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四百五十三番槍 生きてお帰りください!

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うわぁ~…なんかもう…嫌ですね…いろいろ。


緊張することしたくないです…。


早く決まりたいなー…。

1600年関ヶ原。


西軍本陣では軍議が開かれていた。


「どう戦うか…。やはり正面から打って出るのが…」


石田三成は、布陣図を眺めながら策を練る。


「いや、敵の徳川家康は野戦の名人。そのまま戦っては絶対に勝てない。ここは夜のうちに奇襲をかけようではないか」


そう進言した島津義弘は、釣り野伏せなど相手をいきなり襲撃する策に長けていた人物でである。


まともにぶつかっても勝ち目は無いと判断したからこその策であった。


「奇襲だと?そんな卑怯な手を使って勝ったところで、秀吉様に逆らう輩を成敗したことにはならん!」


三成は義弘の案を蹴った。


この一件により、義弘は西軍に不信感を覚えたのだった。



翌日、戦が始まった。


しかし、島津軍は昨日の一件があったため、兵を出すことなく動かなかった。


そんな中、三成から島津本陣へ馬が駆け付けた。


「申し上げます!小早川の裏切りにより、我が方劣性!兵を出してください!」


この時、電報を伝えに来た三成の家臣は、馬から降りることなく内容を伝えた。


これに義弘はキレた。


「黙れ無礼者が!頼みがあるなら馬から降りろ!邪魔だ!さっさと帰れ!」


これにビビった三成の家臣は、そそくさと引き返すのであった。


「…とはいっても、伯父上。我が陣は既に東軍により包囲され孤立無援。いかが致しましょう?」


冷静に場を見極めたうえで、そう発言したのは島津豊久だった。


「…もはやこれまでのようじゃな。敵に首を取られるくらいなら…」


そう言って、義弘は短刀を抜いた。


誰にでもはっきりわかる、切腹の構えである。


「お待ちください!この戦の後、必ず徳川は西軍の将を処罰しましょう。そうなった時、伯父上のお力が必要になります!天運はすでに窮まりました。戦うのはもはや無駄です。私もここで討死しましょう。ですが!伯父上だけはどうか生きて薩摩にお戻りください!」


それを聞いて、義弘は短刀を納めた。


「…ははは!みなの者!生きて薩摩に帰る!まずは伊勢街道へと抜けるぞ!腹を括れ!覚悟を決めろ!」


伊勢街道…。


そこへ入るには、徳川本陣が立ち塞がっている。


しかし、この死地に活路を見出すためにはそれしかない!


島津軍は、一気に戦場へと軍を出した。


戦うためではなく、逃げるために。


戦場のど真ん中を突っ切る無謀な策、それこそが「島津の退き口」である。


「いっけーーーーー!!!!」


全速力で徳川本陣に差し掛かる。


そこに立ち塞がったのは、井伊直政であった。


「これ以上行かせねぇぜ!狙うは島津義弘の首一つ!」


直政配下の兵が押し寄せる。


まずい、これは本気でまずい。


もう…逃げられないのか…?


…いや、命の使いどころは…ここだ!


「井伊直政殿の部隊とお見受けいたす!我こそが島津義弘である!さぁ!この首取れるもんなら取ってみろ!」


豊久は、直政隊を相手に少数の兵を率いて立ち止まり、自らを義弘と名乗って交戦することにした。


こうすれば、義弘が逃げるまでの時間稼ぎができる。


「いざ尋常に勝負ーー!」


鉄砲を打ち込む豊久の軍。


それに斬りかかる直政の軍。


「くらえー!」


豊久隊の放った鉄砲は、見事に直政本人へと直撃することになった。


「ぐあっ!…俺は構うな!みな奴を討ち取れ!」


多勢に無勢、それに加えて鉄砲は連射ができない。


最初から分かっていた。


勝ち目など、無い。


「おじ…うえ…。生き延びて…生きて…」


豊久、討ち死に。


壮絶な最期であった。



豊久の活躍により義弘は薩摩まで生き延びることができた。


豊久が読んだ通り、家康からの処罰に対し、義弘は最大限抵抗して家を守った。


そして、執念の一撃を受けた直政は、数年後にその傷がもとで命を落とすのであった。

以前も書いた島津の退き口の逸話です。


今回は「妖怪首おいてけ」こと、島津豊久をメインにしてみました。


メインになってない感もあるけれど…。


島津豊久の最期は由ほろの身代わりになったようです。


現地では石碑が建ってたりとヒーロー的な扱いですね。


妖怪首おいてけはともかくとして、勇敢に戦ったことは揺るぎません。


妖怪首おいてけを知らない人は「ドリフターズ」で検索してねっ!

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