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五百四十五番槍 そろりと増える累乗

近々環状山城に行こうと思っております。

登山好きじゃないんですが、やたら山登りしてる気がします…。

体力作り、いい方法無いですかね…?

豊臣秀吉の御伽衆に、曽呂利新左衛門という刀の鞘を作ることを本職とする男がいた。


この男が作る鞘には刀がそろりと突っかかりなく収まると大変評判であり、それが曽呂利という苗字の言われになっている。


また、ひょうきんな性格をしており、人を笑わせるのが得意だった。

現代にまで伝わる落語家という仕事、その始祖ともされている。


ある時「皆がわしの顔が猿に似てるとからかうんだ…」と落ち込む秀吉に対して、新左衛門は「猿のほうが殿に似せてるんですよ」と言って笑いを取ったりと、そのセンスに秀吉は一目置いていた。


そんなある日。

秀吉は大きく体調を崩していた。

日に日に衰えていく秀吉は、庭の枯れた松の盆栽を見ながら嘆く。


「ああ、盆栽も枯れてしまったか。わしもこれまでのようだな…」


それを聞いた新左衛門は、すかさず歌を詠む。


「ご秘蔵の 常盤の松は 枯れにけり 千代の齢を 君に譲りて」


秀吉の松は枯れた。

その寿命を秀吉に譲ったから。


「松は…わしの代わりに…そうか…!」


秀吉はそれからみるみるうちに回復した。


「新左衛門よ。お前に褒美を取らせる。望みはあるか?」


新左衛門は少し考え、答えた。


「では、米をください。1日目は1粒、2日目は2粒、3日目は4粒と、毎日前日の倍の数を30日程いただけたら嬉しゅうございます」


「なんだ、その程度でいいのか。無欲なやつだなぁ………ん?」


秀吉は少し引っかかりを覚えて、計算をしてみた。


「2週間でも8000ちょっとだから、1号程度か…。では30日後は…あっ!!」


秀吉が導き出した答えは…。


「ええと…2の30乗から1引いて…5億3000万粒って…!!俵200個分じゃねーか!!12トン超えるぞこれ!!全然無欲じゃなかった!無理無理!他のにしてくれ!」


秀吉は慌てて新左衛門の願いを却下した。


「仕方ないですねぇ。では、殿の耳の匂いを嗅がせてください。会議中や人がいる前のほうがいいですねぇ」


秀吉はこれには許可を出すことにした。


そして、実際に皆の目の前で秀吉の耳の匂いを嗅ぎに行った新左衛門。


諸将はそれを見て、何か悪い話を告げ口している、重要な話を耳打ちしていると深読み。


新左衛門のもとには意見を伝えてほしい武将や悪口を口止めしたい武将からたくさんの贈り物が来たという。

曽呂利新左衛門の逸話でした。

中々の知恵者ですね。

それでいてユーモラスとは良い家臣です。


他にも人を笑わせる逸話がありますので、そのうち紹介したいです。


最近ちょいちょい行ってる、城とかではないけど武将縁の地みたいなのを紹介するか悩んでおります。

菩提寺とか墓とか、城のついでで行ったら出しますが、単体だと扱いに困るんですよね。

どうしようかな…。

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