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歴史絵巻第六幕Let's Go 城巡り~川越城前哨戦~

乙葉

「歴史絵巻って名前なのに絵が無いですよね~」


晴美

「…作者の絵見たい?」


乙葉

「あの首が異常に長くて関節が無い人間が完成するアレですね。いいです、遠慮します」


晴美

「だよね~」


由佳

「そんなに酷いんですか?」


晴美&乙葉

「それはもう!」




由佳&晴美&乙葉

「今回は川越の旅前半です!」

「ふぅ~!テスト終わったー!」


「久しぶりの部活だな!」


今日も社会科研究室に集まった2人の少女。


焙烙晴美ほうろくはるみ村上乙葉むらかみおとは


今日はテストが終わってから久しぶりの部活。


「はぁ~…。先輩ぃ~。テストどうでした?」


1年生の乙葉が言った。


「…私は文系だ!」


2年生の晴美が言った。


理系の科目はダメだったのだろうか…?


「あらら~…。理科は私が教えますよ?」


この歴史研究部の顧問である毛利由佳もうりよしか先生が言った。


彼女は理系の先生である。



「あ~!もう!テストの話は終わりにしましょうよ!次の計画を立てましょう!」


自分でテストの話題を出したくせに…。

乙葉は話題を変えた。


「そうだな!テストも終わったし!羽を伸ばそうかね!」


「どこにします!?」


どんどん話が進んでいく。

テストの後はいつもこんな感じである。


ついでに言っておくと、この2人は別に成績は悪くない。

ただ、テストは歓迎していない。


「先生は行けますか!?」


乙葉が聞いた。

由佳先生が行けるか行けないかによって行く場所が変わる。


移動手段が変わってくるからである。


「ん~…。今週はちょっと…。出張が入っちゃってますね…。ゴメンナサイ…」


つまり車は無し。


「そうだなぁ。じゃあ…」


晴美は日本地図を広げて、関東辺りを指差して叫んだ。


「関東は武蔵の国!川越!」


「川越ぇ!」


予想外の行き先に乙葉は声をあげた。


「川越って…あの…!川越城ですか?」


「そうだ!徳川家康がお芋のよく育つ場所として選んだ、あの小江戸川越蔵の街!」


2人で盛り上がる。

由佳先生はちょっと残念そう。


「行きたかった…」


肩をおとしていた。



「さて」と、今度は晴美が川越の地図を持ってきた。


さすがは社会科研究室。地図にかけてはとんでもないバリエーションを誇る。


「実はだな、結構行きたい場所があってだなぁ…。ほら、夜戦があったろう?」


地図を指しながら晴美が言った。


「はいっ!日本三大夜戦の一つですね!川越夜戦!北条氏康と扇谷上杉朝定のアレですね!」


有名な夜戦ともあり、乙葉も知っていた。


「うん。アレの激戦地とか、あとは…江戸城が移築された神社や寺なんかもだなぁ…」


「おおっ!何か凄いですね!」



川越に行くことに決定し、この日の部活は終わった。


「あぁ~…。行きたかった…。行きたかったなぁ…。気を付けて行ってきてくださいね!」


由佳先生の言葉に返事をして、2人は社会科研究室を後にした。



翌日。


学校の最寄り駅に集合した2人は、電車に乗って川越までやってきた。



「やって来ました!小江戸川越!結構人がいるんですね~」


乙葉が言うように、人は多い。


駅を出ると、アーケードになっていて、カラオケにゲームセンターなどがあり遊びには困らなそうな感じだった。


しかし、2人はそんなものには目もくれず、アーケードを真っ直ぐ抜けていく。


暫くすると…。


「あっ!喜多院は右になってますよ!」


乙葉が看板を見て言った。


