四百八十三番槍 関ヶ原直前の誤算
予定通り福島正則の逸話になってます。
提供いただいたネタです。
武将のキャラはその逸話書いてる時になんとなくイメージした感じで書いてるので、前の正則と今回の正則が全然違うとかは普通にあります。
うん、小説としてどうなんだろうね…。
上杉討伐のため徳川家康は自分に従う諸将を束ね、会津へと向かっていた。
そんな時、一報が届く。
「大坂にて、石田三成挙兵!」
これにより、上杉討伐は中止。
小山で軍議が開かれた。
世に言う小山評定である。
「大坂で石田三成が挙兵したそうだ。大坂に残った妻子は皆人質に取られたと言う。皆も家族が人質に取られているなら、遠慮せずここを出て大坂へ向かい、三成に味方してくれ。わしとともに戦ってくれるものはここに残ってくれ」
「そんなん決まってる!ここからは誰もいなくならねぇ!最初からその覚悟よ!なぁみんな!」
家康の言葉を吹き飛ばすような福島正則の言葉に、みな同意。
そうだそうだ!と城の中はざわめき立つ。
「嬉しい言葉だ。そうと決まれば正則。お前の居城は清州だったな。あそこは東軍の最西端で最前線となる要。お前は戻って戦の準備をしてくれ!わしもすぐに行く」
「おっしゃ!任せときな!先駆けは得意なんだぜ!」
こうして、正則は清州へ帰城した。
さて、ここで家康にも困ったことが起きた。
「明確に対立している上杉と、態度を示さない佐竹…。特に佐竹は大坂に人質がいるからなぁ…。ここで三成を倒しに動くと背後からこの二軍に挟撃されかねん…。どうすっか…」
すぐに行くなどと言ったはいいものの、自分は動くに動けないポジションであった。
「おい!遅いぞ家康!すぐ来るとか言っておいて来ねーのかよ!このままだと俺西軍本体とぶつかって死ぬんだけど!急いでくれよ!」
事情を知らない正則は家康を急かす。
「わかってる…。正則が敗北して清州が落ちるのだけは避けなければならない。そんなことになったら西軍有利と見て寝返るやつが出る…。さらにやばいのは正則がわしを見限って寝返ることだ…」
「いやぁ、正則さんは三成大っ嫌いだからそれはないと思いますよ。もし裏切ったら説得します」
家康の不安を消すように、黒田長政が答える。
「なら、正則さんに逆心があるかないか確かめてみればいいんです」
「どうやって?」
「正則に岐阜城を攻めさせるんです。城主の織田秀信は西軍に付きました。これを落としたらこっちも向かうと言えば、時間も稼げますし、逆心無しと証明できます」
「なるほど。さすがはなんとか官兵衛の息子!頭が切れるな!」
さっそく長政の言うように手紙を出した。
「ほほう。なるほどな。上等だ!見てろよ家康!やってやるぜ!」
早速正則は岐阜城を攻める。
岐阜城と言えばあの信長も攻略にてこずった城。
竹中半兵衛が16人で乗っ取ってはいるが、今回は城の外からの攻撃である。
そう簡単に落ちるわけ…二日で落城した。
援軍が望める状況で守りが堅い岐阜城なら籠城戦一択だったのに、わざわざ城を出て戦い敗北。
援軍を送る間もなく岐阜城は落ちたのだった。
「おっしゃ!このまま大垣に攻め入るぞ!あそこには西軍の本隊がいる!これ落とせば勝ちだ!」
正則は大垣へと動き出した。
これに焦ったのは家康。
「やべやべやべ!正則煽ったらあいつ一人で西軍落としちゃいそうだよ!これだとわしただ怖くて動けなかった臆病狸で終わってしまう!ここは意地でも徳川が三成を討たなければならない!もう佐竹も上杉もどうでもいい!行くぞ!出陣だ!」
こうして家康は慌てて西へと向かった。
そのころ上杉と佐竹は…。
「退いていく敵を討つのは義に反するから家康は追わないよ」
「別に家康に恨みがあるわけじゃないし、攻撃はしないよ」
結局追撃などなく関ヶ原へと突入するのであった。
福島正則つっよっていう逸話でした。
あのまま正則が西軍倒してたら家康は力を失ってたかもですね。
少なくとも、正則の力が強くなってました。
岐阜城が情けなさすぎるのはあるんですがね…。
援軍が望めるのなら籠城が定石、そうで無ければ打って出るべきなんです。
聞いてるか淀君?
さて、そろそろ大坂城五人衆の逸話を探していきますかねー。
もう冬の陣ですし!