七十五番槍 いっそ天下も盗んだる!
晴美
「城行きたいね~」
乙葉
「あぁ…。諏訪城…」
由佳
「あれは…看板欲しかったですね…」
「おいお前ら!しくじるなよ!行くぜ!」
乱世渦巻く戦国時代。
京で暴れまわる盗賊がいた。
20人程度の集まりで、頭領は石川五右衛門。
豊臣秀吉に指名手配された泥棒である。
今日の五右衛門の狙い。
それは…。
「今日は俺一人で行く!秀吉を殺し、天下は俺が頂く!」
夜更けを待ち、五右衛門は動いた。
かつて忍術を学んだ五右衛門に取って、城に潜り込むことなど簡単だった。
ゆっくり、音を立てないように進む。
秀吉の眠る部屋の前。
慎重に戸を開けた。
「ぐっすり寝ていやがるな。二度と目覚めないようにしてやる!」
秀吉に近づいたその時!
ピヨピヨピヨピヨ!
大きな音が鳴った。
焦る五右衛門。
「な、何だ?この音は!?」
パニックに陥る。
「これはワシの千鳥の香炉よ!ワシの身の危険を知らせてくれる。貴様のような暗殺者が来ると鳴くのだよ!」
目を覚ました秀吉が淡々と語る。
その間にも、五右衛門は駆け付けてきた秀吉の家臣に捉えられた。
他の盗賊メンバーもその日のうちに捕まった。
翌日。
「さて、どう処分するか…。五右衛門以外は磔。五右衛門は…」
悩む秀吉。
「指名手配犯の五右衛門が捕まったとあらば、街中大騒ぎよ。ざまぁみろ、天下の大泥棒さん!」
秀吉は五右衛門を小馬鹿にしたような言い方をした。
「はっ!俺が大泥棒とは笑わせる!貴様こそ、かの信長公から天下を盗んだただの猿ではないかっ!貴様の方がよっぽど大泥棒じゃ!」
この五右衛門の言葉で秀吉はブチギレた。
「んだと!皆のもの!こやつを釜茹での刑に処する!油と釜を用意せよ!」
「石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ」
盗みは尽きない。
そう辞世の句を残して五右衛門はこの世を去った。
夏の終わりの出来事であった。
石川五右衛門。
身分の高いやつからしか奪わない…ってわけじゃなさそうですね。
釜茹でについてしか記述が無いらしく、詳しくはわかりませんでした…。
秀吉の千鳥の香炉、現存します。
残念ながら今はもう鳴かないみたいです。