表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/607

歴史絵巻第五幕 Let's Go 城巡り~片倉城~

由佳

「今回のお城は…」


乙葉

「だから心配だったんですよぉ~…」


晴美

「ん~…あんまりおもしろくなかったな」

「あっ!雨が降ってきちゃいましたね…」


とある高校の社会科研究室。


いつものように歴史研究部の活動が行われていた。


特にワイワイガヤガヤやるわけでもなく、2人の少女がひたすら資料を眺めている。


そんななかでの、歴史研究部顧問、毛利由佳(もうりよしか先生の声は目立った。


先生の声に、資料をめくっていた少女の手が止まる。


「雨ですか!?うあ~最悪…。傘持ってないよ~…」


こちらは村上乙葉(むらかみおとは

1年生。


「雨か…。鉄砲は使えないな…」


何故か火縄銃についてのコメントを残したこちらの少女は焙烙晴美(ほうろくはるみ

2年生。


「はぁ…。雨…。天気予報外れた…。先輩~、傘持ってませんか…?」


乙葉が晴美に聞いた。


晴美は、何を言うわけでもなく、ただ黙って花瓶にさしてあった一輪の山吹の花を差し出した。


それを見て乙葉は溜め息。


「はぁ…。ですよね…」


肩を落とした。



これを見ていた毛利先生は少し困惑気味。


「何ですか…?暗号…?」


晴美は笑いながら答えた。


「山吹伝説です。まあ、本物は蓑で、傘じゃないですけどね」


そう言われても分からない。


首を傾げる毛利先生に、晴美は説明を始めた。


「太田道灌が鷹狩りから帰る途中、雨が降ってきたので蓑を借りようと農家に寄りました。しかし、農家の娘、紅皿が差し出したのは蓑ではなく一輪の山吹の花でした…ってお話です!」


そうは言われてもやっぱり分からない。


「何で山吹なんですか…?」


今度は晴美に変わって乙葉が山吹を花瓶に戻しながら答えた。


「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の一つだに 無きぞ悲しき…って句があります。『実の一つ』と『蓑一つ』をかけたんです。貧しくて蓑一つも出せなくて申し訳ない…と」


これでようやく納得した。


「それで山吹なんですね!」



依然として、雨は降り続く。


「どうしよう…。濡れるの覚悟で…」


駅までは割と遠い。


びしょ濡れは避けられない。


晴美と乙葉は困り果てた。


すると…。


「駅までなら…送りましょうか?」


先生がそう言ってくれた。


2人はお言葉に甘えた。


「明日はどこに行きますか!?」


車の中で、話が弾む。


「そうだな…乙葉はどこかあるのか?」


「ありません!」


明日の部活内容を決める2人。


土曜日にも活動があるだけ、活発な部活と言えよう。


すると、先生が提案してきた。


「昨日、出張のときに車で見たのですが、片倉城公園入り口と書かれた看板がありましたよ!」


片倉城…?


「片倉城…?乙葉、知ってるか?」


「知りません!どこですか?」


「確か…八王子!東京の」


明日の部活内容が決まった。



翌朝。


天気は晴れ。


絶好の城日和。


3人は駅に集まった。


「今日は電車なんですね!」


由佳先生が言った。


「駅から近いので。駐車場も5台くらいしかないみたいですし!」



3人がやって来た場所。

それは…。


「やってきました!片倉城!」


晴美が声をあげた。


「先輩!それは私の台詞ですよ!」


横浜線片倉駅から歩いて約5分。


3人は片倉城入り口までやってきた。


「わぁ…オブジェがいっぱい…!何か…オブジェにも服は着てほしいですよね…」


少し顔を赤くしながら乙葉が言った。


「この片倉城は太平洋戦争中に高射砲が置かれちゃったり、公園にしたときに遺構の一部が消えてしまったのだ!」


郭へと続く階段を登りながら晴美が言った。


「この前の吉見百穴といい…日本軍はろくなことしませんね!」


乙葉が言った。


「でも、それってここがいかに良い場所かってことですよね?」


毛利先生が言った。


まあそうですけど…。

そう言いかけて乙葉は止めた。


戦国は好きなのに戦争は嫌い。


それが乙葉である。



階段を登った先にあった建物。


それは、東郭下に建つ住吉神社であった。


「この神社は、長井時広が城を守る神を祀ろうとして、1372年に建てた住吉大社の分社らしい!さらに、1649年10月17日、徳川家光から朱印七石を受けたらしいぞ!」


晴美が説明した。

いや、説明の看板を読んだだけだった。


多分、読んでて自分でも意味分かってないな…。


そんな感じの棒読みだった。


「わ~!ここ、数学の神様みたいですね!お願いしとこっと!」


乙葉が神社に向かい手を合わせる。

彼女、数学は苦手なんです…。


上に行きましょう!

由佳先生の一言で三人はまた階段を登りはじめた。


階段の先には、だだっ広い草原が広がっていた。


「ほえ~。見事に何も無いですね…。あ、でもあれは…堀かな…?」


乙葉が少し凹んだ場所を指差す。


「おそらく堀だ!だいぶ埋もれてしまってはいるがな!」


堀には橋がかかっていた。


3人はそれを渡った。

しかし、渡った先も野原。


ただしこっちには…。


「本丸広場って書いてありますよ!」


由佳先生が指差す先にあったのは…。


今にも朽ちて無くなりそうな小さな看板。


そこには確かに「本丸広場」と書いてあった。


「ここ…本丸なんですねぇ」


「橋の向こうの郭の方が広いな…」


「ホントに…堀と郭跡しかないんですね…」


3人思い思いの言葉をあげた。



「神社がピークだったな」


「そうですね…」


「山でしたよね…」


片倉城址を後にした3人は駅へと向かった。



晴美

「神社がピーク!」


乙葉

「はい…」


由佳

「でしたね…」


晴美

「はぁ…。これで作者の城ストックが切れたようなんだが…」


乙葉

「えっ!?これで?だから最後まで残しておいたのね…。うあ~…作者さ~ん!早く次のお城に行ってぇ~!」


由佳

「年末か年明けに行く予定みたいですよ!電車で20分くらいの所!」


晴美&乙葉

「近っ!」


由佳

「それでは、少しの間さようならぁ~!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