看板通りに進んで行く。


しかし喜多院までは遠かった。


歩いても歩いてもなかなか着かない。


それでも進む。


市内観光循環バスも走っているが、それを使ったら負けな気がする。


因みに、このバスは懐かしのボンネット型。


1日乗り放題券が500円である。


晴美と乙葉はあえてこれを使わなかった。


「観光は歩いて初めて発見がある!」が2人の考え方である。


暫く歩くと…。


「どろぼうばし…?」


泥棒橋。

そんな名前の橋があった。


「泥棒がこの橋から喜多院の中に入って、厄除元三大師に許しを請ったら許してもらえた。それ以降真面目に生きました…ってのが由来みたいだぞ!」


晴美は看板と睨めっこ。


それを渡ると…。


「あ、喜多院だ!」


晴美が思わず声をあげた。


いつの間にか喜多院に到着していたのだった。


まずは境内を散策。


紅い多宝塔が建っている。


江戸時代の僧天海が植えたという木もあった。

樹齢350年という説明看板が建てられていた。


松平大和守家霊廟もあったが、中には入れなかった。


一通り見回したら喜多院の建物の中へ。


入場料400円を払い、2人は見学した。


「この建物は、江戸城を移築したものなんだ。家光誕生の部屋や、春日局の化粧室なんかが残ってる」


晴美が説明した。


まずは春日局の化粧室。


「なんか…狭いですね…」


「4畳だからな…。しかも、この部屋の一部だけなのは私も知らなんだ…」


予想以上に狭かった。


続いて家光誕生の部屋。


「ここで…あの(ごうが…!家光を産んだんですね!」


江とは、二代将軍徳川秀忠の嫁さん。


織田信長の妹、お市の娘。


「あの奥の木像は天海様の…!」


感動している晴美に乙葉が聞いた。


「先輩、天海様ってどちら様ですか?」


「天海…天海大僧正てんかいだいそうじょうは1536年から1643年まで生きた喜多院第27世住職だ!会津出身で、死後は朝廷から慈眼大師じげんだいしの称号をもらった偉いお方であり、日光東照宮を建てるのに大きく関与しているのだ!」


まるで呪文。

ただ一つ分かるのは…。


「寿命長っ!えっと…108歳ですか?」


「そうだ。ただ、あまりに長いので、親子二代で一人の天海を名乗ったって説もあるし、実は明智光秀その人だ!なんて説も…」


「明智光秀ぇ!?」


乙葉が驚いたように声をあげた。


「えっ…。だって、光秀は京の小栗栖おぐるすで…」


「確かに史実はな…。しかし、天海の墓の近くに明智平なんて地名があるし、その他にもいろいろ根拠となることが…」


晴美が言ったが、乙葉はそれ以上聞かなかった。


明智光秀は小栗栖で死んだはず!

そう信じたかった。


2人は喜多院本殿を後にした。


もうひとつ行く場所がある。

晴美はそう言って、喜多院の入場券を取りだした。


よく見ると、下の方は別のチケットになっている。


「五百羅漢…?」


乙葉が首をかしげた。

とりあえず行ってみよう!


五百羅漢入口に行くと…。


「自分でちぎってそこの箱に入れておいてください」


売店のおばちゃんに言われた。


何やら凄くテキトーな感じもするが、自分でちぎって椅子の上に置かれた箱に入れておいた。


「これが、五百羅漢ですか!」


晴美と乙葉の目の前には、大量の石像が並べられていた。


お地蔵様が大量に並んでいるような感じである。


「これは…なんですか?」


乙葉が聞いた。


「ん~…。パンフレットによると、川越北田島の志誠しじょうの発願で、1782年から50年間かけて作られたものだそうだ。十大弟子、十六羅漢など533尊者や阿弥陀如来や地蔵菩薩など全部で538体があるのだ!」


