四十二番槍 惨い仕打ち
惨い仕打ちとはどんな仕打ちか!?
あの方にとっての「惨い仕打ち」は少し変わってました。
「ついに三河平定を成し遂げた!」
ひたすら喜びを露わにするお歯黒のこのお殿様。
名は今川義元。
天下に最も近い男と呼ばれていた、一大勢力である。
義元が三河を平定したことにより、それまでこの地を治めてきた松平家は義元に従うこととなった。
その人質として、8歳の少年、竹千代(後の徳川家康)が送られてきた。
「義元様!竹千代の教育はどうします?やはり、きつ~く教えてやりますかい?」
義元の家臣がきいた。
「竹千代には、可能な限りで惨い仕打ちをせよ!」
義元はそう答えた。
惨いこと…?
やっぱきつ~い体罰か?
まぁ、体罰も教育の一つだしな~。
いや、ダメだろ!竹千代は人質。逃げられたらたまんない!
一体どうすれば…。
家臣は困り、義元に尋ねることにした。
「惨い仕打ちってどんなことですか?」
「何だ、そんなことか。いいか?竹千代には、不自由を感じさせるなよ!暑い時にはうちわで扇いでやれ!寒い時には、暖をとってやれよ!」
え~…。
俺ら竹千代の雑用係!?
というか、甘やかすの?
家臣は叫びたかったが、義元の機嫌を損ねたくなかったので止めたのであった。
「惨くないじゃん!」と思った方への解説。
竹千代に対して「不自由な思いをさせるな」と家臣に命令した義元。
実は、これ…。
竹千代の代わりに全てのことをやってやれば、将来的に竹千代は自分じゃ何もできないダメ人間になる!
という考えあっての行動でした。
ただひたすらに甘やかす。
これが義元の言う「惨い仕打ち」なんです。
おっかない男だよね~…。
意図的にダメ人間を作り上げようとは…。
何でも自分でやりましょう!
うん!
(今更このお話は後の世に作られた作り話の可能性が高いとは言えない…)