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四十七番槍 島津の退き口

乙葉

「島津!釣り野伏せー!」


晴美

「いや…退き口だし…。釣り野伏せは攻めで使う戦法だぞ!」


乙葉

「じゃあ、退却戦は~…何ですか?」


晴美

「本文読めば分かる!」

1600年関ヶ原。


天下分け目の戦いで、西軍は敗れ散った。


敗れた者は退却しなければならない。


西軍として参加した島津義弘も、撤退を余儀無くされた。


しかし、すでに周りは敵だらけ。


四面楚歌とはまさにこのこと。


指示を出すのに考えている時間は無い。


「皆行くぞ!中央突破だ!」


義弘は、あえて最も激しい戦いが繰り広げられている戦場のど真ん中を通ることにした。


この方が、混乱の中を通るため抜けやすいと判断したのだ。


しかし、当然追っ手は来る。


「全軍!…捨てがまりだ!」


一瞬この指示を出すのにためらった。


捨てがまりとは、最後尾の軍を殿(しんがりとして踏みとどまらせて戦わせ、それが全滅したら再び最後尾の軍を殿とする、兵を使い捨ての壁にしながら逃げるやり方。



申し訳ない…!


そんな気持ちで義弘の心は一杯だった。



戦場を突破した時には、島津軍は数十人にまで減っていた。


途中、甥の島津豊久が義弘の身代わりとなって散った。


もはや、義弘には命一つしか残されてはいなかったのだ。


馬にすら乗れないくらいに消耗した義弘は、家臣の担ぐ籠に乗った。


すると…。


「義弘様、お疲れでございましょう。私は馬肉を持っています。是非、食べてくださいませ…」


籠を担いでいた家臣が馬肉を差し出した。


しかし…。


「お前たちが食べよ。そして体力を少しでも取り戻し、少しでも早く薩摩へ…」


そう言って、自分は何も口にはしなかった。

捨てがまり…。


大将をなんとか逃がそうとする過酷極まりない戦い方ですよね…。


信頼している殿のためでも、時間稼ぎのために死ぬのは嫌ですよね。


現代とは考え方や価値観が違うんでしょうか。


島津の退き口。


壮絶ですわ~…。



逃げて隠れて…何とか無事に(?)薩摩には着いたみたいです。

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