼である。エディムは魔法学園の生徒だったが、一年前の魔族襲来の犠牲となって吸血鬼となってしまった。最初は吸血鬼となり、親友であるジェシカちゃんを襲ったりした。だが、最後はジェシカちゃんとの友情に目覚め、人間の心を取り戻したのだ。
ただし、心は戻っても身体までは戻らず、吸血鬼としての能力は顕在である。そういうわけでエディムは驚異的な身体能力と巨大な魔力を保有しているのだ。もともとエディムは、魔法学園の生徒である。他より魔法技術も群を抜いているところに吸血鬼の魔力が加わったのだ。ちょっとしたチートだよね。
そんな吸血鬼な彼女だが周囲にばれず、ティムと友達になって学園生活をエンジョイしているのだ。
ミューにエディム……俺が持つコネクションで最大戦力となる二人だ。彼らが参加すれば、優勝も現実味が増してくるというもの。
それじゃあ、まずはエディムから勧誘しますかね。
指針も決まり、魔法学園に向かった。
学園に到着すると、受付に手続に向かう。学園生徒であるエディムを呼び出してもらうのだ。
数分後……。
受付から呼び出しを受けたエディムが現れた。
「エディム、突然呼び出してごめんね。ちょっと頼みがあるんだけど……」
「はっ。なんなりとお申しつけ下さい」
「ありがと。実はね、エディムに武術大会に出場して欲しいんだ」
「承知しました」
うん、二つ返事だね。即答だよ。頼んでおいてなんだけど、授業とかの兼ね合いは問題ないんだろうか。