パンフレット読んだだけなのに、胸張って言う晴美。



五百羅漢を後にして、今度は正門から喜多院を出た。


すると…。


「ほれ!それが天海の像だ!」


晴美が指差した先には、一つの像が建っていた。


「おお!これが!さっきの木像とはまたちょっと違う感じがしますね!」


像が建てられるほど、天海は喜多院と縁が深いのである。


そして歩きだした2人。

しかし、すぐに止まる。


「日枝神社…。よしっ!乙葉、行くぞ!」


「あ、先輩!待って下さいよぉ~!」


喜多院からすぐ近く。


日枝神社にやってきた。


「ここは何ですか?」


「いやな、調べたときに出てきたんで。喜多院と一緒に建てられた神社なんだと。建物の作られ方が珍しいそうだ!」


ここは軽く見てすぐに移動。


そして次に向かった場所は…。


「次はここだ!川越歴史博物館!」


晴美が指差した縦長の建物。


川越歴史博物館である。

入場料500円。


「わー!先輩!ここ、写真撮影OKですって!」


そう言うなり、携帯電話を片手に写真を撮りまくる乙葉。


博物館一階は主に江戸時代以降の物。


足枷や突棒、十手など。


二階は土器や打製石器や磨製石器。


そして三階に上がる途中の階段には…。


「んー!んっ!川中島合戦図!待ち受け!私の待ち受け画面です!」


乙葉大興奮の一品。

「川中島合戦之図」


「凄いです!なぜここにっ!?」


「さ、さぁ…」


珍しく晴美が引いている。


展示室に入るとさらにお宝があった。


「うおっ!?これは…!後藤又兵衛の兜だと!?」


今度は晴美のテンションが跳ね上がった。


「「ここスゴイ!スゴ過ぎる!」」


2人のテンションは終始高かった。



川越歴史博物館を出ると、次へと向かう。


「先輩、ついでですし、そこ寄って行きません?」


乙葉が「そこ」と言った場所。


博物館の向かいにある寺。


成田山川越別院。

通称、久保町のお不動様。


結構立派なお寺である。


お不動様を拝んでまた次へ。


「では乙葉!浮島稲荷神社を見つつ川越城へ行くぞー!」


「おー!」


2人はまた歩き出した。


市内は観光地であるため、看板がそこらじゅうに立っている。

道に迷うことは無い。


看板に従って歩く。


しばらくすると小さな神社が現れた。


「あった!これが浮島稲荷神社だ!」


晴美が神社に駆け寄る。


それに乙葉も付いていく。


「ここは太田道真が川越城の守り神を祀った神社だ!昔は七ツ釜という湧水があって、この辺は遠くからみたらこの神社だけ水に浮いている島に見えたんだ!」


「太田道灌の父親ですね!なるほど…。この神社の名前の由来はそこからですね!」


ここが終われば次はお待ちかねである。


「よし!次は川越城だぁー!」


「はいっ!」


2人は川越城本丸御殿に向かって歩き出したのだった。

乙葉

「あれ?川越城は!?」


晴美

「次回だな~」


乙葉

「あうぅ…。楽しみだったんですよぉ~!私ぃ~!」


晴美

「ま、まぁ、次だから…」


由佳

「いいなぁ~。川越!ってなわけで、私たちのプロフィールでも!」


晴美&乙葉

「また唐突な!!」



村上 乙葉 (ムラカミ オトハ)


年:高校1年

誕生日:5月12日(信長と一緒!)

身長:普通!

体重:重くない!

得意教科:古典


とある高校の歴史研究部に所属している。

戦国大好きな歴女。

結構個人的に城を巡ったりしている。

でも構造についてはあまり詳しくない。

偉人の逸話が好き。

彼氏もいなければ兄弟もいない。

とにかく元気な少女です。

作者の訪ねたことのある史跡を旅する主人公。



焙烙 晴美 (ホウロク ハルミ)


年:高校2年

誕生日:2月6日(秀吉と一緒!)

身長:割と高め

体重:重くないぞ!

得意教科:日本史


乙葉以上に歴史を極める歴女。

戦国に関しての知識はすさまじい。

妹が一人いるが、歴女は晴美だけである。

知識を振りかざして史跡を解説する歩く辞書。

乙葉と同じく、作者の訪ねた史跡を歩く主人公である。



毛利 由佳 (モウリ ヨシカ)


年:25歳(教師1年目)

誕生日:12月26日(家康と一緒!)

身長:少し低め

体重:軽い軽い!

担当科目:生物


生物教師なのに歴史研究部の顧問。

乙葉や晴美に歴史の知識で追いつこうとしているがゼンゼン追いつけない。

自分の出身高校で生物を教えている。

最近は乙葉や晴美の活動について行ったりしている。

車の免許あり。

性格は極めておっとりで、怒らない。生徒とカナリ仲がいい。

武器はスマホ。




「もっとキャラを濃くすれば~?」みたいなことを言われましたけど、この作品はあくまで歴史!

彼女たちは案内人なので…。歴史を引き立たせるのに彼女たちを目立たせるわけには…。


全員女性なのは…。察してくださいぃ~。



この「歴史絵巻」はですね、私が訪ねた史跡を実体験に基づいて書いてます。

資料はパンフレットや地元にある案内看板です。

ネットとかでは調べてません。


いや、面倒だからってわけじゃありませんよ~…。



次回はいよいよ川越城!


いやぁ、神社仏閣巡りすぎました…。

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